こんにちは、Trefle Labのとれふるです。
今回レビューするのは、スマートフォンにMagSafeで装着できるポータブルDAC/アンプ「NiPO A100」です。

本機はスマートフォンを本格的なオーディオプレイヤーに出来るデバイス。5万円を超える価格帯のポータブルDAC/アンプには、著名な競合製品が多く存在していますが、その中に一石を投じるモデルになります。
果たして音質はいかがなものでしょうか…?
製品について
NiPO A100は、中国・深センのライポ深圳テクノロジー株式会社が送り出すDACアンプです。
MagSafeに対応し、対応するスマホにマグネットで装着しお好みのスマートフォンを超高品質の音楽プレイヤーに早変わりさせられる便利なデバイスです。
DACチップにはESS製のES9039Q2Mを採用し、3.5mmと4.4mmの両出力に対応、最大525mWという出力と低インピーダンス設計で、鳴らしづらいとされるイヤホンも容易に鳴らすことが可能です。さらに、USB経由のノイズ対策に力を入れた設計らしく、低ノイズで背景が静かでクリアな音を実現しているそうです。
本体はコンパクトながら3,900mAhのバッテリーを内蔵し、シングルエンドで最大13時間の再生が可能(バランス出力時は9時間)
スマートフォンの電池を消費を抑え、長時間の使用にも耐えられます。音にこだわるスマートフォンユーザーに最適な選択肢になるかも?

パッケージ外観や開封体験など
パッケージ
化粧箱はシンプルに黒と箔押しの金色で引き締まっていて、高級感があります。

内箱を開けると、本体がしっかりと固定されており、丁寧な梱包が施されているのが印象的です。パッケージは上下2段構造になっており、上段に本体、下段に付属品がきれいに収められています。

付属品としては、MagSafe対応のマグネットリングが2種類、そしてUSB-CケーブルとLightningケーブルがそれぞれ1本ずつ同梱されています。使用上に必要なものが過不足なく揃ってますね。

本体
NiPO A100の本体は、金色に輝くフレームとレザー調シートが組み合わされた、非常に高級感のあるデザインが特徴です。手に取った瞬間に感じられる質感の高さがありますが、思ったより軽く取り回しやすいのが好印象です。

MagSafe位置を示す円形のデザインも施されています、このデザインも出来が良く、本体の高級感を損なわないままにMagSafeが使えることを知らせてくれます。側面には4つの物理ボタンが配置されており、それぞれのクリック感も上々。
実用性とデザイン性がしっかりと両立した製品設計になっていますね。

機能性
NiPO A100の本体の薄さに注目してもらいたいのですが、厚さはわずか約10.8mmと非常にスリム、何度も言うようにMagSafeに対応しスマートフォンと重ねて持っても違和感がありません。
背面には強力なマグネットを内蔵しており、MagSafe対応のスマートフォンやケースにピタッと吸着してくれます。MagSafe非対応機種向けには、粘着式のマグネットリングも付属しているため、機種を選ばずに使える汎用性の高さも備えていますね。


付属するType-CおよびLightningのUSB-Cケーブルは、余計な飛び出しを抑えた長さになっていて取り回しが良好です。
また、出力端子は3.5mmと4.4mmの両方に対応しており、幅広いイヤホン・ヘッドホンとの組み合わせが可能です。バランス接続にも対応することで、高出力かつ低ノイズの環境を実現し、ハイエンドIEMから据え置き型のヘッドホンまで余裕を持ってドライブする力を備えています。

付属品
本製品に付属するものを全てまとめると以下のようになっています。

- NiPO A100本体
- USB-C to USB-Cケーブル
- USB-C to Lightningケーブル
- MagSafe対応粘着シール(Oタイプ/Cタイプ)
- 説明書など
付属品は必要最低限に絞られており、無駄がありません。
音質について
NiPO A100の特徴を簡単に表すならば…
「超ノイズレスでクリーンで芯のあるニュートラルサウンド」といった感じですね。
中高音がやや元気で明るい印象ですが、どの帯域も過不足ないバランスの良い塩梅に仕上がっています。
詳細は続きで語っていきます(^o^)
視聴環境
音質の評価には、機器の性能を引き出すべく聞き慣れているハイエンド帯の製品のALTER EGOやTHIEAUDIO Monarch MKIIIを使用しています。
感想
こ、これは…スマホから出ていい音じゃないw (厳密にはA100から音が出てるけど)
基本的なサウンドは極めてニュートラルで、色付けの少なさが大きな特徴です。あえて言えば中高域にやや明るさと元気さを感じさせますが、キャラクターとして強調されるような癖や味付けはほとんどありません。
究極のニュートラルって一定の水準を超えると感動になるんだな…と思うような味わい深さがあります。
5.5万円という価格帯にふさわしい高い解像度が全帯域にわたって感じられ、出力にも十分な余裕があります。音量を上げても音がザラついたり破綻したりすることがなく、楽曲の彩度や質感をそのまま維持しながら、立体感や奥行きのある空間表現をしっかりと楽しめます。 解像度の高さや高い透明度の由来する空間表現の良さも同時に感じられます。良いですね。
うん。新たな化け物の誕生を感じる…w
本製品の開発陣がかなり意識したであろうノイズ対策はどうなんだろ?と思いながら試聴を続けていきましたが、背景がしっかりと静まり返っているようなノイズレスな印象があり、全体として非常にクリーンで透明感の高い音作りが際立ちます。
低音、中音域、高音域と各帯域ごとのレビューセクションを敢えて作る必要は特に無いと思えた癖のなさと量感のの過不足の無さで、楽曲本来の味わいを楽しむなら最適な選択肢になるかもしれません。
競合の製品『iBasso DC-Elite』と比較
ほぼ同価格帯の人気モデルであるiBasso DC-Eliteと比較すると、両機の音質傾向には明確な違いがあるように思いました。
iBasso DC-Eliteは全帯域にわたって非常に解像度志向の強い“キレキレ”なサウンドが特徴です。音の立ち上がりが鋭く、アタック感のある描写で、リズムの輪郭や音のエッジを強調するようなやや硬質で迫力のあるキャラクターを持っています。
帯域バランスとしてはやや寒色系の傾向があり、どこか硬さのある空気感。また、音場は左右方向にやや誇張されたような広がりを見せ、音が左右・外側へ抜けていくような空間演出がなされています。迫力あるサウンドでグイグイと押し出してくるタイプといえるでしょう。

対するNiPO A100は、よりナチュラルかつニュートラルな音づくりです。明瞭で情報量の多い中高域はやや元気に感じられるものの、iBasso DC-Eliteのような硬さや強調感は控えめで、全体としては非常にバランスの取れた自然な鳴らし方をします。背景の静けさやノイズの少なさも際立っており、音の粒を一つずつを丁寧に描き出すような落ち着きのある癖のないサウンドです。
NiPO A100だけを見ると寒色でも暖色でもないニュートラルな温度感ですが、DC-Eliteの後だとウォーム感があるように感じられ、iBasso DC-Eliteより立体感に優れる印象があります。

空間表現においても、NiPO A100は奥行きや立体感を生っぽくじんわりと描写する傾向にあり、無理に広げたような不自然さはありません。音場全体が穏やかに広がる一方で、音像の定位は的確で、全体を俯瞰してしっとりと音楽を楽しむことができます。
総じて、
DC-Eliteは「鋭く、刺激的に迫力を持って聴かせる」タイプ、
NiPO A100は「自然体で、立体的にじっくり聴き込ませる」タイプ
と言えるでしょう。
アタック感/スピード感/迫力/解像度を重視する方にはiBasso DC-Eliteが好ましく、長時間リスニングやイヤホンの個性を活かしたい場合にはNiPO A100の素直な鳴り方が心地よく感じられるはずですね。
最後に、ひとつ重要なことを申し上げておくと、この2つの製品には“基礎的な音質差”はほとんどないと感じています。違いがあるとすれば、それはあくまで「サウンドシグネチャー=音の設計思想」の部分であり、どちらが優れているという類の話ではありません。音の解像度や帯域バランスといった“土台”の完成度は、どちらも非常に高い水準にあります。
だからこそ、好みや用途に応じて選ぶことができる、甲乙つけがたい2台であると言えると思います。
操作方法について
本機の操作系は側面の4つのボタンで構成されています。

- 電源ボタン:2秒間長押しで電源オン/オフ
- 電源ボタン:USB-Cケーブルを指した状態で2回押すと充電
- +ボタン:音量を上げる
- -ボタン:音量を下げる
- Gボタン:長押しゲイン切替/短押しフィルター切替
基本的な操作は上記の通りですが、充電の方法は注意が必要です。
USB Type-C端子を刺した上で、電源ボタンをダブルプッシュして充電する必要があります。
ここまでNiPO A100の素晴らしい音質について紹介してきましたが、一方で操作面に関してはやや不便に感じる部分もありますので触れておきます。
現在の音量やゲイン、フィルター設定といった情報を本体から視覚的に確認する手段が一切用意されていない点が気になります。音質を最優先にした結果の設計なのではないかと推測しますが、せめてLEDインジケーターや小さな表示窓がひとつでも備わっていれば、設定状態の確認や操作感はより快適だったのではないかと感じました。
あれ…?LEDインジケーターは冬のヘッドフォン祭 mini 2025で展示されていた時にはUSB-C端子周りに3つ装備されていたような気がするのですが…
長所と短所
長所
- 癖のないサウンドシグネチャー
- コンパクトな薄型設計
- バッテリー内蔵
短所
- 操作性がかなり致命的
- 音質フィルターや音量等の設定が分からない
- 使用時に発熱あり

音質 VS 操作性w
NiPO A100の長所はなんといってもMagSafe対応の利便性と究極のニュートラルな美しい音質でしょうかね?
一方、音質に関わらない操作性の面で短所としてはLEDインジケーターやディスプレイがなく操作状況が見えない点が結構致命的ですし、電源の入れ方と充電の仕方は覚えないと操作が混乱しちゃいそうです。
…でもまぁ音質の為なら多少不便でも気にならない人がほとんどでしょうし、そんなもんかって考える人も方が多そう。
まとめ
NiPO A100は、好みのスマホを使いつつもDAPに匹敵する音質を求める人に最適な製品ですね!
高級感のある筐体と強力なMagSafe、長いバッテリー駆動時間は、通勤時や外出先での音楽鑑賞にも扱いやすいです。
音量やフィルターの状態が一目で分からない操作性には慣れが要りますが、一度使い方に慣れてしまえば、毎日のリスニングを何段階も上げてくれる頼もしいデバイスだと言えます。
総合的に見て、NiPO A100はスマホで「高音質」を追求したいユーザーに強くおすすめできるポータブルDAC/アンプです!


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