TRNといえば、あの超有名な入門機のConchを始めとする海洋シリーズ。今回はその海洋シリーズの最新作TRN Whale Sharkを試す機会を頂けました。
早速ですがTRN Whale Sharkをじっくりと紹介しつつ、レビューしていきます!

製品概要
TRN Whale Sharkは、中国のオーディオブランドTRNが2025年9月に発売した海洋シリーズの有線イヤホンです。
製品名のとおりジンベエザメ(Whale Shark)をモチーフとした独特のデザインで、深い藍色のボディにサファイアクリスタルをあしらった高級感あふれるデザインが特徴です。(ジンベイザメの背中側のあの模様をモチーフに?)
内部には3基のダイナミックドライバーと1基の平面駆動ドライバーを搭載したハイブリッド構成を採用しています。
本作はTRN ShellやTRN Jawsなど海洋シリーズの中では高価な約2万円程度ですが、複雑なドライバー構成や凝った造りからはそれ以上の存在感も。ユーザー自身が音のチューニングを変更できる交換式ノズルフィルターを備えている点も大きな特徴です。
仕様
構成 | ダイナミック型 ×3 + 平面駆動型 ×1 |
---|---|
再生周波数帯域 | 10Hz〜40kHz |
感度 | 110dB SPL/mW |
インピーダンス | 16Ω |
導体構成 | 銀メッキOFC+単結晶銅 |
ケーブルプラグ | 3.5mm / 4.4mm プラグ交換式 |
ケーブルコネクタ | 0.78mm 2Pin(CIEMタイプ) |
購入先

パッケージ外観と付属品について
パッケージ
パッケージは落ち着いた濃紺カラーというか海の写真ですね…!絶妙なテクスチャとプリントで高級感のあるしっかりとした化粧箱です。製品コンセプトにもなったジンベイザメも中央に描かれています。

開封すると、最初に目に飛び込むTRN Whale Shark本体のフェイスプレート。サファイアクリスタルガラスが保護フィルム越しに微妙にキラキラと光り輝きます。

付属品
付属品は以下の画像のようなものが同封されています。

- TRN Whale Shark本体
- イヤーピース5種類(各S.M.L)…?
- ケーブル
- 交換式プラグ(3.5mm / 4.4mmプラグ)
- 交換ノズル(チューニング機能付き)
- キャリングケース
- 保証書/取扱説明書
いつものTRNと言うか…豪華ですね…!笑
特に交換ノズルも交換式プラグであることも、付属品で不満にさせないTRNの努力が垣間見えます。開封して付属品を確認している段階から、「いつものTRNさんだ…(笑)」と、期待が高まります(笑)
本体
フェイスプレート部分は特徴的なジンベエザメをモチーフとした立体彫刻のようなデザインになっており、有機的な網目状のテクスチャの隙間からサファイアクリスタルが時折煌めきます。光の当たり方次第で本体の深い青よりも鮮やかで明るい水色に近い輝きを放ちます、キラっと。
…それにしても凄いデザインどんな発想があって製造に至ったのか、きっかけが知りたい!(笑)とても独特なフェイスプレートです。製造コストも上がりそうですね。仕上げも丁寧なんですよね。

流線型で、耳のすっぽり収まるタイプではなく、イヤーピースと耳掛けで固定するようなタイプ。同社のモデルのTRN ShellやMedusaに似たシェイプですね。不思議と耳への干渉はほぼ無く、耳の上にふわっと置いてあるような感じの装着の仕方です。

昨今のカスタムIEM系のように耳に密着するタイプとは全く異なる装着設計ですが、流線型でノズルにかけて絞られている形状なので装着しづらさはありませんでした。本体は重めですが、負担は特に感じにくいと思いました。
付属ケーブル
標準で付いてくるものとしてはかなり太いしっかりしたもの。重量感もかなりのもので満足度は高いです。高純度の銀メッキOFC線と単結晶銅線を撚り合わせたハイブリッド構造で、理論上は美味しいとこ取りという線材の設計。
タッチノイズもほとんど気になりません。

着脱モジュール式のケーブルが採用されているので付属の3.5mmプラグと4.4mmプラグを簡単に交換できます。
ケーブル自体の性能も満足度行くもので、1000~3000円程度の激安ケーブルに交換するくらいなら、付属品を活用した方が良いと思います。
イヤーピース
イヤーピースはかなり豊富。素材感や大きさ、形状からお好みのものを選ぶと良いと思います。右から2番目のイヤーピースはTRNとしてはもうお馴染みですね。

普段は粘着テープで包装時から付着しているものをペタペタと取り除いてから撮影するのですが、すっかり忘れて開封したまま取り外してしまいました(苦笑) 少々黒いつぶつぶがありますが気になさらず…
ケース
すっかり写真を撮り忘れてしまったのですが、ブラックのハードシェルケースです。パチンと閉じるクラムシェル型で、扱いやすさもありますが、気密性が高そうなので大事なイヤホンを保存するのはオススメ。一応シリコン的な緩衝材もついています。
ハードケースなので多少圧がかかっても潰れないのは良いことだと思います。
音質について
TRN Whale Sharkの特徴を簡単に表すならば…
「優しめの濃厚感!リッチでややウォームよりで広がりのあるイヤホン」といった感じですね。
計測データは以下の通りです。
※素人による計測の為、参考程度にお願いします。

私の個体では、低音に1db程度の誤差がありますが、これは全く問題ないレベルです。高価な製品でもよくあるレベルの誤差です。そして、帯域もかなり高い精度でマッチング出来ています。
5000-7000Hzに大胆な抜きがあり、刺さりを抑えているようなチューニングなのでしょうか?
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
視聴環境
- Lotoo PAW 6000
- 付属のイヤーピース
※本記事のイヤピ画像右から2番目 - 付属のケーブル 4.4mmプラグ
サウンドインプレッション
音の傾向としてはややウォーム寄りで、聴き心地はまろやか。刺々しさやシャリつきはかなり控えめで、長時間でもリラックスして聴いていられる優しい音という印象があります。優しさもあるけどパワフル感やエネルギッシュな感じもあり、表現が難しい…!!(笑)
私個人としてはTRNブランドといえば、若干ドライで硬質なサウンドバランスという印象がどの製品からも伝わってくるのですが、本作ではそのような印象を大きく覆す仕上がり。濃厚さと適度な繊細さが同居したリッチな音でびっくりしました。
低音はやや中低音の量感が多めで横に少し広がりがありますが、程よく弾力感と柔らかさがあって気持ち良い!
重低音は周波数特性からも読み取れる通り、並といった感じで中低音の豊かさに比べるとやや控えめですが、並レベルにはでています。それにしてもボーカルやメロディラインがふわっと浮かび上がってくる表現が良く、優しい音で長時間でもリラックスして聴いていられそう…!?
低音域
量感自体はたっぷりで、やや中低音主体(エレキベース付近の音)な感じですが、広がりと奥行きや余韻が多いのでパッと聞いた感じだとサブベースも不思議と多く聞こえる感覚があります。
バスドラムの一発一発に空気感を伴ったボフッと言った存在感のある低音を鳴らしてくれます。入力に対して結構忠実に懐広く鳴ってくれるのは好印象です。ドライさ、タイトさは全く有りません、程よい柔らかさと弾力があって心地よい質感です。
中音域
聞いた感じはとてもニュートラルで、文句の一切ない出音です。
昨今のイヤホンではピアノがややドライに聴こえる傾向もありますが、響板の共鳴までも感じさせるような自然な厚みがあります。アタック感も強すぎず、ほどよく抑えられていて、全体として心地よく滑らかな質感です。
楽器全般の描写も秀逸で、ギターの胴鳴りやストリングスの弦の張りまでしっかり伝わってきます。過度な味付けや強調感がなく、どこか「丁寧に鳴らしている」という印象です。音の粒がそろっていて、聴いていて落ち着く中域です。
男女ボーカルともに程よい存在感で、やや控えめな前傾感があります。どこかふわっとしつつも女性ボーカルは若干近めに定位し、ナチュラルながらも艶っぽさが控えめ。煌びやかに輝くというより、あくまで自然体で聴かせるタイプのボーカルです。
高音域
あ~…良いですね~。
これは平面駆動がしっかり効いていそうです。高音域まで自然に伸びやかで、とても滑らか。雑味の少ない高音という印象でした。高域のエッジが丸められすぎず、適度に鋭さを残している絶妙なバランスです。
ハイハットやシンバルといった金属音も、硬質になりすぎず、どこか柔らかさを感じさせます。それでいて音の輪郭はしっかりとありますし、耳に優しいのに詳細さは残るという仕上がり。特にアコースティックやジャズ系の楽曲では、この「滑らかで繊細な高域」が心地よく響きます。
強いて言うなら、金属的なリアリティを追求するリスナーにとってはやや物足りなさを感じるかもしれません。しかし、私としてはこの上品で自然な伸び方はかなり好みで、長時間聴いても耳が疲れず、音楽にゆったりと浸れるのが良いですね。
解像度
ややウォームなチューニングで耳当たりが柔らかいのですが、微細な音まで拾える十分な解像度を備えています。
分析的にモニターするタイプではなく、どちらかといえば心地よいリスニングに振った自然な解像感という印象です。音の情報量は多いのに、どこか余裕のある聴かせ方をしてくれますね。
また、平面ドライバーの効果もあってか、高音域の微小なニュアンスや空気感の滑らかな表現に優れており、耳に刺さらない繊細な描写をしてくれます。
細部まで聴こえながらも、全体はあくまで穏やかにまとまっており、リスニング用向き。そんな仕上がりです!
ボーカル
男女ボーカルともに程よい存在感で、やや控えめな前傾感があります。
どこか“ふわっ”と包み込むような柔らかさがありつつも、女性ボーカルはやや近い位置に定位します。艶や煌びやかさは控えめで、あくまで自然体。無理に押し出すことなく、声の質感や息遣いを穏やかに描いてくれるタイプのボーカルです。
派手さはありませんが、そのぶん長時間聴いても疲れず、素直で聴きやすいボーカル表現って感じ
音場
抜け感と広がりのある柔らかい出音で、音場は広めと言って差し支えないと思います。
音の抜けが良く、空間全体にすっと広がっていく感覚があり、閉塞感はありません。特に低音が心地よくほわ~んと広がるのが癖になります(笑)
装着感について
本体はやや重ためですが、耳掛け式なので気にならず。流線型のデザインが相まって耳に収まる時の圧迫感はありませんね。

長所と短所
長所
- 気持ちいリスニング系
- 豊富な付属品
- 柔らかめのウォームな音
- 広めの空間
短所
- 本体が重め
- 遮音性は並
- デザインに癖あり

TRN製品だから迫力あるダイナミックなやつかと思ったら柔らかリスニングサウンドでびっくりした一台w
まとめ
TRN Whale Sharkは、外観の美しさと音づくりの両面で完成度の高さを感じるイヤホンでした。
広がりのある力強い低音、自然で丁寧な中域、そして平面ドライバーによる滑らかで伸びやかな高音が絶妙です。全体のチューニングは穏やかで聴き疲れしにくい印象です。長時間のリスニングでも心地よさが続きます。
デザインや付属品、ケーブルの質感まで含めて、この内容で2万円以内というのは十分な、所有する満足感も高いと感じましたし、TRNのこれまでの製品とは少し方向性が異なり、ゆったりとした完成されたリスニングサウンドを意識した仕上がりになっているのかなと思いました。


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