こんにちは。今回レビューしていくのは『Juzear Harrier(冒険者)』です。
Juzearといえば、比較的安価な製品ながら、丁寧なサウンドチューニングでコストパフォーマンスが良いイメージがあります。同社のの61Tや81Tと比べると$299と高価ですが、どんな仕上がりになっているのか気になる所…
早速レビューしていきます。

製品概要
Juzear Harrierは、Super* Review の Mark Ryan Sallee 氏が手がける「Tuned with Squiglink」プログラムを採用した、世界初の有線イヤホンです。
Squiglinkとははヘッドフォン/IEMの周波数応答データが集まるプラットフォームで、世界中の測定が共有される場。毎日たくさんのオーディオマニアが訪れます。
「Tuned with Squiglink」では、Sallee 氏がこれまでに500台以上のIEMをレビューしてきた経験をもとに、試作段階からメーカーと共同でチューニングを仕上げていきます。
単にターゲットカーブに合わせるのではなく、その製品が本来持つ良さを引き出し、ユーザーにとって一番気持ちよく聴ける音に整えていくのが特徴です。
Harrier は、約330ドル帯で支持されやすい「IEFニュートラル+ベースブースト」の方向性を軸に、Squiglinkの測定データとリスニング評価を反映しながら微調整を繰り返したモデル。
人気のあるバランス感に加え、高域がとても滑らかで、自然に耳へ馴染むトーンが魅力になっています。
仕様
| 構成 | 2DD+6BA+2PMD |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 20Hz-20kHZ |
| 発売日 | 2025年11月10日 |
| 価格 | 299ドル |
パッケージ内容
パッケージは、JUZEARブランドらしい、ちょっと華やかさがあるパッケージ。

開封後
開封すると、ウレタンスポンジに包まれる形で梱包されている、わりとよく見かけるタイプの中身になっています。

開封して驚いたことは、フェイスプレートだけでなく、イヤホン全体に透明なフィルムがしっかり貼り付けられていて輸送時についてしまう傷から保護していることですね。製品管理がしっかりしているなと感じました。

付属品
キャリングケース、クリーニングクロス、豊富なイヤーピースと付属品はかなり充実していますね。

イヤホン本体
私に届いたサンプルはイエローカラーでした。派手に成らない黄土色をちょっと落ち着かせたようなカラーリングで、おしゃれ感を出しつつも高級感がありあmす。

イヤホン本体はやや大きめな方で、同ブランドの過去作と比べても明らかに大きく厚みがあります。

付属ケーブル
付属ケーブルはかなり太めのものが採用されています。

あまり既存の製品では見られないような波打ちのある見た目をしています。それをツイストして仕上げたような感じ。

イヤーピース
液体シリコン製のイヤーピースに、普通の素材のイヤーピースからスポンジ系イヤーピースまで豊富に入っています。

ケースとその他
どこかレトロな雰囲気をまとった合皮仕上げのケース。さらにストラップホールがあるので、付属の赤いストラップを取り付けて持ち運べます。

音質について
Juzear Harrierの特徴を簡単に表すならば…
「ニュートラル系の弱点を克服したニュータイプのイヤホン」といった感じですね。
周波数特性
計測データは以下の通りです。※素人による計測の為、参考程度にお願いします。
1000Hz@94dbに合わせ左右を計測しています。

これは低域のみを強くブーストしたニュートラル…!?200Hz以上の特性が見慣れた形… ER4SRや、そのクローンに見られるような特性をしています。
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
視聴環境
- Lotoo PAW 6000
- 標準ケーブル
- 付属イヤーピース(液体シリコン)
サウンドインプレッション
最初に申し上げておきます。個人的には超オススメで気に入りました。
全体的に味付けが控えめで、ピーク感や刺激をほとんど感じないとても滑らかな音ですね。基調としてはニュートラル寄りで、原音のディテールをそのまま素直に描き出してくれる印象があります。と~~~っても素性の良い音。超優等生。音色も固くも柔らかくもないちょうどよい塩梅です。
ただし低域だけはしっかりと重みを持たせたブーストが効いています。重みのある低音と情報量の多いニュートラルな中高域が組み合わさった、独特の雰囲気を持ったチューニングです。
この『重心の低い低域 × 素直な全帯域』という組み合わせはこれまでのイヤホンにはあまりなく、新鮮なバランスを感じさせてくれます。
もはや、リスニング系のニュートラルという言葉が合いそうなどこか矛盾した名称が似合いそうな音です(笑)
ニュートラルにすると低域が弱く、立体感が乏しくなりどこか物足りなさを感じてしまう…そんな従来のデメリットを見事に解消した、新しいスタイルのサウンドが魅力ですね。…しかしちょっと気になる欠点は音量のとりにくさかな…?
低音域
1DD のような「強い圧」こそありませんが、しっかりとパンチがあり、重みも感じられる低音です。量感だけで押してくるタイプではなく、非常にコントロールが良いため、楽器に被ったり、音場全体を支配してしまうような膨らみ方は一切しません。絶妙にウォームな低音ですね。輪郭は引き締まっているのに、ほんのり温かみがあって心地よい厚みがある、そのバランス感がとても上手いと感じます。
ニュートラル寄りの全体バランスを下からしっかり支える、理想的な低域だと感じました。存在感はあるのに主張しすぎず、楽曲の土台として自然に溶け込むような上質な低音ですね。
中音域(楽器類)
ニュートラル寄りのサウンドチューニングが功を奏してか、一般的なチューニングのイヤホンでは拾いきれなかったディティールや音粒の存在感が見えてくるような音色です。特にキャラクターを持たせた音には感じませんが、音の位置関係や距離感がとてもつかみやすく、アナログ録音のジャズやフュージョン、オーケストラを聴いても驚くほど違和感がありません。
「鳴るべき位置で音が鳴る」という、ごく当たり前のようで難しい部分を、しれっと自然にこなしてくれる印象がありますね。
中音域(ボーカル)
ボーカルは『艶っぽさ』を強調するタイプではなく、どちらかというと 自然で生々しさを感じる 出音ですね。飾りを足すのではなく、声そのものの質感をそのまま届けてくれるような印象です。
高音域
最近流行りのマイクロプラナーによる自然に伸びる高音が魅力。ニュートラルベースの製品らしくモニター系のイヤホンに多く見られる特徴の10KHz付近での減衰が見られますが、また1.2KHz付近から盛り上がりを見せ、どこか繊細で余韻あるような顕微鏡で除くような小さい粒の高音を感じられます。
音場
楽曲にとても素直に追従するタイプで、曲によっては音場が狭く感じられたり、逆にぐっと広がったりと、楽曲ごとの録られ方やミックスの結果がそのまま出てくる印象があります。(ハイエンドイヤホンもそんな傾向あった気がする(?)
音場の形成に誇張がなく、余計な広がり感を演出しないため、音源本来の空気感や距離感がきれいに再現されてる印象ですね。
どの音もちゃんと距離感や奥行きを感じる整列された位置関係で鳴る定位の良さも感じます。優秀。
装着感について
JUZEAR製品の中では大きめ。少なくとも同社の61T、81Tよりは大きく耳の小さい方にはやや窮屈かもしれません。(耳の模型に入れるのに苦労しましたw)

長所と短所
長所
- ニュートラルな音色設計
- リスニング系ニュートラルという新ジャンルw
- ボーカルが自然
短所
- 大人しいニュートラルサウンド
- 本体が少し大きめ。

ニュートラル寄りが大好きな自分にはドハマリのイヤホンです。でもニュートラルって一長一短なんですよね…(;´∀`)
まとめ
Juzear Harrierは、ニュートラルだけど物足りない…を解消した、新しいタイプのニュートラル系IEM という印象でした。
ニュートラル傾向の弱点である「低域の薄さ」「立体感の乏しさ」「聴いていて気持ちよさが足りない」といった部分を、重心の低いパンチのある低音でしっかり補完。
とはいえ味付けは控えめで、全帯域はフラット寄りの素直な表現で『聴きやすいリスニング系ニュートラル』という、ありそうでなかったジャンル感ですね(笑)
ニュートラル系のサウンドが好きだけれど、どうしても低域の物足りなさを感じてきた人に特に向いているモデルかなと。
ジャズやフュージョン、クラシックといった『録られた音場』の空気感を大切に聴きたい人、ボーカルの艶感よりも自然で生々しい質感を好む人にも相性が良いかもしれませんね。
全体的に刺激が少なく、滑らかで聴き疲れしにくい音が好きなリスナーにとっても魅力的な選択肢になるのではないかと思いました。しかし、ドンシャリ傾向や派手な音色を求める人には控えめすぎるかもしれませんね。
購入先
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