今回紹介するのは、7HZ というブランドの『DIVINE』と『DIABLO』 という製品です。
オーディオブランド7Hzと著名なレビュアーのCrinacle氏とのコラボレーションによって誕生したこの2機種は、同一ドライバーを採用していながら、まったく異なる音の表情を見せる対照的なイヤホンです。
名前が象徴するように、『DIVINE』と『DIABLO』は正反対な意味合いを持つ名称ですが、どのような製品なのかレビューしていきます。

製品概要
7Hz x Crinacle: Divine / Diabloは、どちらも7Hzとイヤホン評論家として海外では著名なCrinacle氏のコラボレーションによって誕生したモデル。平面駆動方式の新開発ドライバーを搭載しているようです。
両製品はドライバー構成・筐体サイズも共通で、違いはサウンドチューニングのみという関係で、Divineは自然なサウンドを実現するバランスのとれた音色特性で10dBの低音ブーストを控えめにすることで、バランスの取れた自然な音色特性を実現しているそうです。
一方のDiabloはリスニングライクで12dBのパワフルな低音ブースト、迫力のある低音と印象的な明瞭さを備えたダイナミックなサウンドを備えた機種として登場しています。同時発売されたこの2モデルは天上と地獄という対照的なコンセプトに仕上がっています。
仕様
| 構成 | 14.5mm 平面駆動ドライバー |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 10–20,000Hz (Divine/Diablo共通) |
| 発売日 | 2025年11月 |
| 価格 | 149ドル (Divine/Diablo共通) |
パッケージ内容
外箱はホワイトを基調としつつ、メタリック調のオレンジロゴがアクセントとして映え、シンプルでありながら高級感のあるデザインにまとまっています。

開封後
開封すると、パッケージとほぼ同じサイズのケースが出てきました。かなり大ぶりなサイズ。 7Hzブランドを象徴するロゴをデザインとして取り入れたようなケースの外観をしています。
白のステッチがオシャレ~。

ケース内に全部内容物が入る仕様でした。たまに全部入り設計の製品がありますよね(笑)

付属品
最低限の付属品で価格を抑えようとしたのかな?と思いつつ、大型のケースがかなり満足度が高いです。
イヤホン本体と豊富なイヤーピース、質感高いケーブルの最低限のセットという感じ。

イヤホン本体
金属筐体で質感は高め。Diabloはシックなブラック仕上げ、Divineはシンプルなシルバー仕上げで鏡面になっています。

筐体の厚みは比較的薄めに作られており、耳に装着した際に大きく飛び出すこともなくスッキリと収まる点が好印象でした。

手に取った感触はヒンヤリと冷たい金属の感触ですが、すぐ体温を吸収して温かくなり冷たさは気にならなくなります(笑)
シンプルながら質感が高いデザインで、コーディネート性も高いのではないでしょうか。
付属ケーブル
太さが分かりやすいように、イヤホンに装着した状態で紹介しますが、ケーブルはかなり太め。硬さもそこそこあり、少々自立性もありそうな硬さです。
しかしケーブルそのもののクオリティはかなり高く満足度は高めです。

イヤーピース
イヤーピースは2種類付属します。どちらも軸は硬めで音もくっきり聴かせるタイプかも。

音質について
7Hz x Crinacle: Divineの特徴を簡単に表すならば…
「滑らかな素直な聴かせ方をするイヤホン」
7Hz x Crinacle: Diabloは…
「ウォーム感のある上品に制御された迫力ある低音特化イヤホン」
周波数特性
計測データは以下の通りです。※素人による計測の為、参考程度にお願いします。

700-800Hz付近から低音域にブーストがあるかないか、といった感じ。
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
7Hz x Crinacle: Divineの評価チャート
7Hz x Crinacle: Diabloの評価チャート
視聴環境
- Lotoo PAW 6000
- 標準ケーブル
- 付属イヤーピース
サウンドインプレッション
両機種を聞いて共通しているのは平面駆動ドライバー搭載機らしい音のキレの良さと高い解像感。キレの良さはレスポンスの速さという言葉がわかりやすいでしょうか。音の立ち上がり方が早く、鮮明で線の細い表現に長けている印象があります。
周波数特性が全てではありませんが、両機種とも10kHz付近にピークがあることをまるで答え合わせするようにシンバルや高音域にサラサラとした煌めき成分がやや強めに感じられますね。サラサラ~
Divineについて
Divineは、Diabloに比べると低音がややあっさりした印象で、各帯域のバランスが非常に取れたニュートラルな雰囲気サウンドです。
前のめりに主張するのではなく、一歩引いたところから自然体で音を届けてくれるバランス感覚ががあり、低域から高域まで過不足ありません。高音のわずかなサラサラ感を除けば強調感はほとんどなく、全体がまっすぐに整ったニュートラル寄りのチューニングだと感じました。

低音は必要十分な量感に適度な重さを含みつつ、タイトでスピード感があり、それでいて柔らかさがあります。
ウッドベースの再現の難しいアタックのニュアンスや、バスドラムが「ボフッ」と空気を押す瞬間の微妙なディティールをうまく出せているような印象もあります。
低音の方向性はバランスと自然さを優先した落ち着いた低域です。しかしほんのりとした豊かさも感じられるため、リスニングでも心地よく聴ける柔らかい余裕があるような感じでしょうか。
全体的には透明度と分離感があり、ボーカルはふわっと暗い背景から立ち上がり、ややウォームに再現し、男性ボーカルも余計な厚みが付かない鮮明さで聴かせてくれます。
中音域の楽器の描写はキレの良さを感じやすい帯域で、アコースティックギターの弦が弾ける瞬間の立ち上がりや、ピアノの高音部の煌びやかな響きなど、微細なテクスチャーが鮮明に浮かび上がります。エレキギターはザクッと切れ味よく、ストリングスも滑らかに表現してくれます。
高音域はDivineらしい華やかさがあります。伸びやかで透明感があり、倍音の美しさが際立ちます。シンバルの煌めきやバイオリンの高音はサラサラと砂のような粒子を含んだような繊細さで、クリアでありながら刺さらない絶妙な加減です。
音場はDiabloよりやや狭めで余計な広がりを抑えた整列感のある空間表現です。最初に申し上げたように一歩ひいた位置から鳴ってくれるので、そこを基準に前後左右と定位が優秀なため、アンサンブルの中から音像を拾い上げやすいかなと思いました。
まとめると、Divineは『程よい距離感を保ちながら、自然で透明度の高いサウンドを楽しめるオールラウンダー』といった印象でしょうか。過度な演出を避け、リスニングとしての楽しさも秘めた、バランス型かなと。
とはいえ…厳しく言うと、立体感がやや曖昧で音像が平たく薄い印象で上方向への空間表現がやや乏しい感じも。抑え込んでる感がありますね(^_^;)
Diabloについて
Diabloをじっくり聴いてみると、「これはまるで映画館で音楽を聴いているのでは?」と思ってしまう、身体の奥まで響き渡るサウンドにびっくりしました。床を軽く揺らすような重低音がたっぷりと鳴り、低域全体が力強くうねりながら押し寄せてくるのですが、単純に「低音の量が多い」「厚みがある」という言葉では言い表せない不思議な心地よさがあります。

心臓のあたりまで届くような独特の『うねり』がありつつも、ズシンと響きながら余計な濁りを生まないため、身体を直接揺さぶられるような迫力と快感がなぜかうまく共存しているような感覚があります。
音場の定位もやや頭の後ろ側に回り込むような感覚があり、本当にシネマサウンドに包まれているような印象を受けました。それでいて音全体のトーンはややウォームでスムーズにまとまり、濃厚な響きを持ちながら聴き疲れしにくいという、この絶妙なバランスがとても魅力的です。
高音域は刺激をしっかり抑えた柔らかな質感が印象的で、シンバルはレスポンスよく鋭いのにマイルドという相反する塩梅。ハイハットもシャキシャキと前に出すぎません。
情報量は値段を考慮すれば十分以上だと思います、聞き心地は耳障りにかなり注意を払ったのか丁寧にチューニングされているのか、音量を上げても鋭さがあまり感じられません、高域が暴れがちな曲でも安心して聴き続けられます。
厚みある低音との繋がりも良く、全体としてウォームで豊かなサウンドステージが広がります。楽曲そのものを力強く、そして躍動感を感じさせるような鳴り方ですかね。
音場表現は横方向の広がりが特に印象的で、ライブ音源では歓声や拍手が左右に大きく展開し、ステージの空気感が自然に目の前へ広がっていきます。音の密度は高いのに窮屈さはなく、横にすっと広がる開放感が気持ちよいです。
解像度は高く情報量も十分ありますが、細かな音の表情を必要以上に前へ押し出すような演出はありません。微細な音までは確かに拾っているものの、体感として身体に染み込ませるような聴かせ方で、音楽の世界に自然と没入しやすいのではないでしょうか。
重心の低い力強い低域を軸に、情感豊かな中域、優しく溶け込む柔らかな高域を組み合わせた、この芳醇で濃厚な音色はDiabloならではの個性とも言えると思います。
力強さと温かさ、そしてシネマチックな迫力を求める方ならば、心を掴むサウンドだと思います。
…もしかしてDiabloの方がドライバーの性能出し切ってる感じ?こちらの方が元気というか生っぽさというか…開放感がありますね。
気になった点
どちらも平面駆動らしさのある音で高音域のサラサラした感じに違和感があるかもしれませんが、同時に高音域に伸びを感じやすいので、結局の所は好みかもしれないっていう(笑)
Diabloを試聴した後のDivineはちょっと抑え込みすぎてる感があり、やや無味無臭な感じも。体感型の音楽を取るか、バランスを重視するかはあなた次第…!

個人的には、Diablo一択w
まとめ
7Hz x Crinacle: Divine / Diabloは、同じドライバーを使いながら、方向性だけを大きく変えてきたこのアプローチのおかげで、「誠実なバランス型のDivine」と「音楽をシネマチックに体感するDiablo」という、まるで性格の違う二つのキャラクターが誕生しています。
Divineは名前のイメージ通り、誠実でバランス型で解像度が高くニュートラルなので、モニター系にもちょっと似た無味無臭な雰囲気のあるまっすぐで誠実なチューニング。
Diabloは正反対で、体感するような心臓に響く低音の心地よさが魅力。悪魔的というかは、以外にも量感で攻めてくるタイプでもないので、魅了してくるサキュバスと言った方が個人的にはしっくりきますw 中高域が雑にならず少し太さが出るのも良かったですね。
好みや聴く音楽に合わせてどちらか一方を選ぶのも良いですし、贅沢に二つ揃えて気分で使い分けても満足度は高いはず。平面駆動イヤホンを初めて試す方にも、既に使っている人のアップグレードにもおすすめできる、完成度の高いペアでした。
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