MOONDROPの「竹」シリーズといえば、5,000円以下でイヤホン沼の入口に立つ人がまず候補に挙げる、いわば定番中の定番ですというイメージがあります。
私の感覚的に、周りにも「エントリーに竹って良いよね」と仰ってる方がけっこう多い気がします。
ということで、今回ご紹介するのはその第3世代、『MOONDROP 竹III – CHU3』です。価格は据え置きのまま、内部構造に力が入っていて、VGP 2026 SUMMERでは金賞とコスパ大賞をW受賞しています。…流石としか言えません(笑)
でも、結局は音が気になるわけで…それでは早速レビューしていきますっ!

水月雨 Japan様より、ご紹介のために「MOONDROP 竹III – CHU3(黒)」をご提供頂きましたが、内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。
製品について
水月雨(MOONDROP)は、2015年に設立された中国のHiFiブランドです。設立当初から自社で設計と研究開発を行っており、独自のイヤホン・ヘッドホン製造工場と研究開発ラボを持ち、設計から製造までを一貫して手がけています。
『竹III – CHU3』は、「四君子」シリーズの第一弾として誕生した「竹」シリーズの第3世代モデルです。竹シリーズはエントリークラスの定番として親しまれてきたシリーズで、本機では外観デザインをさらに洗練させるとともに、ドライバー構造の製造プロセスを刷新しているそうです。
ドライバーは10mmのダイナミックドライバーを1基搭載しています。振動板にはハイエンドクラスのIEMやヘッドホンにも用いられるAl-Mg合金をドーム素材として採用していて、竹シリーズでは第2世代からこの素材を使い続けています。振動板のエッジには、特性の異なる2種類のポリマー素材を組み合わせた複合構造を採用し、低域の伸びの向上と非線形歪みの抑制を図っています。
価格は4,950円(税込)で、発売日は2026年8月27日です。
| 構成 | 1DD (10mm 高性能ダイナミックドライバー) |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 20Hz-20kHz |
| 発売日 | 2026年8月27日 |
| 価格 | 4,950円(税込) |
パッケージ
パッケージはMOONDROPおなじみのイラスト使用。パット見だと分かりませんが、異なるイラストが使われています。
右下にはVGP 2026 SUMMERの金賞とコスパ大賞のロゴが並んでいます。


箱を開けると、フォームトレイにイヤホン本体がフェイスプレートを上にして収まっていて、その下に付属品が入っているような、お弁当箱みたいな構成です。
イヤホン本体
カラーはブラックとシルバーの2色です。シルバーは細かい梨地調の仕上げで、ブラックよりも金属筐体らしい質感がストレートに伝わってきます。どちらもこの価格帯とは思えない仕上がりなので、純粋に好みで選んで良いと思います。




L/Rの表記もシェル側に刻印が入っているので、左右を迷う心配はなさそうですね。
分かりやすく並べてみると以下の画像のようになります。

2Pinコネクタはやや固めですが、固すぎることもなく抜けにくく安心感がある挿入感でした。
竹シリーズを初代から並べてみると、基本的な形状は似ているものの、『竹III – CHU3』は明確にビルドクオリティが上がったような仕上げになっています。ちなみに初代はリケーブル不可能でしたね。懐かしい!

付属品
エントリー製品らしく最低限ですが、使用上で困ることはありません。

- イヤホン本体 ×1
- イヤーピース ×3ペア
- 付属ケーブル ×1
- 収納ポーチ ×1
- その他、説明書など
ケーブルとイヤーピース
付属ケーブルは値段なりですが、縦にスリットが入っていてケーブル同士の接触抵抗が軽く滑りやすくなっていました。そのおかげか、不思議と絡まりにくい質感でした。

イヤーピースは価格帯としても標準的なものが付属します。

付属ケース
収納ケースは合皮?らしい素材で柔軟性のあるポーチが付属します。


装着イメージ
装着感については、竹シリーズ伝統のコンパクトな形状のため、耳のくぼみにすっぽり収まり、何の苦もありません。

密着するようなカスタムIEMではないので遮音性はそれなりといった所ではありますが、やはり装着感の良さは大切だなと気付かされますね~。金属筐体ながら耳掛け部分もしっかり作られているので重さを感じる場面は少なく、長時間つけていても圧迫感は気になりませんでした。
音質について
最初に結論から。
- 温かみのある中低音
- ナチュラルで聴き心地良いボーカル
- 立体感、前後の奥行きに優れる
- 前作同様、リケーブルにも敏感
- 前作より大きめのダイナミクス
- 少々ウェット感
暖かめで少し柔らかさとタイトさを共存させたような低域に、帯域のごとに繋がりの良さを感じさせる優しめのボーカル表現と、滑らかさを感じやすい盛ってる感が少ないタイプのイヤホン!
重低音の迫力や、キラキラした高域の派手さ艶っぽいボーカルのブレスなどを求める方には少々物足りないかもしれません。でも長い時間気持ちよく音楽を溶けるように聴きたい方にかなり向いていると思います…!
前作よりも厚めの聴き応えがあるサウンドに仕上がっていて、薄っぺらさを感じづらいですね!
周波数特性
実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB )
※8kHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域で、実際よりもピークが強めに出やすいことを理解の上でご覧ください。
平均

左右

左右差は無いと言って良いと思います。
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格をある程度考慮した感覚的な評価となります。
試聴環境
- Lotoo PAW 6000
- lotoo PAW GOLD TOUCH
- 付属イヤーピース
全体的な音色や特徴など
前作より厚みのある音に…?
音色は全体的にやや暖かめで角の取れた滑らかさを感じる鳴り方になっていました。特定の帯域を誇張するような感じはなく、どこかの音を誇張するような感覚はほぼありません。
耳当たりも優しい音になっていて角も取れたサウンドですが。レスポンスそのものは遅さを感じさせないような程よいキレがあります。メリハリは前作より増えていて、アタックも僅かに強さが増していますが、そのアタック感も少し丸みを帯び、キツさを感じさせません。おかげで、結構音楽に引き込まれやすいというか聴き応えがあるというか、没入感があります…!
解像度面では大きなアップグレードはなく、音の出し方や質感を変えてきたよう印象です。
低音域
中低音付近に厚みやコクのような、粘りのある鳴り方を感じます。これが聴き応えに感じているような…。
前述した通り、温かみがあり弾力が強めでボフッとした空気感のようなものを伴う立体感のある鳴り方で、どこかアナログチックな立体感と表現したくなります。ウッドベースは特に聴き応えがあります。
アタックも柔らかめで適度に収束も早め。輪郭もボヤッとせず、固すぎない良い具合に感じます。
中低音付近が主体で低域の量感としては多くはないし、少なすぎることもない丁度良い量感です。中低音が主体で厚みはありますが、本作の低域の強みは、上の帯域を食わず主張が少なめなのが良いですね。このあたりもバランスに気を使っていそうです。
サブベースは出ていないことはありませんが、相対的に控えめ。
中音域
中域はエントリー機としては満足度が高い透明度があり、楽器の音の質感も素直に表現してくれます。結構リアリティというか楽器の音の質感が生っぽい感じ。高い透明度の中に僅かに滲ませたような程よい甘さが美しく、自然な鳴り方という感じです。
特にバイオリンやアコースティックギターは弾けるような明るい音色で前後にハリがあるような感覚です。
ただし、
ボーカル
MOONDROPらしい、透明感の高いボーカル表現は健在です!(笑)とはいえボーカルが強く主張するタイプではなく、前傾的に聴こえてくる様子はありません。男女ボーカルともに自然な距離感でまとまっています。ブレスのほどよい響きも心地よく、曲との相性次第では思わず聴き入ってしまいそう!
低域側に温かみがあるためか、ボーカルにも自然な厚みが乗って届いてきます。女性ボーカルは声域が上がるにつれて少しずつ前に出てきます。高音域ではスポットライトを浴びたような輝きをまとって目の前に立つような存在感がありました。ブレスや子音、語尾の余韻まで追いやすく、歌の表情がしっかり伝わってきます。
高音域
高域は刺激が穏やかで、耳に痛い帯域はきちんと抑えられているように思います。シンバルやハイハットも明瞭に聴こえますが、主旋律の邪魔をしない抑えの効いた鳴り方です。 一歩ちゃんと後ろに引けてるのは好印象です。
超高域まで伸びていく感覚はありませんが、遠くに残る響きやリバーブの消え際一歩手前くらいは十分に拾えます。しかし、線はやや細めです。もっと響きや豊かさがあっても良い気がしましたがエントリー機としては十分すぎる性能ですね。
高域に密度やきらびやかさを求める人には、少し物足りなく感じるかもしれません。ギラつきはないものの、そのぶん華やかな響きも控えめです。割と長時間聴きやすい音色に収まっているので、今回はそんな設計なのかも。
音場・空間表現
空間は横方向の広さこそ標準的な広さではありますが、前後の奥行きがわかりやすいのが良かったです。手前に立つボーカル、その周りに配置される楽器、奥のほうへ消えていく残響・ホール感。そういった距離感が自然に描き分けられているのはエントリーとしては驚異的で、この奥行き感はミドルクラスの製品でも出し切れていない製品があるくらいです。
定位も明瞭で、センターの主旋律を基準に各パートの位置を追いやすいのは好印象。ダイナミクスにはやや物足りなさはありますが、オーケストラ楽曲も十分に楽しめましたね!
長所と短所
長所
- 温かみがありつつ、収束の速い中低音
- 透明感と艶を兼ね備えたボーカル表現
- 前後の奥行きと定位がわかりやすい空間表現
- 楽器の質感が良好
- 価格以上の質感
短所
- サブベースの量感は相対的に控えめ、主張少ない
- 音数多いと音に混濁が
- 超高域の空気感は控えめ

MOONDROPらしく、派手ではなく質感で魅せてくる感じでしたね
総評と感想
『竹III – CHU3』は、定番シリーズの第3世代として、「何を変えずに、何を変えるか」をよく考えて作られたイヤホンだと感じました。価格、コンパクトな形状、リケーブル対応という竹シリーズの強みはそのままに、振動板や磁気回路、ノズルといった見えにくい部分にしっかりコストを振って、音も解像度だけを追求して伸ばすのではなく、音の質感を変えるアプローチでした。
その結果として手に入るのは、スペック表の数字以上に「音楽を聴くのが楽しい」という体験。上を見れば、描写の細かさや空間の広さで勝る製品はいくらでもあります。それでも、音楽を気持ちよく聴くために必要なものを、約5,000円という価格でここまで揃えてきたことには素直に驚かされました。
これからイヤホンの世界に入る人にも、すでに沼の深いところにいる人にも、「5,000円の基準」を確かめるために一度聴いてほしい。そう思わせてくれる、新しい世代の製品でした。
こんな人におすすめかも。
- 歌ものを中心に聴く方
- 初めての有線イヤホンを探している方
- 長時間聴いても疲れにくい音を求める方
- 耳が小さめで装着感を重視する方
- リケーブルや上流の違いを楽しんでみたい方
派手さよりも完成度。日常に溶け込ませやすいイヤホンとしての完成度が高く、上記に当てはまる方にもオススメです。
レビューは以上となります。ここまでお読み頂きありがとうございました。
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