平面駆動型イヤホンといえば、真っ先にLETSHUOERの名前を思い浮かべる方も多いと思います。S12シリーズで平面駆動を身近な存在にした同社が、満を持して送り出したフラッグシップが今回の「Ember」です。
新設計の14.8mm平面駆動ドライバーを1基だけ搭載し、シェルはチタン合金製、ケーブルはEffect Audioとのコラボ品。しかも世界999台限定という、ブランドの本気がひしひしと伝わってくる一台ですね。
ということで、「LETSHUOER Ember」をレビューしていきます!

LETSHUOER様より、ご紹介のために製品をご提供頂きましたが、内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。
製品について
LETSHUOERは、中国のイヤホンブランドで平面駆動型イヤホン「S12」のヒットで広く知られるようになり、以降もS12 Pro、S12 2024 Edition、S12 Ultraと改良を重ねています。上位モデルとして、平面駆動のS15や、ハイブリッド構成のEJ07、Cadenza 12、Mystic 8なども展開しています。
そして「LETSHUOER Ember」は、同社の平面駆動機におけるフラッグシップモデルで、世界999台の限定生産となっています。
ドライバーには、振動板の構造と駆動系を見直した新設計の14.8mm平面駆動型ドライバーを1基搭載しています。メーカーによると、従来比でコア性能が約20%向上しており、深く量感のある低域と高い制動力の両立を狙ったとしています。
筐体はチタン合金製で、フェイスプレートにはアルミニウム合金を採用しています。フェイスプレートには、製品名を象徴する銀色の炎のレリーフが施されています。
付属ケーブルはEffect Audioとの協業により開発されたもので、26AWG・4芯のUP-OCC単結晶銅線を手編みで仕上げています。イヤホン側コネクターは0.78mm 2pin、プラグは4.4mmバランスです。
| 構成 | 1PD (14.8mm平面駆動ドライバー) |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 20Hz~40kHz |
| 発売日 | 2026年1月16日 |
| 価格 | 85,800円(税込) |
| 生産数 | 世界限定999台 |
パッケージ
パッケージはLETSHUOERブランドとしては珍しい派手なメラメラとした炎のようなパッケージ!


内箱は観音開きになっています。上段にイヤホン本体、下段にキャリーケース、右側に付属品のボックスが収まっています。演出は控えめですが、丁寧に整理されたレイアウトですね~。
イヤホン本体
イヤホン本体は、立体的に浮き上がった炎のようなデザインが豪華で美しく、光の当たり方によって反射の仕方も変わって表情が変わるデザインになっています。


付属品

- イヤホン本体 ×1
- イヤーピース 3種類 合計9ペア
- 付属ケーブル ×1
- キャリーケース ×1
- その他、説明書など
ケーブル
付属ケーブルは、グレーの被膜の4芯ケーブルです。細身でしなやかなので、取り回しはとても快適。コネクターとプラグはブラックで統一されていて、革製のケーブルバンドも付属します。


拡大しないと分かりづらいかもしれませんが…ケーブルの被覆が少しキラキラとしています。
イヤーピース
イヤーピースは3種類が各S/M/Lで付属します。軸の太さや傘の形が少しずつ違っていて、音の傾向や装着感を調整できるようになっています。ただ、どれも同じダークトーンなので、パッと見ただけでは見分けにくいのが少し惜しい(笑)。

キャリーケース
アルミ製のボディにシリコン製の蓋を組み合わせた円形タイプのケースです。
蓋にはブランドロゴが型押しされていて、開けやすいようにつまみが付いています。蓋はしっかり密閉されるので、カバンに放り込んでも安心感がありますね。

装着イメージ
装着するとこんな感じ。14.8mmの大口径ドライバーを積んでいるわりにシェルはコンパクトで、耳にすっと収まります。金属シェルですが重さはそれほど気にならないと思います。
S15に大変よく似たフォルムで、見た目よりもずっと耳当たりの優しい良好な装着感です。

音質について
最初に結論から。
- 暖色寄り!滑らか&低域リッチ
- 自然な音色で、少し一歩引いた位置に置かれる中域
- 刺さりがなく、聴き疲れしにくい高域
- 分析的というより、音楽的な解像感
- 奥行きと高さで立体感を出す空間
- 躍動感のある鳴り方
低域の厚みと温かみのある音色を土台に、優しく降り注ぐようなマイルドな高域が輝く音色で、音楽そのものを気持ちよく聴かせることを大切にしたチューニング。シャープで明瞭な高域や広大な音場、ボーカルが目の前に来る近さなどは控えめな設計になっています。長時間リラックスして音楽に浸りたい、という方や、ライブ感が欲しいけどトゲがある音は苦手!という方にぴったりの一台だと思います。
周波数特性
実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB)
※8kHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域で、実際よりもピークが強めに出やすいことを理解の上でご覧ください。
平均

左右

結構フラット気味な特性だけど、低音が明確に強い感じの特性!
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
試聴環境
- Lotoo PAW 6000
- Lotoo PAW GOLD TOUCH
- 付属イヤーピース(本記事のイヤーピース画像の真ん中の段のもの)
全体的な音色や特徴など
音の傾向は全体的にやや暖色で、LETSHUOERの平面駆動機に共通する温度感があります。帯域バランスはフラットに近い特性をベースに、低域がはっきりとブーストされた、明確にリスニング寄りのサウンドです。フラットっぽい特性なので、帯域も全部がよく鳴ってるなぁと思う仕上がりになっていますね!
キャラクター的に言えば『低音温かくて強い・中音域は丁寧・高域は透明度高くて優しい』みたいな感じです。
LETSHUOERとしては珍しく攻めたチューニングで、低域の存在感はかなり強めです。ただ、グイグイ前に押し出してくるというより、厚みがあるので押し出さなくても自然と存在感がある、という感じですね。音色は若干ダーク寄りですが、ネガティブな暗さではありません。まったりとした没入感があり、音楽の中へ沈み込んでいくような心地よい暗さだと感じましたね。
低音域
耳に入れた瞬間に「おっ」と思うくらい、しっかりとした量感と重み、厚みがありますが、角の取れたまろやかさもあり、質感は柔らかく温かみのある方向ですね。
ダイナミックドライバーとは違い、歪みの少なさや制御の効いた感じがあるのは平面駆動ならではだと思います。そのうえで重低音までしっかり響き、地鳴りのような振動まで再生できるのが本作の珍しいというか凄い部分じゃないかなと思います。
リスニング寄りの味付けなので、曲によってはやや過剰に聴こえる場面も無くはないです。でも、この躍動的でうねるような低音は、一度ハマると癖になる方が多いと思います。
中音域
中域は音色に温かみがあり、少しローファイな雰囲気の曲やスローテンポの曲が心地よく聴けます。たとえばピアノは、打鍵のアタックのあとに広がる響きが柔らかく、弦楽器はアナログ的な響きを感じられる、木の温かみのある音色で鳴ってくれました。バイオリンやコントラバスのような楽器とは特に相性が良さそうですね。
ただし、アコースティックギターの弾けるような明るい響きなど、クリアで抜けの良い明るさを求める場合は、ちょっと相性が悪いかもしれません。でもそもそも本作のキャラクター性と異なる方向なので当然と言えば当然なのですが(笑)
話は戻りますが、中音域は総じて耳当たりがとても柔らかく、大音量でも疲れにくい鳴り方です。刺激よりも心地よさを優先した、リラックスして聴ける響きですね。
ボーカル
男性ボーカルは、太く温かみのある声で鳴ってくれます。低い声の響きがしっかり乗るので、声に厚みと安定感を感じます。
女性ボーカルは、なめらかで柔らかい質感です。暖色系のチューニングなのでマイルドになりすぎると懸念しましたが、声の伸びは意外と素直で、透明度も高くブレスも繊細に響きました。暖色に振り切らず、透明感とブレスの丁寧な表現を残しているのが、女性ボーカルのポイントですかね…なるほど、ボーカルの帯域以上は結構透明度に振ってきているのかなと。
ちなみにボーカルの位置は、男女ともに前のめりにならない中立的なポジションで、楽器に包まれ、溶け込むように聴こえるので、歌声だけを目立たせるというより、ステージの中央で楽器と同じレイヤーで歌っているイメージですかね。
高音域
ここまで暖色な傾向や角の取れた表現について書いてきましたが、高域だけを切り取ると暖色と言うにはちょっと勿体ないくらい、粒が極めて細かく、繊細で透明度の高い平面駆動らしい高域です。
ひと言でいうなら「超繊細なのにソフト」。キラキラと降り注ぐような細かな粒の再生力がありつつ、分かりやすくシャープネスを掛けたような表現ではない…そんな感じ。そのため、人によっては控えめに感じるかもしれませんね。
音場・空間表現
特別、空間の広さを主張するような音作りではありませんが、聴こえ方そのものは音に包み込まれるような感覚のあるシネマチックな空間です。音楽のど真ん中に立ち、迫力と繊細さが同居したサウンドに四方から包まれるような体験ができるイヤホンと表現するのが結構しっくりくるかなと思います!
長所と短所
長所
- 厚みとまろやかさを両立した、存在感たっぷりの低域
- 暖色なのに透明度が高く、粒の細かい高域
- 没入感のあるシネマチックな空間表現
- Effect Audioコラボの高品質な付属ケーブル
- チタン合金シェルと炎のレリーフによる高級感
短所
- 曲によっては低域がやや過剰
- 明るく弾ける響きは弱め
- 高域はシャープさが控えめで、人によっては大人しく感じるかも

まぁ何を求めるかによっても長所と短所がひっくり変えるくらいには個性がしっかりあるリスニング系イヤホンですね。
総評と感想
平面駆動を身近な存在にしてきたLETSHUOER。そのフラッグシップで選んだのは、リスニングに大きく舵を切った、同社としては攻めた方向性で、個人的にも予想外でした…!(笑)
それでも平面駆動ならではの安定感と絶妙なバランス感覚、高域の繊細さは手放しておらず、ブランドが積み重ねてきたノウハウの厚みを感じましたね。
85,800円という価格は、シングルドライバーのイヤホンとしては決して安くはありません。ただ、新設計のドライバー、チタン合金シェル、Effect Audioのケーブル、しっかりしたケースまで含めると、リケーブルやアクセサリーを買い足さなくても完成された一式が手に入ります。そう考えると、納得感のある価格設定かなと思います。
明るく軽快なサウンドや、キレの良さで聴かせるタイプを求める方には、別の選択肢の方が合っているはずです。でも、平面駆動特有の低歪かつ制御の効いた鳴り方を求めつつ、リスニング的な味わいを求める方なら、かなり刺さる製品になるはず。さらには、数年前の製品のように「平面駆動は硬くて冷たい・ドライな感じ」というイメージを持っている方にこそ、ぜひ一度手に取ってほしいイヤホンです。試聴だけでもぜひしてみてほしいです(笑)
世界999台の限定品なので、気になっている方はお早めに…!
こんな人におすすめかも。
- 厚みのある低域に包まれて、音楽に浸りたい人
- 暖色系でも、高域の透明感は妥協したくない人
- スローテンポやローファイ寄りの楽曲をよく聴く人
- バイオリンやコントラバスなど、弦楽器の響きを楽しみたい人
- 刺激の少ない音で、長時間リラックスして聴きたい人
- 限定モデルならではの特別感や所有欲を大事にしたい人
「LETSHUOER Ember」は、温かさと透明感、迫力と繊細さ。相反しがちな要素を1基の平面駆動ドライバーでまとめ上げたイヤホン。レビュー内容を見て、気になった方にはかなり満足度の高い選択肢になると思います。キレや明るさよりも、音に包まれる心地よさを大切にしたい方にこそ、一度聴いてみてほしいですね。
レビューは以上となります。ここまでお読み頂きありがとうございました。
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