今回ご紹介するのは、『EPZ P40』です。
透き通った水色のシェルに、見る角度で虹色に揺らめくフェイスプレート。中身もかなり意欲的で、2DD+1MPD+1PZTという現代っぽい4ドライバー構成になっています。2万円台でここまで凝った構成はなかなか珍しいかなと思います。しかも2DDは帯域別で駆動しているらしい…
ということで、『EPZ P40』をレビューしていきます!

EPZ Audio様より、ご紹介のために製品をご提供頂きましたが、内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。
製品について
EPZは、2019年に設立された中国のオーディオブランドです。長年にわたるオーディオ製品の製造経験を背景に、Hi-Fi向けのIEMに加え、ゲーミング向けIEMやドングルDAC/アンプなども幅広く展開しています。代表的な製品には、多ドライバー構成のIEM「P50」「K9」、エントリー向けの「Q5」「G30」、ドングルDAC「TP20 Pro」などがあります。
P40は、同社ラインナップの中でエントリー向けのQシリーズと上位機のP50の間に位置するモデルです。ドライバー構成は片側4基で、低域を9mmのDLC振動板ダイナミックドライバー、中域をデュアルマグネット・デュアルキャビティ構造の7mm DLCダイナミックドライバーが担当します。高域には第2世代のマイクロ平面駆動ドライバー、超高域にはPZT(圧電セラミック)ドライバーを採用しています。各ドライバーは電子回路と音響構造を組み合わせた4ウェイクロスオーバーで帯域分割されており、ドライバー同士の干渉を抑える設計となっています。
付属ケーブルは古河電工製の銀メッキOFC線で、コネクターは0.78mm 2pin、プラグは3.5mmと4.4mmを付け替えられるモジュラー式です。
| 構成 | 2DD+1MPD+1PZT ダイナミックドライバー2基 + 平面磁気ドライバー1基 + PZT圧電セラミックドライバー1基 |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 20Hz〜20kHz |
| インピーダンス | 14Ω |
| 感度 | 100dB(±3dB) |
| 発売日 | 2026年1月(※日本国外) |
| 価格 | 25,700円(税込) |
パッケージ
化粧箱は黒ベースで、惑星の軌道を描いた型押しデザインになっています。光を当てると箔押しの星・イラストが黒光り的にキラッと浮かび上がるのが素敵ですね。


中身の上蓋をパカっと開けると、イヤホン本体とキャリングケースがお出迎え。本体のフェイスプレートには保護フィルムが貼られていて、この時点ですでに虹色の輝きが目に入ってきます。(☆_☆) キラーン!!
イヤホン本体
フェイスプレートは角度によって青・紫・ピンク・赤?と表情が変わります。鏡面のシルバーフレームと刻印ロゴの組み合わせも相まって、価格以上の高級感がありました…!


ハウジングは透明のブルーで、内部のドライバーや配線が透けて見えます。ノズルは金属製で、やや長めの設計に見えますね。
付属品

- イヤホン本体 ×1
- イヤーピース 2種類 合計10ペア
- 付属ケーブル ×1
- 交換式プラグ(3.5mm/4.4mm) ×1セット
- キャリーケース ×1
- その他、説明書など
ケーブル
付属ケーブルはプラグ交換式なので、3.5mmと4.4mmのL字プラグを差し替えて使えます。分岐部やスライダー、2pinコネクターは金属製で、見た目の質感も上々です。線材がやや太めなので少し硬さと巻き癖は残りますが、タッチノイズはほとんど気になりませんでした。

太さや金具のしっかりした作りを見ると、付属ケーブルとしてはかなり上等なものだと思います。
イヤーピース
イヤーピースは、青い軸のタイプと、クリアのタイプの2種類が付属します。10ペアも付属するので豊富です。

キャリーケース
キャリーケースはミントグリーンの合皮で出来ているようです。フラップ式のポーチタイプですね。金の箔押しロゴがさりげなく上品~!

装着イメージ
カスタムIEMライクなので耳にすっぽり入りやすく、装着感に不満はありませんでした。密着した装着感なので遮音性もそこそこ良いですね…!写真でも伝わるといいなぁ…(^_^;)

音質について
最初に結論から。
- 明るくクリアなハーマン寄りのサウンド
- 締まりがあり、沈み込みの深い低域
- すっきりとして見通しの良い中域
- 女性ボーカルの抜けと透明感が得意
- よく伸びて空気感たっぷりの高域
- 価格以上の解像度と分離感
- 高さと奥行きのある立体的な音場
『EPZ P40』は、暖かみや厚みより、透明感と分離の良さで聴かせるタイプのイヤホン。高域の量はやや多めで、音の輪郭がくっきり見える明るめのチューニングになっています。
決して低音は弱くはありませんし、大人で重心低い低音を出してくれますが、分厚い中低域を求める方には少し物足りないかもしれません。しかし細かな音を見通しよく聴きたい方や、女性ボーカルを爽やかに楽しみたい方には、かなり魅力的な製品だと思います。
周波数特性
実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB)
※8kHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域で、実際よりもピークが強めに出やすいことを理解の上でご覧ください。
平均

左右

左右差は問題ありませんね!
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
試聴環境
- Lotoo PAW 6000
- Lotoo PAW GOLD TOUCH
- 付属イヤーピース(本記事のイヤーピース画像の真ん中の段のもの)
全体的な音色や特徴など
『EPZ P40』…君、2万円台って…ホント?AliExpressのセールでギリギリ2万円切ってませんでしたっけ。
聴いた瞬間に「あれ…お値段はおいくらだっけ?」と調べ直すほどには完成度の高いハイブリッド機らしいサウンドでびっくりしました(゚∀゚)
所謂ハーマンターゲット系のサウンドチューニングなのかなと思いますが、低域は持ち上げつつも深い所を持ち上げ、中域はニュートラルに。高域も伸びやかに持ちあがっていて、全体的にナチュラルなUカーブのような仕上がりかつ、レスポンスが良く曇りの無い非常に見通しの良い明るめで軽快・明瞭サウンドです。
ドライバー構成としては2DD+1MPD+1PZTと攻めたハイブリッド構成なのですが、それぞれのドライバーが手を取り合ってバランスを取っているような鳴り方で、各帯域が突出している様子がほとんどありませんし、音色の質感も低域は適度に弾力をもたせ、中音域から高音域までわずかにドライなキレはありつつも、繋がりよく一体感がある仕上がりでまとまって聴こえてきます。
また左右前後の分離感もクラスとして優秀で、一聴して解像度の高さを感じやすく、奥行きや抜け感・ホールの反響の再生まで余裕があります。
強いて言えば…というか好みの問題ですが、キレキレでスパッと鋭利な明るいサウンドなので、マイルドで甘く優しいサウンドを求めていると相性が良くないかなと思います。
低音域
低域は、非常に良い質感で支配的でもなく、適度な締まりと弾力のあるタイプだと思います。
明るめのサウンドにやや埋もれて気づきにくいのですが、重低音付近の再生も十分なレベル。中低音がやや控えめになってるおかげで重心低めに落ち着いた雰囲気の質感の低域になっています。
質感の良い低域のおかげで、低音の粒が非常によく見えやすく低域においての解像度の高さを感じます。ベースラインをしっかりと耳で追いやすいのは特筆ものです。見通しの良さを崩さずに低域の情報量を楽しめるのは、このイヤホンの大きな魅力かと思います。
中音域
中域はフラット寄りで、引っ込みすぎず前に出すぎず、ちょうど良い距離感で鳴らしてくれます。低中域がこの帯域に被ってこないので、各楽器がきれいに分かれて聴こえるのが嬉しいポイント。
ピアノのアタックやアコースティックギターの弦の擦れ、ストリングスの細やかな動きはくっきり描かれ、ガラスのような見通しの良さを感じました。上中域はやや元気…明るめで、楽器の輪郭が一段シャープに浮かび上がる印象です。ピアノソロを聞いてみると透明度高くエモくて笑みがこぼれますよ…?(笑)
熱量たっぷりな傾向があるJ-POP、J-ROCKとの相性は中低音の厚みが控えめな影響もあってか相性はほどほどですが、洋楽を聞いてみるとエモさや空気感の表現がより一層伝わりやすいでしょう。日本的なシャウト気味のロックはやや薄味になりがちなので、リズムやエモさで乗せる洋楽の方が個人的には相性良さそうです。
ボーカル
わずかに前に出てきますが、それほど前傾せず、楽器と中立的なポジションでクッキリ明瞭に歌ってくれます。低音が強かったり、音が多数重なる場面でもブレずに埋もれずにボーカルが聞き取れるのは凄いなぁと思います。
質感としてはクリアで見通しが良くややシャープなタイプだと思います。
特に相性が良かったのは女性ボーカルですね~。高い音域まですっと伸び、息遣いや声の余韻まで透明感たっぷりに描いてくれます。ウィスパー系や透明感のある歌声は、目の前でふわっと浮かび上がるように聴こえて、思わず聴き入ってるうちに寝落ち(^_^;)
男性ボーカルは、声の芯や輪郭はクリアですが、胸の響きや太さは控えめで、少し線が細め。また、録音や曲によってはサ行が少し強めに。女性ボーカルの方が向いていそうです。
高音域
量はやや多めで、上まで気持ちよく伸びていく明るい高域でした。平面駆動ドライバーの素早い立ち上がりと、PZTによる煌めきが合わさって、シンバルやハイハットの余韻がキラキラと空間に溶けていく様子が楽しめます。敏感な人は多少騒がしく聞こえるかもしれませんが、特定の帯域だけがキンと突き刺さるピーキーな感じは少なく、刺激の質自体は比較的なめらか。
ただ、高域の量そのものが多いので、長時間大音量でリスニングすると。上流次第ではやや疲れを感じることも…?
高域に敏感な方は、所有者からお借りして試聴するか、イヤーピースで調整する前提で考えると安心かなと思います。
逆に、明るく爽やかなサウンドや、ホールの残響・空気感まで味わいたい方にとっては、この高域がP40を選ぶ一番の理由になるかもしれませんね。
音場・空間表現
空間表現は、横方向の広さよりも、高さと奥行きの表現が上手なタイプ。音場は左右に広さもありますが、比較的綺麗な円形を描き、自然な前方定位になるよう僅かに前方に自然にズレつつも、頭の周りを丸く包み込むように広がります。ボーカルを中心に、楽器が前後・上下にきちんと配置され、立体感があります。
定位も明確で、それぞれの楽器の位置がはっきりと指させるような精度。楽器同士の間に余白もあり、ステージを少し上から眺めているような感覚になりました。音がバランスよく配置されている感覚があって完成度高いなぁと…(笑)
定位や空間表現に違和感が少なく距離感も掴みやすいので、ゲームでの足音や方向の把握にも使いやすそうだなぁと思います。
総じて、空間表現面での基礎性能そのものが結構高いなぁと思います…!強い。
長所と短所
長所
- 価格以上の解像度と分離感
- よく伸びて空気感たっぷりの高域
- 女性ボーカルの透明感と抜けの良さ
- 高さと奥行きのある立体的な音場と正確な定位
- 4ドライバーでもまとまりのある自然なつながり
- ひと目で惹かれる美しいフェイスプレート
短所
- 高域の量が多く、刺激に敏感な人には疲れやすい
- 曲やイヤーピースによってはサ行が強めに出る
- 少し音量が取りにくい

気になる点を挙げてみると、性能が足りないというよりは、明るくキレのあるキャラクターの裏返しといえるものがほとんど。
総評と感想
『EPZ P40』は、ダイナミック2基に平面駆動とPZTを組み合わせるという、この価格帯ではかなり挑戦的な構成を、しっかり完成度の高い音にまとめ上げたイヤホンでしたね~。完成度高すぎ!(;´∀`)
ハーマン的なチューニングなので比較的受け入れられやすく誰にでも無難に合わせる万能型に近いとは思いますが、「明るさ」と「見通しの良さ」にはっきりと舵を切ったチューニングなので、そこをユーザーの耳が許容できるかどうかがポイントかなと思います。
2万円台前後という価格を考えると、チューニング技術的な部分も含めた実力は上位クラスの製品と比べてもそれほど見劣りしません。そこに、眺めているだけで楽しくなるデザインと、単体で使い続けられる品質のケーブルまで付いてくるので、パッケージとしての満足度も高いですね…(驚)
改めてになりますが…音の見通しの良さや基礎性能の高さは、この価格帯ではなかなか出会えないレベル。好みのサウンドや聴くジャンルと合うかどうかさえ見極められれば、満足度はかな~り高いはず。
こんな人におすすめかも。
- 明るくクリアなサウンドが好きな人
- 女性ボーカルを透明感たっぷりに楽しみたい人
- 価格を抑えつつ解像度や分離感を重視したい人
- 高域の伸びや空気感を楽しみたい人
- イヤーピースや再生機器で音を追い込むのが好きな人
- 見た目にもこだわってイヤホンを選びたい人
2万円台前後で「細かな音まで見通したい」「爽やかで抜けの良い音が好き」という方にぴったりのイヤホンすぎました(笑)
高域の量が多めなので、刺激に敏感な方は、所有者からお借りして試聴してみるのがおすすめです。イヤーピースや上流との組み合わせを探る楽しみもあるので、ある程度イヤホンに慣れてきた方の2本目、3本目にもよさそうかも。
レビューは以上となります。ここまでお読み頂きありがとうございました。
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