今回レビューするのは、1DD+6BA+1マイクロプラナー(MP)に加えてパッシブラジエーター(PR)を搭載し、さらにベントの開閉で低域の質感を切り替えられるという、ミドル価格帯としてはかなり攻めたハイブリッドIEM『AFUL Performer 8S』です。

「実際どう鳴るのか」とっても気になる所!早速初めていきます。
製品概要
『AFUL Performer 8S』は、中国のオーディオブランドAFULが手がけるハイブリッド構成の有線イヤホンです。従来モデル「Performer 8」の系譜を受け継ぎつつ、チューニングや内部構造にブラッシュアップが施された進化版として位置づけられています。
ドライバー構成は、ダイナミックドライバーと6基のバランスド・アーマチュア(BA)に基本的な構成に加え、1マイクロプラナー(MP)とパッシブラジエーター(PR)を組み合わせた特別なハイブリッド方式を採用しています。
パッシブラジエーターとベントについて
搭載されるパッシブラジエーター(PR)を物理的に開閉し、低域キャラクターを切り替える『デュアル・ベース・モード』を搭載。一般的なチューニングスイッチやノズル交換とは異なる手段を採用しており、ベントの開閉によって低域の鳴り方そのもの(締まり・量感・拡がり)を変えるアプローチで、2種類のサウンドを実現しています。

また、AFUL独自のアコースティック設計思想に基づき、内部に緻密な音導管構造やクロスオーバー制御を採用することで、帯域ごとの役割分担を明確化。低域の量感と質感、中高域の解像度と分離感を高次元で両立させることを狙った設計となっています。

筐体は医療グレードのレジン素材をベースに、フェイスプレートには高級感のある美しいデザインを採用。フィット感と遮音性を重視したシェル形状により、長時間のリスニングでも快適に使用できる装着感を実現しています。
仕様
| 構成 | 1DD+6BA+1MP+1PR |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 10Hz〜35kHz |
| 発売日 | 2026年1月 |
| 価格 | $389.99 |
パッケージ
木星…!?と思う超かっこいい宇宙系デザイン。デザイン自体も秀逸で視覚的なインパクトと高級感が両立しています。

開封後
外箱を開けると、まるでジュエリーボックスのような内部構造。上蓋が紐で繋がる箱だとは予想していませんでした(笑)
イヤホン本体とケースが左右に分けられて丁寧に収まっています。

付属品

- 『AFUL Performer 8S』 イヤホン本体 × 1ペア
- キャリングケース × 1
- シリコンイヤーチップ × 3種類&各3ペア
- 付属ケーブル × 1
- クリーニングツール × 1
- ベント用シール × 1
- ベント用シリコンゴム蓋× 1
- 説明書 × 1
ベントの塞ぎ方がゴムとシールで分かれているのもポイント。
イヤホン本体
『AFUL Performer 8S』本体はそこまで大きくも小さくもない丁度よい大きさ。
フェイスプレートは木製から着想を得た美しい意匠が採用されています。

樹脂で整形された製品ですが、どこを見ても滑らかな曲線でとても高い質感の仕上がりに感じます。

ノズルも適度な長さがあり、装着感は良好です。
ノズルに返しが無いことでイヤーピース選びには気をつけたい所です。耳に残ると取り出すのが大変ですからね(;´∀`)
付属品ケース
ソフトタッチで質感の高いサラサラした仕上がりのケースが付属します。
ハードケースなので、ポケットではなくポーチやバッグに入れたい所。

イヤーピース
イヤーピースが3種類付属しています。

クリーニングツールとチューニングツール
クリーニングツールであるブラシとチューニング用のシールや小さなシリコンゴム栓が付属します。

ベントの塞ぎ方はシールか、シリコンゴム栓で行うことが出来ます。
シリコンゴム栓は、ちょっと触れただけで容易に外れて行方不明になりがちなので実用面では、好みを探る運用中では栓で、好みが定まったらシールで塞ぐと良いと思います。

付属ケーブル
ケーブルは珍しく6芯仕様で驚きました。収納する時の纏まりも良くて質感も良いです。
付属品のケーブルとしてはなかなか高い質感ですね。

音質について
『AFUL Performer 8S』の特徴は…
『上質で微ウォーム。ニュートラルで丁寧な鳴り方の有線イヤホン』という感じ。
他にも特徴をあげてみると以下のような特徴があります。
- 高い透明度
- 自然な立体感
- 滑らかで無理の無い鳴り
- やや肉厚な低音
- 安定性重視な音色
周波数特性
計測データは以下の通りです。
※素人による計測の為参考程度に!8KHzのピークはカプラの共振の為。無視推奨です。
片側を94db@1000Hzに合わせ計測。

この実測グラフ、実はベントを開けた状態と閉じた状態の2種類を重ねています。
実際の聴覚上では低音の質感に大きな変化があるのですが、計測上は低域にまったく変化が有りません。…これが音の不思議な所ヾ(⌒(ノ’ω’)ノ
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
視聴環境
- Lotoo PAW 6000 (レビュー用リファレンスとして)
- Lotoo PAW GOLD TOUCH
- 標準ケーブル
- 付属イヤーピース
音質の評価は、デフォルトのベントを閉じた状態で試聴しています。
サウンドインプレッション (バランス・音色など)
『AFUL Performer 8S』の音を一言で表すなら、「整ったニュートラル&フラットサウンドなのに、退屈じゃない」サウンド。
ドライバー構成やスペック上を見るとかなり攻めた印象を受けますが、実際に耳にすると驚くほど自然。音は決して誇張せず、過度に主張もしない。それでいて、しっかりと密度と説得力があって安定感のある音という印象的です。
多ドラ機にありがちな帯域の分断感等の不自然さは感じにくく、あくまで音楽として一体感があります。情報量は確かに多いのに、聴き疲れしない。空間も余計な広がりは持たせない。
このバランス感覚はかなり見事です。
全体のトーンはニュートラル基調。ただし、ほんのわずかにウォーム寄り。
高域は滑らかで刺さらず、角を丸めすぎない絶妙な質感。ベントを閉じていても高い透明度と抜け感を維持しています。低域は量で押し込むタイプではなく、弾力のある質感と厚みで支える方向性に思います。
あくまでニュートラルバランスな自然な音色に、『低音の厚みと弾力感』『艶っぽく繊細なボーカル』『滑らかで刺さらない音粒の小さい高音域』という帯域ごとの旨味をそっと加えた、そんな仕上がり。
総合的な完成度をじわじわ実感させてくるチューニングで時間が経つほどに評価が上がるタイプの音だと感じました。
そして本機最大の特徴が、パッシブラジエーターのベント開閉による『デュアル・ベース・モード』も試してみましたが、これは単なる低音の量感調整ではなく、低域の振る舞いや質感そのものが変わる印象です。
アタックの質感、余韻の伸び、空気の動き方までが変化するキャラクター性の変化を味わえます。
ベントを解放した状態で試聴すると、弾力感のあった低音は透明度の高い深い低音に。高音域はスカッと抜けるような開放感やヌケ感、そして透明度がさらに上がるような変化があります。
普段より長いインプレッションになってしまいましたが…『整っている。でも、ちゃんと楽しい。』そんな絶妙なキャラクターが、『AFUL Performer 8S』の最大の魅力だと思います。
低音域
思ったよりもしっかり量感のある低音で驚きました。前作はもっとあっさりしていたような…?
低域は弾力感のある輪郭の追いやすい質感・豊かさ・厚みで支える方向性で、重さがあるので沈み込みは十分。しかし多すぎたりボヤっとせずよく制御が効いています。昨今の低音のアプローチとしてはトレンドを抑えている印象もあり、結構厚みがあるように思います。
耳コピとかしやすいような音域の粒を追いやすい質感なのは結構好印象ですね。どちらかといえばリスニングよりの豊かさのある低音だと表現出来ると思います。
ベントを解放すると、音は透明度の高い深い低音になり、沈み込みが増しますが、弾力感はやや抑えられて輪郭が丸みを帯びます。
中音域
自然で誇張無くクリア。少し質感は柔らかめに整っていてニュートラル。多ドラとは思えないほどの滑らかさがあります。
前後関係の距離感はややコンパクトに収まってる印象と、誇張しない左右の分離感でモニター的に音を追いやすい感覚がありますね。正直あまり特徴が無い音色ではあるのですが、逆このニュートラルで安定感のある描写がPerformerシリーズ為らしめる部分だとも思いました。
『performerらしくて良い!』それに尽きます。
強いて言えば、中音域は全体的にやや近めの定位です。
ボーカルや主要楽器が近い距離感で展開するので、密度感や臨場感は高めになる反面、重層的に奥へ積み上がっていくタイプのレイヤー表現を求めると、奥行き方向にわずかな物足りなさを感じる可能性はあります。
ただし、これはネガティブな欠点というより、Performerシリーズらしい音作りの方向性を踏まえずに、より後方に展開する空間表現を要求した場合の話です。本作の特徴を捉えてもらうために対照的な部分を取り上げた次第です。
ボーカル
男女ボーカル共にニュートラルで生っぽく、程よい厚みと気持ち良い空気感があり、とても自然なで滑らかさを感じる描写をしてくれます。
そこに輝くのは艶っぽさとブレスの抜け感。インプレッションでも語った部分ですが、ただのニュートラルにならないさり気ない旨味が光ります。
高音域
マイクロプラナーらしい、やや角が取れつつも明瞭なエッジを感じさせる高音域。
情報量はしっかり出しているのに輪郭を強調しすぎない絶妙なバランスで鳴っています。
※箱出しは少し音がやや硬く鋭かった気がしますので鳴らし込んでみて下さい。
伸びは素直で、天井方向へ自然に抜けていく余韻で空気感の表現にも優れており、シンバルの余韻や空間の広がりが誇張無く自然に抜けていきます。
ニュートラル系のイヤホンらしい整った明瞭さを選んだチューニングだと思います。
歯擦音がまったく気にならず、刺さりに敏感な方でも比較的安心して聴ける傾向にあります。特に女性ボーカルやブラス系でも、輪郭は明瞭なのに耳に痛くならない良い調節でした。
やはり、派手さよりも安定感。長時間のリスニングも見通した設計、そう表現したくなるよく制御の効いた仕上がりです。
ベントを解放した場合は、より透明度の高い抜け感と余韻豊かな音色に変化します。
音場・空間表現
奥行き方向の広がりはやや控えめで、空間全体はコンパクトに整えられた印象です。ただし窮屈さはなく、意図的に整理された空間を描いているようなニュアンスがあります。この設計思想は本作のコンセプトとも通じており、音作りとしても一貫性を感じさせます。
しかし、奥行きに対して左右の分離は非常に明瞭でステレオ感が強く、横方向へのセパレーションに優れた設計だと感じました。音像は左右に大きく広がって展開し、輪郭も安定しています。この左右の広がりが、空間が広いと感じる方もいらっしゃると思います。(ステージ感は結構ありますし…)
俯瞰して見れば音粒が横方向に整列しながら広がっていく感覚があり、無秩序に散らばらない。そのため、各パートを自然に追いやすく、細かなフレーズも拾いやすいのが印象的でした。
情報量は多いのに、混雑しない。この整理された広がり方が、本機の空間表現の特徴と言えそうですね。フォーカスを寄せた音粒がすぐに拾える。そんな感覚です。
奥行きは少々控えめながら左右方向の明瞭さと安定感で聴かせる空間設計。音楽を分析しながら楽しむこともできる、心地よいチューニングだと感じました。
解像度
本作はミドル帯の製品だと思いますが、一昔前のハイエンドくらいの解像度があって驚きます。
ここまで帯域ごとに語ってきましたが、どの帯域も高い解像度で透明感のある音作りでした。
余談っぽい話になって申し訳ありませんが、ここまで来ると、解像度云々ではなくレイヤー感や質感、描写の仕方で競うフェーズに来ているのかもしれませんね。
装着イメージ
耳に収まる側はカスタムIEMのような有機的な窪みが随所にあり、ピタッと耳に馴染むフィット感があります。
おかげで高い遮音性も確保出来ています。
…そういえばノズルに返しが無いのでイヤーピースのスッポ抜けには気をつけたい所。

長所と短所
長所
- 滑らかで刺さらない
- 長時間リスニングに耐える
- 整列した安定的な空間
- 良好な装着感
- リスニングにもモニター的にも
短所
- ノズルの返しがない
- ベント開閉の手段にやや難あり。

…あまり短所がないなぁ?
まとめ
『AFUL Performer 8S』は、前作からより楽しい音楽性へと昇華させた意欲作という印象。
1DD+6BA+MP+PR、さらにベント開閉式。スペックだけ見ると、ちょっとキャラクターが濃そうな印象でしたが、驚くほど整っている。そして、驚くほど自然。
多ドライバー機にありがちな帯域の主張がなく、一体感があり、解像度は高いのに、聴き疲れしない。ニュートラルなのに、どこか微ウォームで心地よい。そして随所に旨味もある。
完成度で納得させてくる優れたイヤホンだと思いました。
整った高品質な音を、安心して長く使いたい、そんな志向がある方にはかなり有力な選択肢。
派手ではない。でも、完成度が高い。そして気づけばつい手に取ってしまう。
それが、今回の『AFUL Performer 8S』でした。



試聴しながらレビューを書いていたのですが、気がつけば時間を忘れて没頭していました。
いつもよりずいぶんと長いレビューになってしまいました。
購入先
免責事項:
本記事のレビューにおいて、執筆に伴う金銭等のやり取りはございません。同時に執筆内容への指示も一切受けておらず、内容は全て筆者自身の個人的な感想です。
匿名の質問コーナーやってます(^o^)ノ
mondにて匿名の質問を受け付けております、興味があれば是非質問してみてください!
質問はこちらから→https://mond.how/ja/trefle_lab










