こんにちは。今回レビューするのは『Agasound Sublimation』です。
洗練されたシンプルなデザインと、長時間の使用を想定した聴き疲れしにくいバランスを特徴とするモデル、早速レビューしていきます。

製品概要
Agasound Sublimationは、プロ用音響機器メーカー「Agasound」が手がける国内正規流通モデル第二弾のイヤホンです。洗練されたシンプルなデザインと、長時間の使用を想定した聴き疲れしにくい周波数バランスを特徴としています。
Agasoundは2013年に中国・広東省で設立された音響機器メーカーで、ステージ用途を中心としたプロフェッショナルグレードのスピーカー、アンプ、マイクなどを自社一貫体制で企画・製造・販売してきました。その音響機器開発で培ったノウハウを生かし、近年はイヤホン製品の開発にも注力しています。
本機に搭載される10mmダイナミックドライバーは、同社の音響研究所「XYLAB」にて開発されたものです。N52スーパーリニアデュアル磁気回路設計を採用し、周波数共振の最適化や帯域特性の調整を可能としています。また、セラミックコート振動板の採用により硬度を高め、高調波歪みの低減を図っています。
サウンドはトライバンド・イコライゼーションにより、低音域はスピーディーで存在感を保ちつつ過度に強調せず、中音域はボーカルの距離感と輪郭を重視、高音域は明るさと厚みを両立したバランスに調整されています。優れた低音域のダイナミクスと広い再生周波数帯域により、音楽本来の質感を重視した再生を目指しています。
筐体にはフェイスプレートからボディに至るまで航空機グレードのアルミニウム合金を採用し、5軸CNC加工による一体成形で仕上げられています。アルミニウムカラーにメタリックレッドのアクセントを加えた、Agasoundらしい洗練されたビジュアルも特徴です。
装着性については、アジア人の外耳道スキャンデータを基に設計されており、異物感や圧迫感の軽減を重視したインイヤータイプのデザインとなっています。
仕様
| 構成 | 1DD (10mmダイナミックドライバー) |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 10-20,000Hz |
| 発売日 | 2025年7月11日(金) |
| 価格 | 16,800円 税込 |
パッケージ内容
業務用機器ブランドということもあり、パッケージは華美ではないシンプルなモノクロなパッケージで少し説得力も。

開封後
開封すると、質の高いケースやたくさんのイヤーピースがたくさん入っていました。

パッケージ内側も質感の良いスポンジやイヤホンが収まる型枠など、満足度の高い開封体験でした。
付属品
付属品はかなり豊富、イヤーピースが多いあたり、ステージ用としての設計も考慮されているのかもしれませんね。

イヤホン本体
赤いラインで縁取られているデザインが特徴ですね。 ステージ向け、業務用向けの製品も製造されている関係で大人しめのデザインなのでしょうか?
(最近は関係ないかもしれませんが)

手触りは超サラサラで手垢がつきにくいような表面処理になっています。

イヤーピース
イヤーピースはなんと6種類…!硬さや素材違い、口径違いなどバリエーション豊かです。

ケース
質感高い梨地の合皮のケースが付属します。

付属ケーブル
プラグ交換式のケーブルで、使用環境に合わせたプラグを選択して使用出来ますね。

音質について
『Agasound Sublimation』の特徴をいくつか書き出すと…
- やや重心低めながらバランスの良い音色
- 定位の良くモニター的な利用も良さそう
- 誇張しない原音忠実性
- すべてが丁度いい!
周波数特性
計測データは以下の通りです。※素人による計測の為、参考程度にお願いします。
片側を94db@1000Hzに合わせ計測。

これは自然なUカーブまたはW型と呼ばれるようなタイプでしょうか。ぱっと聴いた感じは弱ドンシャリとも言えそうな絶妙な感じ。
低音の量感もしっかりありながら高音は自然な量感でボーカルも引っ込まずにと、バランスの良いサウンドだと思います。
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
視聴環境
- Lotoo PAW 6000
- 標準ケーブル
- 付属イヤーピース(赤い軸のもの)
サウンドインプレッション
流石ステージ向け、業務用機器を作ってる会社の製品だ…!
何がいいたいかと言うと、『全てがちょうど良い』音なんです、どこにも強い偏りがなく、原音忠実感のあるサウンドを奏でてくれます。
質感もニュートラル、空間表現に誇張もない。温度感も冷たくも暖かくもない。音の硬さも普通。空間表現も誇張がなく自然…
そんな当たり前を当たり前のまま丁寧に精度よく音として描き出すのが本製品の特徴かなと思いました。
この全てが丁度良い感覚は唯一無二に近い感覚で、1万円台で買えるイヤホンとしての完成度を考えた時にずば抜けて良いなと感じます。とりあえず1万円で無難で癖がないイヤホンをオススメする製品の選択肢の中にしっかり入ってくれます。
欠点が全く無いわけではなく、艶っぽさや余韻で演出する感覚がかなり希薄というのが強いて言えばの欠点かもしれません。演出を好む方からすると無機質な音に感じるかもしれません。
低音域
低音域は締まりが良く、深みと自然な量感があり、サブベースも適度に出る。キレと迫力のバランスが取れており、肉厚で弾むような質感があります。中低音付近に特に厚みがあり、アタック感もやや強めながら輪郭は硬すぎない絶妙なバランスになっています。重低音もしっかり出ますが、中低音付近の厚みを補助するような立ち位置で自然な表現だなと思います。
中音域
主張がなく、出過ぎもなければ引っ込みすぎもない均整の取れた位置で鳴ってくれる楽器の音がとくちょうだと思います。前後関係の分離も良好でまさにモニター的で聞き分けやすい音とも表現出来そうな感じ。
ボーカル
ボーカルはやや前傾感は無くはないですが控えめ。ほぼちょうど良い位置です。
男女ボーカル共に原音忠実感のある演出感の無い距離感と質感の音で、バランスが良いですね。
演出無く精密さを感じます。少しだけ艶っぽさが無くはないかな?という程度です
高音域
煌めきはありますが、聴覚上は余韻や響きにやや控えめな印象を受けます。特に金属的な響きはモニターライクで、過度な余韻を付与しない傾向にあります。しかしこれは欠点と捉えるべきではなく、音の輪郭や情報の見通しを重視した結果による音作りかなと思いました。
余韻を抑えることで各音の立ち上がりや減衰が把握しやすく、分離感や定位の明瞭さに繋がっており、楽器同士の重なりも整理された印象です。
演出感よりも正確さを重視したチューニングで、音源の意図やミックスバランスを把握しやすいサウンド傾向と言えるでしょう。
音場・空間表現
音場は全体的にやや広めで、全方向に立体感があり、天井の高さが感じられる。定位が取りやすく分離感が高いのは良いですね。
やや広めの空間なのにどこか閉塞感や壁を感じるのが弱点かもしれませんが…
解像度
この価格帯としては解像度が高く、とくに中高音域の精度の高い描写が印象的です。音数が多い楽曲でも情報が埋もれにくく、全体として良好な見通しの良さがあります。
分離感が高く輪郭も整っているため、細かなニュアンスや質感表現も自然に感じられますす、モニターライクなサウンドとしてバランス良くまとまっています。
装着感について
アジア人向けのシェイプになってるとのことでしたが、確かに私もドンピシャ並に装着感良かったです

長所と短所
長所
- モニター向け?
- バランス型
- 全てがちょうどいい音
短所
- やや無機質な音
- 余韻控えめ
- やや閉塞感あり

バランス型で、少ない短所も長所、長所も短所。 そんなイヤホン。何を求めるか?かな。
まとめ
Agasound Sublimationは、プロ用音響機器メーカーとしてのバックグラウンドが色濃く反映された、極めてバランス志向のイヤホンなのではないでしょうか。
どこか一帯域を強調するような作りではなく、低音から高音まで過不足のない均整の取れた音色で、原音を丁寧に再現することを重視したチューニングが印象的でした(低音はちょっと主張あるけど。)
低音域は量感と締まりのバランスが良く、中音域は前に出過ぎず引っ込みすぎない自然な位置関係を保ち、高音域も煌めきはありつつ余韻を過度に付与しないモニターライクな傾向です。その結果、分離感や定位の明瞭さに優れ、音源の構造やミックスバランスを把握しやすいサウンドに仕上がっています。
一方で、艶やかさや余韻による演出を重視するリスニング用途では、やや無機質に感じる場面もあるかもしれません。とはいえ裏を返せば、正確さと安定感を備えているということでもあり、用途や好みによって評価が分かれるかな~と思う所。
「全てがちょうど良い音」「短所も長所、長所も短所」
Agasound Sublimationは、派手さよりも完成度と信頼性を重視した、バランス型・モニター志向の一本として堅実な選択肢になるイヤホンだと感じました。
購入先
免責事項:
本記事のレビューにおいて、執筆に伴う金銭等のやり取りはございません。同時に執筆内容への指示も一切受けておらず、内容は全て筆者自身の個人的な感想です。
匿名の質問コーナーやってます(^o^)ノ
mondにて匿名の質問を受け付けております、興味があれば是非質問してみてください!
質問はこちらから→https://mond.how/ja/trefle_lab











