こんにちは。今回レビューするのは『Beep Audio Azure (アジュール)』です。
2025年11月3日に開催されたダルマオーディオ主催の5社合同試聴会で本機が初披露された際、私も会場で試聴する機会がありました。そこで受けた印象は良く、会場内では着座した参加者たちから「あ、これめっちゃ良いじゃん!」という声があちこちから上がっていたことを、今でも鮮明に覚えています。
改めてレビュー用サンプルをご提供いただいたため、今回はじっくりと本製品に向き合ってレビューしていこうと思います。
このような機会をくださった BeepAudio様には心より感謝申し上げます…!

製品概要
Beep Audio Azure (アジュール)は、「日本人の聴感に合わせて磨かれた、澄みわたる音世界」というキャッチフレーズでリリースされた有線イヤホン。
日本のオーディオ文化と日本人の聴衆の嗜好を丁寧に研究し、理想的なサウンドバランスを追求して誕生したモデルです。その音はまさに「日本人好みの音」の進化形。過度な刺激や圧迫感を取り除き、音楽そのものが持つ美しさを引き出す“洗練された透明感”こそが最大の魅力です。
軽快でクリアな低域
Azure の低域は量感に頼らず、スピード感と見通しの良さを重視したチューニングが特徴です。一瞬で立ち上がり、素早く減衰する低音が、音楽の躍動感を自然に描写。ジャンルを問わず「軽やかでクリーンな」聴感をもたらします。
透明で甘美な中域
最もこだわったポイントが中域、とくに女性ボーカルの表現。声の芯をしっかりと捉えつつ尖りを排除し、息づかいの揺らぎまで繊細に再現します。透明感と温度感のバランスが絶妙で、J-POP、アニソン、ジャズの深みある女性ボーカルなどが特に映えるチューニングです。
明るく上品に輝く高域
高域は明るさと繊細さを兼ね備え、シンバルの残響や弦の擦れる質感まで精密に表現。刺さるような不快な鋭さは徹底的に排除され、「透明で心地よい輝き」としての高域を成立させています。音楽のディテールを存分に楽しみながら、最高の聴き心地を両立させました。
広がりと抜けの良さが生むサウンドステージ
低域の軽快さ、中域の自然さ、高域の透明感。これら3つの特性が相まって生み出されるのが、Azure の圧倒的な「抜けの良さ」と「広がり」です。ひとつひとつの音が独立して明確に定位し、混ざり合うことなく、立体感のあるサウンドステージを構築します。オーケストラの各楽器の位置関係、ポップスにおける多重コーラスの層までもを容易に聞き分けられる、高い定位精度は、この抜けの良さがもたらす恩恵です。
仕様
| 構成 | 2DD+1BA |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 20Hz-20kHz |
| 発売日 | 2025年12月 |
| 価格 | ¥19,800 税込 |
パッケージ内容
BeepAudioさんの製品は悟空を含めて2製品目となります。まだパッケージデザインのキャラクター性が分からないのですが、Beep Audio Azure (アジュール)に関してはシンプルでかつちょっとしたオシャレ感があるパッケージ。

開封後
開封するとスポンジに包まれたケースと、イヤホン本体、冊子がでてきます。

パッケージ外側の紙筒は最低限でしたが、中身はそこそこ立派な印象。
付属品
合皮のケースや2種類のイヤーピース・説明書・ケーブルと、標準的な内容でした。
後述しますがケーブルはモジュラー式ケーブルでプラグの交換が可能です。

イヤホン本体
Beep Audio Azure (アジュール)の名称のAzureから連想する青空を想像するとちょっとイメージが異なる印象です。どちらかといえばラピスラズリの方のAzureだったかな…?…いやいやでも音は晴天のように明るく輝かしいので正解なのかも?
綺麗な見た目ですが、個性はありますよね。フェイスプレートに散りばめられたラメも美しく輝いてくれます。
左右で全然模様が違うのもユニーク。個性派のフェイスプレート。

形状としてはカスタムIEMのような人間工学な窪みはなく、耳に入るようなシンプルなシェイプで作られています。

透明な紫色のハウジングなので、音導管まで見えます。製造自体は3Dプリンタによるものだと推測。
シンプルな外観ですが作りはとても丁寧です。
付属ケーブル
細めのケーブルですが丁寧な作り。被覆はやや硬めでタッチノイズはやや大きめ。

イヤーピース
イヤーピースは2種類各3サイズでの合計6ペア。

ケースとその他
Beepと刻印された黒いシンプルな円形のケースが付属します。

音質について
Beep Audio Azure (アジュール)を簡単に表すと…
「ポテンシャルの塊!原音をより音楽的に楽しく描き出すイヤホン」といった印象。
特にボーカルと、スッキリしながらもレスポンス高い低音が優秀。
周波数特性
計測データは以下の通りです。※素人による計測の為、参考程度にお願いします。
片側を94db@1000Hzに合わせ計測。

周波数特性だけ見るとなだらかなカーブを描くW型のような感じ。 中音域付近の盛り上がりが目立ちます。
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
視聴環境
- Lotoo PAW 6000
- 標準ケーブル
- 付属イヤーピース(軸に色が入ってる白いイヤーピース)
サウンドインプレッション
概要欄でも説明したと思いますが、本製品のコンセプトは「日本人好みの音」、実際どうなのって話ですが…
はい、めっちゃ好みな音色です!めっちゃくちゃ分かりやすい音の特徴をしています…!これどうやって調査してチューニング重ねていったんだろうという驚きすらあります。
全体としてはニュートラル&フラットな雰囲気の音色でどこか温かみもあれば寒色系のようなキレの良い高音域もあり、ちょうど良いという言葉が本当に似合う…!。刺さりは無く低音もモヤっとしない長時間聴いていても疲れにくいサウンド。しかし、ただのフラットではなくて、スッキリしながら自然な豊かさを持った低音や、上方向へスッと伸びていく気持ちの良い高域など、音楽を楽しむ上での旨味を随所に散りばめた、生き生きした音色を明るく爽やかに描き出してくれます。
例えるなら晴天の下で揺れ動く花畑の中央で歌って踊るかのよう。
以下の楽曲だと軽やかに弾むような明るく奏でられるピアノや、鮮明なバイオリン、気持ちよく美しく伸びやかなボーカルなど、旨味を活かせるのではないでしょうか?
さらに、ダイナミックレンジの広さも相まって、抑揚のつけ方がとても巧み。静かに寄り添うような部分はそっと、迫力が必要な場面ではしっかり力強く鳴らしてくれるので、音の立体感やメリハリが豊か、音の収束も早くキレもあるもののぶつ切りではなく絶妙な余韻も残す。…聴いていて自然と音の表情が見えるような、生き生きとしたサウンドだと思います。
…ここまで褒めるの珍しいね。
低音域
低域は重低音をドンと出すタイプではありませんが、中低音にはしっかり厚みがあって、レスポンスも良好。エレキベースの音は輪郭のハッキリした、固くなりすぎない質感で驚くほど高い解像度で描き出します。 低音がとてもとても聞き取りやすい。
必要なところはどっしり支えられるパワー感はあり、フロアタムやバスドラムはしっかりと身体の中心やみぞおち付近に染み込むような低音を感じられます。
原音に忠実な範囲で過不足なく十分鳴らしてくれるので、すごく心地の良いバランスといった所でしょうか。
中音域
全体的に中音域の鮮明度が高くやや音が近め。楽器の音も輪郭が明確で、特に弦楽器は弦の振動や弾ける音すら耳に届けるような鮮明さと明るさを持っています。なんという中音域のディティールの豊かさ…ボーカルと弦楽器はもう素晴らしいとしかいいようがありません。
明るく爽やかに鮮明に輪郭クッキリと描き出すこの中音域、本当になかなかのものです。
ボーカル
ふわっと頭の中心からちょっと上方向に浮かび上がるようなボーカルの聞こえ方ですね。
透明度が高く、やや明るく爽やかに、吐息を漏らすような繊細な音やリップの音や空気が漏れる音すらも細かく繊細に描き出すディティールの高さに驚きます。女性ボーカルとの相性は抜群。
男性ボーカルは明るく輝かしく元気に生き生きとした表情が見えるような感じ。
高音域
高域は抜け感が素晴らしく、スッと立ち上がって、そのままスッと消えていく。その一連の流れがとても滑らかで、細部のニュアンスまで丁寧な表現をしてくれます。。音の“残し方”“消え方”が上手なので、明るいのに刺さらない、ちょうどいい繊細さが楽しめますね。
1BAもしっかり作用しているようで明確で粒立ちの良い音です。 むしろこの粒立ちの良さや濁りの音は1BAだからこそかもしれません。
音場・空間表現
音が全体的にやや近めに鳴りますが、奥に抜けていく余韻はあるので全体的には空間そのものは標準的~広めな印象に落ち着いています。
弱点として気になることを言えば、方向性はしっかり分かるし分離感も抜群ではあるのですが、定位がやや甘め。方向性はかなり分かりやすく左右のセパレーションも良いものの、音像の距離感がやや掴みづらい印象があります。
解像度
全体的にどの帯域も解像度は高め。ここまで表現した通り中音域はディティール豊かな解像感、低音はスッキリと原音に忠実な輪郭。高音域は明確な音像を持った解像度と、価格に対しての満足度がかなり高いです。
装着感について
大きめの筐体ですが、カーブや形状に工夫があるのか大きさを感じにくくスッと収まります。 比較的良い方なのではないでしょうか

長所と短所
長所
- 豊かなディティール
- 美しいボーカル
- スッキリレスポンス良い低音
短所
- 定位の甘さ
- 音像の距離感が近い
- …やや派手な見た目の筐体
日本人好みのチューニングという意味ではほんと褒める所が多いイヤホンですね。短所は定位の甘さで輪郭がハッキリしてるのに音がやや甘く広がるふわっとした定位と距離感の掴みづらさ。
でも方向性はむしろ分かりやすく、左右のセパレーションも優れていて一聴すると空間が左右に広いような感覚になるのは悪くないなぁと思いました。

個人的にはanNinaさんの楽曲が気持ちよく聞けるイヤホンw
まとめ
いや~参りましたね。
Beep Audio Azure (アジュール)のコンセプトでもある「日本人好みの音」は、聴いた瞬間に「あ~wwwなっるほどwww分かるわぁ~ww」と思わず笑いが漏れるようなほどに見事に体現されています。
ニュートラル寄りのフラットな傾向を軸にしつつ、低音には自然な厚みと量感、高音にはほんの少しの寒色系のキレの良さが同居し、全帯域が「ちょうどいいバランス」でまとまっています。そこに、透明度高いボーカルと、スッキリしつつも不足感の無いレスポンスの良い低音が見事にスパイスのように作用してくれている印象。
そして、長時間聴いても疲れにくいリスニング性の高さと、ここまで紹介してきたような音楽的な旨味をしっかり感じられる表情豊かなサウンドが本機の特徴なのではないでしょうか。
「日本人が心地よく聴けるイヤホンとは何か」を非常に丁寧に突き詰めたイヤホンだと思いました。ボーカルやピアノ・ストリングス主体の楽曲とは相性が抜群で、個人的にはanNinaさんやコトリンゴさんの楽曲との組み合わせが非常に気持ちよく、おすすめしたいところです。
ややしっとり目の楽曲を多めの紹介しましたが、幾田りらさんの百花繚乱も過不足ない低音とレスポンスで小気味よく鳴らしつつ、浮かび上がるようなボーカルを味わえるのではないでしょうか。ストリングスもさり気なくやや一歩引いた位置で鮮明に鳴ってくれるのも良いですよね。
購入先
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