今回ご紹介するのはHisenier Cano Cristalesです。
本製品は、世界一美しい川とも比喩されることのあるコロンビアの「虹の川(Cano Cristales)」にインスパイアされた美しいデザインと名称を持つ製品。果たして一体どんな製品なのか詳しく紹介していきます。

製品について
Hisenier Cano Cristalesは、中国のブランドHisenierがWILD NATUREシリーズの第二弾としてリリースしたハイエンドIEMです。このシリーズは、コロンビアの有名な「虹の川(Cano Cristales)」に見られる色合いに影響を受け、それを反映したデザインが特徴になっています。
ボディは天然の青紫金を混ぜ合わせたスタビライズドウッドを組み合わせ、光沢のあるパール調仕上げを施しており、各ペアの左右でオリジナルリティのある顔を持つような芸術的な外観となっています。
仕様について
構成 | 2DD+8BA |
---|---|
再生周波数帯域 | 10Hz〜40kHz |
感度 | 113dB/Vrms |
インピーダンス | 15Ω |
ケーブルプラグ | 2.5mm / 3.5mm / 4.4mmプラグ 交換式 |
ケーブルコネクタ | 0.78mm 2Pin |

パッケージ外観と付属品について
パッケージ
Hisenier Cano Cristalesのパッケージは、しっかりとした厚みのある高品質な化粧箱で仕上げられており、表面には凹凸加工が施されています。手に触れた瞬間から質感の高さを感じられ高級感を感じ取れます。

箱を開けると、”Thank You”と印字された半透明の化粧紙が現れ、その紙をめくると、イヤホン本体と専用ケースがスポンジに上品に収められており、開封の瞬間から”良いもの感”を味わえます。

付属品まわりにもゆとりある設計がされていて、開けた瞬間からミドル価格帯らしい満足感のある開封体験が味わえますね!
付属品
付属品は以下の画像のようなものが同封されています。

- Hisenier Cano Cristales 本体
- イヤーピースたくさん(画像参照)
- ケーブル
- 交換式プラグ(2.5mm / 3.5mm / 4.4mmプラグ)
- キャリングケース
- クリーニングクロス
- ケーブルクリップ
本体
イヤホン本体のFPは、スタビライズドウッドでそれを除けば樹脂製という比較的一般的に見られるようになった設計ですね。
なによりもコロンビアの有名な「虹の川(Cano Cristales)」をモチーフにした色合いが特徴的で美しい。

人間工学に基づいた凹凸のある設計で、耳へのフィット感や収まりが良い形状となっています。

ノズルは標準的な太さで、イヤーピースが抜け落ちにくいよう返しのある形状になっているためイヤーピースの脱着がスムーズです。細かな部分への気配り助かりますね~
付属ケーブル
ケーブルの導体には銀メッキOCC銅線が採用されているそうです。
外観は、ブラックとシルバーをツイスト状に編み込んだようなデザインで、全体としては目視でグレーに見える落ち着いた印象です。被覆には柔軟性のあるPVC系素材が使われているようで、取り回しが良く、タッチノイズも気になりません。


着脱式のモジュラー端子を採用しているため、2.5mm/3.5mm/4.4mmのお好みのプラグに変更出来ます。
イヤーピース

イヤーピースはびっくりするくらい方豊富でたくさん!硬さや素材の違い、傘厚に違いなど様々なパターンで自身にあったものを選べます。
その他

他の付属品として、クリーニングクロスとケーブルクリップも付属します。
音質について
Hisenier Cano Cristalesの特徴を簡単に表すならば
「低音が空間を支配しつつ、ボーカルに焦点が向くイヤホン」といった感じですね。
ハーマンターゲット的なカーブを強調したような感じで、ボーカルや中音域が引っ込んだりはしませんが、低音と中高音の突出具合はなかなかのものです。
聴覚上の音のバランスのグラフは以下の通りです。
※聴覚上のイメージで、計測データを元にしたものではありません。

音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
視聴環境
- Fiio M17(DC給電あり)
- 付属のイヤーピース(オレンジ色のもの)
- 付属のケーブル
聞いてみた感想
おおおお…これは分厚い低音が押し寄せて空間を埋めてきますね…w
パワフルで厚みのあるサウンドに、角が取れつつも情報量の多い高音域や解像度を感じられる音のきめ細やかさを感じます。
パランスでいえば、明らかに低音と中高音~高音域にかけて強調されたサウンド。
低音もただ厚さや強さだけではなく、空間を埋めるように広がるような厚みのある低音で、これが本製品の肝かなと思いますね。しかもこれ、ボヤっと濁らないし、ちゃんと制御感もあります。
その低音豊かな空間の中に自然にフォーカスが合うのがボーカルで、男性ボーカルなら力強く女性ボーカルなら吐息感や温度感の感じられるボイスとして聞こえてきます。
アタック感が全体的に強く、パンチのある音なのでEDM・ポップスなどを聴くのがかなり楽しいですね。
音色
無機質になりがちなV字型のドンシャリ傾向とは異なり、本機はハーマンターゲットを基調にしつつ、低域と高域を明確に強調したチューニングが特徴です。それでも全体のバランスは巧みに取られており、不自然さを感じさせない仕上がりとなっているあたり、流石のミドルクラスの価格のイヤホンです。
音色はどちらかといえば暖色系にやや寄ったトーンで、低音と高音の強調具合を除けばクセが少なく多くのジャンルに自然に馴染みます。

低音が空間を支配ッ!!そこに現るのがボーカル!
低音域
深い所から地鳴りのようにサブベースが響き、低音から中低音にかけて厚みのある、空間を低音で満たすような表現力があります。パンチ力もあり、ノリの良い低音を味わえます。
中音域
人によってはボーカルややピーキーに感じられ騒がしいと感じる方もいるかもしれません。 ギター、ピアノ、ストリングス等の弦楽器は、低音の支配力に負けず。やや一歩下がった位置に定位しますが、かなり明瞭感高くクリアに聞こえます。
高音域
鮮明で明るく伸びやかな印象があります。 ボーカルのエッジ感やハイハット、シンバルなどの音もキラキラと輝きます。アナログ収録な楽曲においては、コンサートホールなどの反響音までしっかり再生してくれる分解能の良さがありますね。
かなりエネルギッシュ感もあるので、しっとりとしたスローテンポな楽曲だとやや騒がしく感じる…かも?
解像度
8つのBAに由来している通り、音の一つひとつが明確に分離し、細部まで聴き取れる解像度があるように思います。
ハイハットの細かな粒立ち、ボーカルのブレスの震え、小編成の室内楽での各楽器の定位など、音源に含まれる細かい情報が必要十分に耳へ届きます。
これまでに説明した通り、鮮やかな高音域や分厚い量感たっぷりの低音域は、高解像度でありながら音楽的な潤い的なも感じられるサウンドに仕上がっていると感じます。モニターライクな製品とは対極的な存在で、リスニングの楽しみを存分に味わえるモデル。このような製品が一つ所有機材にあっても良いなと思える製品でしたよ。
ボーカル
わずかに不自然な厚みがあることは否めませんが、ニュアンス豊かなボーカル表現で、やや近めながら歌声の定位もナチュラル。前述した通り男性は力強くパワフルで女性ボーカルは吐息な温度感を感じられるような生っぽい音に。
こういった表現もアリなんだなと思いましたね。
音場
音の広がり方は自然で、左右にも前後にも余裕を感じる音場です。
音の粒が全体的に大きく定位という観点ではやや甘さがありますが、大体ココ!大体ココ!と言わんばかりの甘めの分かりやすい定位をしてくれるので、一周回って違和感少ないかもしれません。
装着感について
イヤホンのシェルの大きさとしては中くらいという印象で、耳への収まりもちょうどよいかなと…!
人間工学に基づいた形状をしているだけあってフィット感は良いですね。


装着時の外観は物珍しさのある配色なので第三者から注目を浴びそう。
長所と短所
長所
- 迫力ある低音!
- ボーカルに焦点が合いやすい
- 豊富なイヤーピース
- 超リスニング系!
短所
- 音のバランスに癖
- やや強調された中高音



総評すれば、短所も長所も相互的に好みや条件によって入れ変わりそうな感じ。
製品の完成度自体は高いと感じます。長所で挙げたポイントに価値を見出せる方には、価格に見合った満足感が得られるイヤホンだと思いますよ~
まとめ
強力な低域とボーカルに焦点が合いやすい中高音、そして豊かな解像度によって音楽をエネルギッシュかつ生き生きと描き出す本機は、聴いていて純粋に楽しくなるイヤホンでしたね。やや派手さに振れていますが、なんだかんだ纏まった良いチューニングで、初心者から中級者まで幅広い層の音楽ファンに訴求できる魅力を持っていると思います。
決して安価な製品ではありませんが、好みに刺されば価格以上の価値を感じられるクオリティでした。もしリスニングを最重視する方で「低音も高音も妥協せず楽しみたい」「細部まで音を聴き取りたい」という欲張りなニーズをお持ちなら、Hisenier Cano Cristalesは期待を裏切らない相棒になるかも。
本レビューが皆様のイヤホン選びの参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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