今回レビューするのは『Hisenior MEGA7』です。
先に結論を言ってしまうと、『Hisenior MEGA7』は…なぜ話題にならないのか不思議に思うほど、非常にバランスが良く、音源そのものに忠実なモニターライクな音を聴かせてくれるイヤホンでした。

ただモニター的なだけでなく、音楽を楽しく聴かせる要素もきちんと備えているように思いましたし、長時間聴いても疲れにくいチューニングなのにディテールが豊かで生っぽい立体感に思わず唸ってしまうほどでした。
自分で言うことでもありませんが、冒頭でここまで褒めるのは珍しいですね。
製品概要
『Hisenior MEGA7』は、中国のイヤホンブランドHisenior Audioが2025年11月に発売したユニバーサルIEMです。同社は元々プロ向けのカスタムIEMを得意とし、長年の実績を持つブランドです。
本作は、Hisenior MEGAシリーズが掲げる「究極のバランスサウンド」のチューニング哲学を継承したフラッグシップモデルです。Mega5P、Mega5ESTに続く第3弾として、「STAY TRUE TO THE ORIGINAL SOUND(原音に忠実であること)」をコンセプトに1年5ヶ月をかけて開発されました。価格は約$449(日本では税込6.8万円前後)と、前モデルから構成が進化したにも関わらず手頃な価格設定になっている点も魅力。
最大の特徴は、片側7基のドライバー(1DD+6BA)を搭載したハイブリッド構成です。新開発の10mmデュアルキャビティバイオセルラーダイヤフラムダイナミックドライバーが5Hz-200Hzの低音域を担当し、Sonion製とKnowles製のBAドライバーが中高音域を緻密に描写します。「4ウェイ、4サウンドチューブ」による精密なチューニングにより、周波数特性を極めてクリアに分離し、原音に忠実なサウンド再生を実現しています。
力強く深く響く重低音、自然で定規のようにフラットな中音域、そして正確で滑らかに伸びる高音域が特徴で、スタジオ級のクリアな高音を耳元で楽しめます。
仕様
| 構成 | 1DD+6BA |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 10Hz-40KHz |
| 発売日 | 2025年11月 |
| 価格 | $449 |
パッケージ
外箱は梨地加工のサラサラとした質感で、イヤホン本体と製品名が上品に配置された美しいデザインになっています。

開封後
筒状になってる外箱を開封してみると、上に開くタイプの箱でした。中身まで質感高い手触りの箱が使われていて驚きます。

開封してみると『Hisenior MEGA7』のスケッチが描かれた保護紙が出てきました。

中身を取り出してみるとかなり豪華なパッケージングになっていることが分かります。
一つ一つが質感高いのがプロフェッショナルなブランド感がありますね。

付属品

- Hisenior MEGA7イヤホン本体 × 1ペア
- キャリングケース × 1
- シリコンイヤーチップ × 2種類&各5ペア
- フォームフォームイヤーチップ × 2ペア
- ORCA 付属ケーブル × 1
- ORCA 4.4mm to TYPE-Cアダプター× 1
- クリーニングクロス × 1
- 交換用ノズルフィルター × 1
- ケーブルクリップ × 1
- 説明書 × 1
- 保証書 × 1
かなり充実したパッケージです。
イヤホン本体
『Hisenior MEGA7』の本体は、黒い樹脂筐体に固有のロゴが描かれ、背景にはキラキラとしたラメが散りばめられたモノクロ的なデザインになっています。

カスタムIEMのようなシェイプで深い窪みがありながらカーブを優しく丸められているような作り。

付属品ケース
ボタン止めタイプの円形のケースです。柔軟性が高く、ボタンを外したら開封した状態で維持出来るので収納面はストレスフリー。 とても作りの良いケースですね。

イヤーピース
イヤーピースが3種類付属。
よく見かける所謂07系のイヤーピース(赤)や同じく他2種類もよく見かけるイヤーピース。
付属イヤーピースとしては赤いものを除けば並の品質だと思うので必要に応じて社外品を使う方が良さそうです。

ノズルフィルター&クリーニングクロスその他
ORCA 4.4mm to TYPE-Cアダプターと、ノズル用の交換フィルター、そしてクリーニングクロスやケーブルクリップと、実用面やステージモニターとして用いられることも前提とした付属品となっているのではないでしょうか。

ORCA 4.4mm to TYPE-Cアダプターの質感がかなり高め。付属ケーブルと同じデザインの金具が用いられていて特別感があります。

付属ケーブル
ケーブルはORCAケーブルという名称があるようです。
6NのUPOCCが用いられ、内部構造はリッツ構造になっている拘りの見えるケーブルが付属します。

音質について
『Hisenior MEGA7』の特徴は…
『生々しい立体感!ディテールに優れたモニターライクなイヤホン』という感じ。
マジもんの万能すぎる優秀なイヤホン。特に細部のディテールの優れ奥行きや立体感が高く原音忠実を見事に体現しているイヤホンですね。
周波数特性
※素人による計測の為、参考程度に。8KHz付近の山はカプラの共振の為。無視推奨。
計測データは以下の通りです。
片側を94db@1000Hzに合わせ計測。

プロフェッショナルな現場向け製品を手掛けているブランドだけあって、多ドラ構成でありながらこの左右のマッチング精度は優秀です。ESTドライバーは搭載されていませんが、10KHz以上でも減衰が見られず、現代的なチューニングに仕上がっています。
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
視聴環境
- Lotoo PAW 6000 (レビュー用リファレンスとして)
- Lotoo PAW GOLD TOUCH
- ORCA 標準ケーブル
- 付属イヤーピース(赤)
サウンドインプレッション (バランス・音色など)
『Hisenior MEGA7』の音を一言で表すなら、「ニュートラル寄りで低音に深みを加えたモニターライク」なサウンド。
全体的にはフラットな周波数特性を維持しながら、サブベース帯域に厚みと迫力を持たせることで、ちゃんとモニター寄りなのに、退屈しないこのバランス感がなかなかうまい…!
音色はニュートラル&ナチュラル、しかもどこか有機的な立体感があり、無機質な感覚がありません。『音の粒ごとに適切な厚みや立体感がある』そんな生々しい原音忠実感です。歪みが少なく各ドライバーの繋がりも滑らかで完成度の高さを感じますね。
低音は深く力強く沈み込みますが、中低域はハイレベルに制御されていて良く引き締まり、重低音や厚みを感じられる味付けでありながら中音域を全く喰わない巧みなチューニング。中音域はフラットで色付けが少なく、ボーカルや楽器の音色が自然に再現されるようなディテール。高音域は伸びやかでクリアながら刺さりがなく、上品な艶を保ちつつ超高音域まで気持ちよく伸びています。金属音の表現もかなり優秀で生々しいシンバルの音や響きが再現されています。
定位は優秀で、まさにスタジオモニター的に音の位置関係がかなり追いやすく正確です。それでいて平坦に整列することなく立体的で、奥行方向がしっかり広いのも本作の特徴かと思いました。
音のレイヤー感が明瞭で重層的、手前から奥へと音が配置される空間表現が再現されています。
制作用途でも普通にいけると思います。でもガチモニターほど味気なくはないのが旨味ですね。
リスニング用途で考えても低音の迫力とリアリティの高いディテールによる没入感で音楽をたっぷり楽しめる、超オールラウンダーな製品だと思いました。
低音域
量で言えばやや多めですが、味付け感を感じにくい制御の効いた自然なブースト感。
深く重厚さがありながら、統制が取れているような表現が似合うようなモニターライクなニュアンスとリスニング向けの味わいが両立したような低音で、中低音の輪郭は厚めですが輪郭が明瞭で解像度が高く感じられます。
低音のアタックは明瞭に「ドンッ!」と感じられますが、過度にならずによく制御が効いています。収束が早めですが、厚みを損なわない余韻もあり、所謂グルーヴ感を感じやすい質感です。(グルーヴ感って伝わりにくいかな…)
また、少し包まれ感や広がりのある低音の鳴り方で、楽曲を優しく包むような広がりがあります。低音に浸れる感じといった表現が正確でしょうか…?支配的にはならない程度に広がる塩梅が丁度よいですヽ(・∀・)ノ
中音域
中音域は癖のないニュートラルなチューニングで、低音から高音まで自然に繋がっています。特にボーカル帯域がしっかりと存在感を保ち、楽曲の主役である歌声やメロディラインが前に出てきます。Hiseniorが謳う「定規のようにフラットな中音域」という表現通り、モニターライクな素直さを感じさせるチューニングですね。
楽器の音色は極めてナチュラルで、不自然な色付けが感じられません。モニターライクと表現はしますが、有機的な立体感を感じられるような生々しい再現性があり、ギターやピアノといった楽器の質感やディテールまで繊細に描き出されます。各楽器がきっちり分離して定位するため、音が団子状に混ざることなく高い分離感で楽しめます。
本機の凄いポイントが、やや重厚なチューニングになっている低音域との分離の良さです。低域が豊かに鳴っていても中音域が埋もれることはない巧みなチューニングになっています。この中音域の透明感と分離の良さ、そして立体感が『Hisenior MEGA7』のモニターライクでありながらリスニング体験を心地よくさせている魅力的な要素だと感じます。
ボーカル
先程申し上げた通り極めてナチュラル。男女ボーカルどちらも澄んでいながら艶やかさも感じられる絶妙なバランスです。息遣いや細かなビブラートの揺れまで繊細に表現され、どこか艶っぽさがあります。高域成分もクリアに伸びているので、ウィスパーボイスのか細い吐息までスーッと耳元で感じられるようなリアルさがあって効いていて気持ちよさがあります。
何度も言うように「モニターライク」と表現しながらも決して無機質ではない。ボーカル曲を聴くのが非常に楽しくなる表現力を持っています。
高音域
…BAってここまでやれるんだ…!?と驚きが隠せません。
高音域は、伸びやかで抜け感も透明度も高く、かつ刺さりのない調整が施されているように思います。まず印象的なのは解像度の高さで、シンバルやハイハットの倍音豊かな繊細なディテールまで生々しく再現されます。シンバルをブラシで擦る時の質感や、トライアングルやウィンドチャイムを鳴らした時の繊細な余韻まで高い表現力を感じました。
先程言ったように高域の抜け感も素晴らしく、10kHz以上の超高音域までスッと気持ちよく伸びています。それでいながら耳への刺激感が少なくシルキーさもある。長時間聴いても疲労感がありません。音量を上げても高音が鋭く尖ることがなく、常にスムーズで上品な艶っぽさを維持してくれるのには驚かされましたね。
どうやら前モデルのMega5 ESTではESTドライバーを搭載していたこともあり、なぜ最新モデルでは削られたのかと疑問に思っていましたが、実際聴いてみると全く問題ないというか、これならEST不要かもと思わせるようなレスポンスと繊細さ。BAドライバーの高音ってこういうのが欲しかったんだよ!と思わずニヤつきながら頷いてしまいました。
倍音成分の出し方も自然で、背景も暗さを感じさせる余韻もありますし、スーッと奥行き方向に抜けていく感覚がとても心地よいです。不自然な高域の味付けも一切なくあくまで収録された音に忠実でありながら決して地味すぎない。気持ちの良い高音域という印象を受けました。
総じて、鮮やかでありながら耳に優しい、ハイレベルな高音域だと感じました。
音場・空間表現
空間の広さは標準的で、本作の原音忠実というコンセプトを体現している故の広さという感覚があります。決して狭くもなく広くもない。そんな感覚です。しかし高音域の抜けの良さも相まって狭さは感じず、空間は標準的なのに開放感は適度にあるので満足感は十分にあります。 ほどよく広がりのある自然な音場感、そんなワードが似合いそうですね。
再三言っていますが、前後方向の奥行き感がしっかり表現されている所がポイントかなと。ミドル帯の製品の中でもかなり立体感を感じやすいですね。
クラシックのオーケストラを聴くと分かりやすく、ヴァイオリン群、管楽器、奥に打楽器といったステージ配置が見通せて、音のレイヤー感が丁寧に表現されています。…ということもあり定位感もバッチリ、モニターイヤホンとして十分すぎる性能でしょう。
FPS等のゲームは私は手を出していないので詳しくありませんが、なんとなくそういったゲーム用途でも十分通用するのではないでしょうか。このあたりはプロユース機器を手掛けてきたHiseniorの設計ノウハウが活きている部分だと感じます。
低音域と高音域でそれぞれ語った内容ですが、低音域はやや広がりがあり包まれ感がある鳴り方に対して、高音域はスカッと抜け感や精度の高い描写で、その2要素が音楽に浸る・包まれるといったリスニング的な味わいを提供してくれています。
これがモニターライクになりすぎない部分なのではないでしょうか。
解像度
何よりも、解像度が高くないと気付けないような立体感を強く感じました。
意識を向けないと聞き取りづらかったようなオーケストラの生収録に由来するノイズや擦れる音や楽器のフレーズ、ピアノのペダルを踏むキコッという音やギターのフレットノイズなどそんな、背景の微細な音まできちんと拾い上げてきます。
ミドル帯の製品の中でも分かりやすく解像度を感じやすい製品だと思いました。精密さと音楽性を両立した素晴らしいチューニングで、この解像度の高さは本機を語る上で欠かせない長所ですね。
装着イメージ
装着感については個人的に満足度高め。カスタムIEMのような有機的なシェイプで、丸みをうまく帯びた形状になっており、耳へよく収まっています。
実際に2時間ほど装着してみましたが、耳の痛みや疲れは発生しませんでした。

長所と短所
長所
- 全帯域で高いバランス
- 定位・分離が良い
- 低音の質と量が優秀
- 奥行きある優秀な定位
- 良好な装着感
短所
- 付属が4.4mmのみ
- 人によっては地味かも

正直、弱点と言った弱点も無くて好みの差かな~くらい。全体的に完成度が高すぎる製品でした(^_^;)ガチで…
キャラクター性がハッキリしてるので長所短所というかは合うか合わないか、くらいの感覚です。
総評
『Hisenior MEGA7』は、期待以上の完成度を持った有線イヤホンでしたね。なんか心の底から「レベルの高すぎる万能型イヤホン」だなと思いました。…マジで。というか最近のミドル帯の完成度の高さヤバイ。
これを基準にしちゃうと他のイヤホンが苦戦を強いられるんじゃないでしょうか。イヤホンの新時代がまた来るかもね…。
これ、弱点どこだ…?ってなりました。マージでかなり完成度高いです。
Hiseniorの掲げる「原音に忠実」という考えが存分に体現されたサウンドで、オーディオ歴の長い方が聞いても納得行く仕上がりなのではないでしょうか。
個人的にも「普段使いのメイン機」として据えたくなる実力だと感じました。この製品を試聴した後に、他のイヤホンを聴くと、今まで気づかなかったお手持ちのイヤホンの癖や特徴を感じられるかも…?
こんな人におすすめ
特に「モニター的なフラットサウンドが好きだけど、ちゃんと音楽も楽しく聴きたい」という欲張りなニーズをお持ちの方にはドンピシャだと思います。
解像度や定位も優れているのでDTMなど音源制作や楽器練習のモニター用途にも向きますし、逆にリスニング用途でゆったり音楽鑑賞をしたい方にも向くと思います。あ、ゲームにも向くかもしれません。



良い意味でため息が出るほど実力派。
購入先
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