こんにちは!今回レビューするのは『Punch Audio Portazo』です。
耳にした瞬間からその迫力あるサウンドで驚かされるイヤホンです、でもこの製品低音が強いだけじゃないぞ!?

製品概要
Punch Audio Portazoは、新興ブランド「Punch Audio」による第2弾のインイヤーモニター型イヤホンです。
前作Martiloが複数ドライバーを搭載した高価格帯モデルだったのに対し、『Punch Audio Portazo』はドライバー構成を見直し価格を抑えつつ、同ブランドの哲学である深く力強い低音をしっかり継承したモデル。
特に低域へのこだわりが強く、重厚なサウンドを好む方にに照準を合わせて開発されています。
価格帯は約3万円前後で、実売が2万円ちょっと程度に収まり、迫力あるサウンドを求めるユーザーに注目されている製品です。
仕様
| 構成 | 1DD+2Planar |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 20Hz~35kHz |
| 発売日 | 2025年11月 |
| 価格 | $217.35(投稿時) |
パッケージ
Punch Audioらしくパンチのある押し出し強めのパッケージ。色ではなくデザインで派手を演出する素敵なデザインです。

開封すると、観音開きになるタイプのパッケージでした。イヤホン本体が美しく輝くグリーンで存在感出してきますね(笑)
フェイスプレートがこすれたり、中身が動かないようにスポンジが蓋部分に接着されていて丁寧さを感じます。

付属品
Punch Audioのロゴが映えるキャリングケースに目が行ってしまいました。
イヤーピースは2種類用意されており、厚みのある液体シリコン系イヤーピースと、低反発フォームタイプのイヤーピースがそれぞれS/M/Lの3サイズずつ付属します。
イヤホンのノズルに装着する交換用フィルターも予備が付いていて長期間の使用にも考慮されていることがわかります。ケーブルもかなり質感高めです。

イヤホン本体
Punch Audio Portazoのイヤホン本体は、少し深みのあるメタリックグリーンのフェイスプレートか輝きます。
この模様は手作業…?製品ごとの個体差があるタイプの製品でしょうか。手に取って見ると、一つひとつ模様が異なるようで、光にかざすとメラメラと光ります。
イヤホンの形状は耳掛け式の今風のカスタムIEMライクなデザインですね。

美しい曲線でムラのないツルッとした造形です。ノズルも一体型の樹脂で金属ではないようです。

イヤーピース
イヤーピースは2種類、3サイズの合計6ペアで構成。
液体シリコンのイヤーピースが結構肉厚で、付属品としてはかなり優秀です。単体で販売しても良いのではないかと思うほど。

ケーブル
プラグ交換式のケーブルが付属するので、3.5mmと4.4mmを使用環境に合わせて対応可能。
複雑な手順もなく、引っ張るだけで取り外せて挿すだけで交換が完了するので楽です!

ケース
ブラックのPUレザー調素材にブランド名が刻印されたファスナー開閉式のケースで、サイズはコンパクトですが、厚みがあるので思ったよりは入ります。イヤホン本体とケーブル、さらには予備のイヤーピースなどを収納して持ち運ぶことができます。

交換用ノズルフィルター
もしあったら助かる付属品の筆頭、交換フィルターです。ここが耳垢で汚れると洗浄が不可能なので、交換出来るのは安心です。

音質について
『Punch Audio Portazo』の特徴をいくつか書き出すと…
- 地を揺らすような重低音
- 重低音に負けないクリアな中高音
- 巧みのチューニング
- 広めの空間
- 強めのアタック
周波数特性
計測データは以下の通りです。※素人による計測の為、参考程度にお願いします。
片側を94db@1000Hzに合わせ計測。

特に大きな左右差無く、優秀なマッチングです。
重低音は特性を見て明らかな程に控えめですが低音そのものはフラットを維持しています。
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
視聴環境
- Lotoo PAW 6000
- 標準ケーブル
- 付属イヤーピース(液体シリコン)
サウンドインプレッション
あ、あれ?意外とナチュラル…
一聴してみると、重ための重低音が身体の芯に染み渡るような感覚があるのですが、輪郭が明瞭でボワッとしにくい質感の良い低音ですね。かなりたっぷりと重低音を軸に低音をブーストしているようですが、滑らかでイコライザを極端にかけたような音にはならず、破綻の無いとても自然なブーストです。
アタックは強めですが、質感が固くなく柔軟性や弾力を感じるような具合に調節されています。そしてそのアタックが余韻や残響のホール的な響きもしっかり出ています。うん、ナチュラルで凄く良い…!
低音域
まず何より特筆すべきは低音域の量感と迫力でしょう。先程も言いましたが身体に芯に伝わってくるような深い低音が押し寄せてきて思わず圧倒されました。しかし見事な制御でボワっとしない違和感の無い必要な弾力性を持った低音域です。他の音が完全に埋もれてしまうようなことはありません。
ベースラインには弾力が感じられ、音の輪郭も一定の輪郭を保たれ、解像度の低下を見事に抑え込んでいます。
音の質感としては、硬質でカチカチにアタック感の強い低音というより、深く沈み込む柔らかさを伴った低音です。ボフッと空気を押し出すような鳴り方で、主張が予想外に控えめ。上手な制御が効いています。
中音域
ボーカルや楽器が過度に引っ込んでいる印象はなく、中音域全体として一歩引いた“ちょうどよい距離感”で鳴っています。
中域のチューニングはややウォーム寄りで、音像は視聴者の正面から一歩後方に定位するような感覚ですね。
音色傾向としては派手さや明るさを強調するタイプではなく、落ち着いたナチュラルさを重視した方向性だと感じます。中域は滑らかでクセが少なく、特定の帯域が主張しすぎることもありません。そのため長時間のリスニングでも聴き疲れしにくく、バランスの良さが印象に残ります。
ボーカル
男性ボーカルは適度な厚みと温かみがあり、しっとりとした質感です。女性ボーカルも刺々しさはなく、柔らかく滑らかな音色で心地よく響きます。
本作は低音域を重視したバランスのため、ボーカルはミックスの中で前に出過ぎることはなく、むしろやや引いた位置関係でまとめられています。
ボーカル表現としては、ブレスやリップノイズまで克明に描き出すタイプではありませんが、ほんのりと落ち着いた艶を帯びた自然な質感が印象的です。派手さを抑えた分、長時間聴いても疲れにくく、楽曲全体に溶け込むような安定感のある鳴り方だと感じました。
高音域
高音域は、低音域とのバランスをとるように程よく抑制が効いたチューニングでギラギラしていません。しかし、決して高域が出ていないわけではなく、全体のバランスを整えるために必要な部分だけさりげなく持ち上げている印象で、音全体の輪郭をそっと形作るような役割を果たしています。
いいですね…!なめらか。
音場・空間表現
音場は、自分を中心に前後左右へ均等に広がる包まれるような空間表現力を持っています。
左右のステレオ感も強めで、奥行きもしっかりでていますし、全体的に不満はありません。
解像度
解像度は、重低音を前面に押し出したイヤホンという先入観から想像するよりも高く感じられました。低音が支配的な場面でも中高域のディテールは失われにくく、各パートの存在感をきちんと把握できます。
最近はかなり減ってきているように思いますが、低音ドンシャリ系にありがちな中高域ディテールの劣化が感じられないのも印象的です。バックで鳴るシンセや残響・余韻・ボーカルの細かな抑揚なども埋もれることなく自然に感じ取れました。モニター系のように分析的に聴かせるタイプではありませんが、全体のバランスの中でディテールが丁寧に描かれている印象です。
装着感について
カスタムIEMライクなデザインもあって耳にすっぽり収まる形状で特に不満はありませんでした。やや小ぶり?な本体サイズも相まって装着感が個人的には良かったです。

長所と短所
長所
- 圧倒的な低音
- 刺激のない高音
- 低音に負けない情報量
- 独自のサウンド
短所
- 低音が強すぎる
- 個性的
正直、想像以上にナチュラルな仕上がりで、低音の強さや個性という部分を除いては短所という短所もあまり思いつかなかったです。

チューニングが上手なイヤホンだったね
まとめ
Punch Audio Portazoは、力強い低音表現を主軸にしながらも、全体のバランスにしっかり配慮された完成度の高いイヤホンです。一聴してすぐに印象に残るのは重低音の迫力ですが、想像以上にもナチュラルで丁寧なチューニングが施された仕上がり。
聴き進めるにつれて中高域の情報量や自然な音の広がりにも気づかされ、単なる低音だけを重視したような低音特化モデルではないことが分かります。
流石に万人向けの音ではありませんが、Punch Audio Portazo特有の広がりのある音で自然に演出された臨場感と没入感があり、音楽を楽しく聴かせてくれます。重低音や空間表現を重視しつつ、上質なリスニング体験も求めたい方におすすめできる一本と言えるでしょう。
購入先
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