今回ご紹介するのは、「SeeAudio Bravo」です。
4BAイヤホンとして何度も派生モデルが作られてきたBraveryシリーズの後継機にあたるものですね。
外箱には「Bravo」の文字と共に小さくBRAVERY MK.IIと併記されていたりと後継機であることをしっかりアピールするパッケージ。中身は4BAから1DD+3BAのハイブリッド構成へと大きく変わりました。パッケージにはSeeAudioおなじみのキャラクターイラストもしっかり入っています。
ということでレビューしていきます!

本記事の執筆においてはご提供頂いたサンプルを利用しております。記事の内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解で構成しています。
製品について
SeeAudio(シーオーディオ)は、中国・杭州のHangzhou Xiyin Technologyが展開するイヤホンブランドです。2019年、国内の複数メーカーから集まった若手エンジニアによって設立され、カスタムIEMの製作経験を製品開発の土台にしています。パッケージや付属品にオリジナルキャラクターのイラストを使う作風も特徴です。
ラインナップには、Bravery以前から展開するYumeシリーズ、当時のフラッグシップだったNeo、マスコットキャラクターの名を冠したRinkoなどがあります。4BA機のBraveryは、チューニングやデザインをユーザーコミュニティの投票を経て決めたモデルで、その後もBravery AE、RB Edition、日本向けチューニングの「麻婆豆腐」、Bravery24と派生モデルが続きました。
「Bravo」は、このBraveryシリーズの後継にあたります。ドライバー構成は、Braveryの4BAから、ダイナミックドライバー1基とBA3基を組み合わせたハイブリッド構成に変わりました。
帯域の分割には4ウェイのクロスオーバーを使っています。低域はDDとBAが共同で鳴らす設計で、力強さとスピード感、音の階調表現を両立させたとしています。
付属ケーブルは、中国のケーブルブランドHAKUGEIが手がけたOCC銀メッキ線を採用しています。
| 構成 | 1DD+3BA |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 20Hz〜20kHz |
| インピーダンス | 8Ω |
| 感度 | 110dB ±1dB SPL/mW |
| 発売日 | 2026年9月10日 (国内国外共通) |
| 価格 | 369ドル / 59,900円(税込) |
パッケージ
ピンクと紺を斜めに塗り分けた背景に、うさ耳ツインテールの女の子が大きく描かれています。
SeeAudioといえばこの可愛らしいうさ耳スタイルのカチューシャをしたRinkoちゃんがマスコットな訳ですが、今回はキャンディを加えながらむくれた表情をしています。(カワイイネ)

外筒を取り外して開封を進めると、BRAVOの文字が入った金属プレートと共にイヤホンがお出迎え。
※左下の白いシートは、イヤホン本体を保護するフィルムです。

ちなみに、フタの裏にもイラストが刷られています。全身の立ち絵と、外箱と同じバストアップの2カット構成ですね。開けた瞬間にもう一度キャラクターと目が合う作りです(笑)

イヤホン本体
フェイスプレートは紺と紫が混じったようなカラーリング。中には赤や金のフレークがぎっしり散りばめられています。
SeeAudioブランドとしては定番のデザインで、左右で紋章とブランドロゴを身につけたデザインで仕上げられています。

ハウジングは透けた紫の樹脂で、中のドライバーや配線が見えます。2Pin端子のそばにはベントらしきものがありますね。ハウジングの中は樹脂で充填されておらず、中空になっています。

付属品
付属品一式です。説明書、SNSアカウントが載ったカード、イラストカード、アクリルプレート、ケース、ケーブル、イヤーピースが入っていました。検品書には担当者のサインとシリアル番号が書かれています。

- イヤホン本体 ×1ペア
- ケーブル ×1ペア
- イヤーピース 2種類 合計7ペア
- ケース ×1
- アクリルスタンド ×1
- イラストカード ×1
- SNSカード ×1
- その他、説明書など
ケーブル
付属ケーブルは銀メッキ線を撚り合わせたタイプで、プラグは4.4mm。プラグのハウジングにはSeeAudioのロゴと丸い紋章が入っています。2Pin側にはL/Rの刻印があり、オレンジのレザー調ケーブルタイも付属。

ケーブルは金属の量が多いのか、もしくは被覆が重たいのか私には分かりませんが、少しずっしりした質感のあるケーブルでした。 タッチノイズも重量感に助けられ、気になりませんでした。
イヤーピース
イヤーピースは2種類。軸の色でサイズ分けされた5ペアとフォームタイプが2ペアという仕様です。

ケース
円筒形のフタ付きタイプ。外側はピンクのレザー風、内側は紫の起毛素材が貼られています。。
フタには「SEE THROUGH YOUR EARS」というSeeAudioのブランドスローガンが入っていました。

その他
イラストカードとアクリルプレート。アクリルはかなり厚みのあるブロック状で、下部の透明部分にSeeAudioのロゴが入っています。机に立てておけるサイズ感(笑)

装着イメージ
画像を見ての通りで、耳の窪みにスッポリ入るカスタムIEMライクな形状。イヤーピースのサイズが合っていない状態でも、ハウジングが耳にスッポリ入ったまま安定するくらいのフィット感です。
もちろん個人差はあると思いますが、ハウジングごと耳に蓋をするような良好な装着感で遮音性も良いですね。

音質について
最初に結論から。
- フラット寄りで癖の少ないニュートラルサウンド
- 解像度は高く、響きは柔らかい
- 極めて丁寧な鳴り方
- 低域は量感少なめ
- 重心低めの低域
- 音場の奥行きは狭め
見通しのいい整然とした鳴り方に、DDならではの柔らかい空気感が加わった前作から順当な進化を遂げたイヤホンです。
どんなジャンルも破綻なく鳴らせて、モニター的なチェックにも聞き流しにも使える受け皿の広さがあるので、1本でいろいろ聴きたい人に合うかなと思います。キラキラした高域や、楽器同士の前後の距離感を求める人には物足りなさはあるかもしれませんが、演出感や誇張は限りなく少なく、ありのままの音を再生してくれる優等生なキャラクターです。
周波数特性
実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB)
※8kHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域で、実際よりもピークが強めに出やすいことをご理解の上でご覧ください。
平均

左右

評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
試聴環境
- Lotoo PAW 6000
- Lotoo PAW GOLD TOUCH
- 付属イヤーピース
全体的な音色や特徴など
フラット寄りで癖の少ない、ニュートラルなサウンドです。全体の見通しがよく、どの帯域の音を追いかけても破綻がありません。整然と鳴りながらも響きにはほんのり柔らかさが残っているのが好印象。前作の方がドライだった気がします。
低域にDDが加わったのが功を奏しているのか、低音には空気感と柔らかさを残した弾力があります、おかげで音色全体にちょっとリスニング寄りのニュアンスが出ているように感じましたし、DDらしく余裕を持って空気を揺らしている感じがあります…!
BAの数が少なめなこともあって、音の輪郭は分かりやすく明瞭。それでいてアタックはどこか優しめで、ギラギラしたりキンキンする要素も感じられないので、解像度は高いのに、分析的に聴かされる感じがしませんね~。
音像のまわりには繊細なディテールがさりげなく乗り、どの帯域にも主張しすぎない空気感があって、これが解像度の高さの根拠になっているなぁと感じます。
前作のBraveryとの違いをはっきり感じたのは、DDの採用によるところが大きいなと。前作のBAらしさのある動かせる空気に余裕がないような鳴り方がすっかり払拭されていて、質感に豊かなふっくらとした空気感が加わっていました。正当な進化だなとしみじみ思います。
低音域
量感は少なめ。重心はやや低めなので重低音寄りの鳴り方。とはいえ量そのものが抑えてあるので、曲によってサブベースをはっきり感じ取れたり、ほとんど感じ取れなかったりと、印象が両極端に分かれました。
質感はタイトで、輪郭は少し柔らかめ。DDらしい弾力はありつつ、他の帯域と同じように角の立たない鳴り方です。キックにはもう少しパンチが欲しいところですが、ベースは輪郭が追いやすいです。
中低域がボーカルに被ることはありません。追従性も高く、テンポの速い曲でも低音がもたついたり混濁したりしませんでした。
最近のJ-POPのような、波形が海苔のように詰まった音圧の高いミックスだと、重心の低さが分かりやすく出てきます。低音が過剰に膨らむこともなく、この手の曲との相性はかなりいいかも…?。
中音域
癖のないフラットな鳴り方に厚みが乗っていて、ほんのり温かみもあれば透明度も高い。淡白さはまったく感じませんでした。
ギターやピアノなどの楽器類は、出しゃばらずに抑えの効いた鳴り方をします。サックスはもっと弾けるような描写が欲しいかな?とも感じましたが、Bravoのキャラクターには合った鳴らし方だと思います。中高音あたりはとてもクリアで、上へ素直に伸びていきます。
ボーカル
楽器とボーカルがほぼ同じレイヤーで聴こえるので、距離感を近い・遠いで言い表すのは少々難しいなぁ…。普通という言葉が丁度良いのかもしれません。
女性ボーカルの方が、「Bravo」の透明度の高さを活かした表現ができていたと思いますし、男性ボーカルも悪くはありません。もう少し厚みがあった方が、聴き応えが出るかなと思いますが、ニュートラルな温度感や質感で不満がありません。
声のタイプによる得意・不得意は特に感じず、どんな歌い手にも対応できる万能型、標準タイプという印象です。サ行は一切刺さりませんでした。
高音域
他の帯域と比べると少し引いた量感で、中高音を上の方から支えるような手の差し伸べ方。ギラッとした刺さりやすいニュアンスはかなり抑え込まれていて、強調に頼らずに明瞭さを出してくる作りです。
ただ、煌めきや空気を含んだキラキラ成分も少なめという印象。余韻もあるにはありますが、あっさりめで、ホールに抜けて消えていくような響き方ではありませんでした。
音場・空間表現
空気感を演出成分が多くはないが必要十分で分離感も高め。横の広がりは、このクラスとしては平均的なところかなと思います。気になったのは奥行きで、帯域や楽器ごとの余白が狭いところは「Bravo」の弱点かも。
楽器・低音・ボーカルがほぼ同じレイヤーに並んでいて、ギターのすぐ隣でボーカルが歌っているような距離感。前後の描き分けは、あまり得意ではないのかもしれません。
ダイナミクス
強弱の振れ幅は少しだけ大きめ。全帯域のエネルギー感は比較的均一で、音の流れ自体は滑らかな感じ。アタックの立ち上がりは優しく、音が耳に飛び込んでくるような鳴り方とは無縁ですね。
長所と短所
長所
- DDの採用で、自然な質感に
- 中域にナチュラルな厚みと透明度
- かなり鳴らしやすい
- テンポの速い曲でも低音が混濁しない
短所
- 奥行きが狭く、楽器ごとの余白が少なめ
- 低域の量感が控えめ
- 高域の煌めき成分は少なめ

全体的に丁寧で質感の高い音。低域が控えめなトコくらい。
短所の2点目は好みの問題でもありますが、透明度の高さや切れ味の鋭さを第一に求めるなら、明確に合わないと思います。あくまで本作の旨味は「アナログ感・立体感・実像感・レイヤー形成」にあると思います。
総評と感想
Braveryの後継機として、前作のサウンドバランスに近いものを引き継ぎつつ、中身をDD入りのハイブリッドへと生まれ変わった「Bravo」。
前作の4BAの時に感じた空気の窮屈さはすっかり解消されていて、後継機らしい変化がしっかり感じられる仕上がりになっていました。
音色は癖の少ない土台の上に、細部まで見える解像度と柔らかい響きを共存させていて、集中して聴き込むときにも、作業中に流聴き流すような場面でも万能に使えるイヤホンだと感じました。モニター的な見通しのよさに、ちょっとしたリスニングのニュアンスも見え隠れしていて、曲のジャンルも選びにくく、聞き手もそれほど選ばなさそうです。
その反面、音場の立体感や、楽器が弾けるような勢いを求める人には少し物足りなく感じるかもしれません。弱点として挙げた奥行きの狭さは、聴く音楽や好みによって評価がはっきり分かれそうなポイントではありました。
Braveryシリーズを追ってきた人はもちろん、音の癖が少ないメイン機を探している人にも、一度試してみてほしいイヤホンです。
こんな人におすすめかも。
- 音圧の高い最近のJ-POPをよく聴く人
- モニター的なチェックと、作業中の聞き流しを1本で済ませたい人
- イラストやパッケージも含めてイヤホンを楽しみたい人
特定のジャンルに振り切った1本というより、手持ちのライブラリをまんべんなく聴く普段使いの1本として選ぶのが合っているかなと思います。
レビューは以上となります。ここまでお読み頂きありがとうございました。
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