平面駆動イヤホンを手頃な価格で楽しめるモデルとして、多くの人にとって「最初の平面型」となってきたLETSHUOERのS12シリーズ。無印、Pro、周年記念モデルと改良を重ねてきたこのシリーズに、最新作の『S12 Ultra』が登場しました。
今回レビューするのは、その『LETSHUOER S12 Ultra』です。現在の技術でブラッシュアップされた最新モデルが、どのような音に仕上がっているのか気になるところですね。

LETSHUOER様より、ご紹介のために製品をご提供頂きましたが、内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。
製品について
LETSHUOERは、中国・広東省東莞市に拠点を置くオーディオメーカー。
代表的な製品には、14.8mm平面駆動ドライバーを搭載したS12シリーズのほか、ハイブリッド構成のCadenzaシリーズがありますが、なかでもS12シリーズは、無印のS12に始まり、交換式プラグを採用したS12 Pro、チタン合金筐体を採用した2,024台限定の「S12 2024 Edition」と展開を重ねてきたブランドの看板シリーズです。
S12 Ultraは、このS12シリーズの最新版として開発されたモデルです。14.8mm平面駆動ドライバーの内部構造を再設計し、高域の伸びと微細な情報の再現性を高めています。
付属ケーブルは392芯の銀メッキ単結晶銅線で、プラグは3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスを付け替えられる交換式です。さらに、USB Type-C接続のDAC変換ケーブル「DT01 Pro」(CX31993搭載、最大384kHz/32bit対応)が同梱されており、スマートフォンにそのまま接続して使用できます。イヤーピースは音の傾向が異なる2種類が付属します。
| 構成 | 1PD (14.8mm平面駆動ドライバー) |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 20Hz-40kHz |
| 発売日 | 2025年11月7日 |
| 価格 | 約29,700円(税込) |
パッケージ
LETSHUOERブランドらしく、パッケージで引き込ませるような派手なものではなく静かに主張する上品なパッケージデザイン。


箱を開けると、イヤホン本体とケースが上下に収まっていました。
イヤホン本体
さらっとした表面加工で指紋がつきにくいボディが特徴。フェイスプレート側は、これまでのS12シリーズに似て非なる、キリッと三角形が見えるようなデザインになっています。


付属品

- イヤホン本体 ×1
- イヤーピース 2種類 合計6ペア
- 付属ケーブル ×1
- 脱着式プラグ 3.5mm / 4.4mm 各1個
- 収納ケース ×1
- ドングルDAC(DT01 Pro) ×1
- その他、説明書など
ケーブル
付属ケーブルは本体カラーに合うように設計されたようなカラーリング。本体と同じようなサラっとした表面加工の金具で統一されているので、チグハグにならない部分で高く評価したくなりますね。

イヤーピース
円盤状のホルダーに「Vocal」と「Balanced」の2種類がS・M・Lの3サイズで用意されています。
「Balanced」の1ペアは本体に装着済み。カラーや形状が違いますが、ほかの製品と微妙に内容物が違いますね

ドングルDAC (3.5mm)
付属のDACはType-C端子と3.5mmジャックを銀メッキ線でつないだドングル型DAC『DT01 Pro』です。
流石にこれは本体のモカカラーとは合わせてくれませんでしたが、付属するだけでも素晴らしいことです

付属ケース
ケースは黒いマット仕上げの円筒形で、スクリュータイプのものです。樹脂製のハードケースで安心感がありますね。

装着イメージ
表面からは分かりづらいのですが、装着側(裏側)は思ったよりも小型になっていて、装着感は良好で苦はありませんでした。丸みを帯びたフォルムでもありますので、比較的多くの方に違和感無く装着頂けるのではないかと思います。

音質について
最初に結論から。
- ニュートラル基調に、ほんのり暖かみが乗った音色
- W型に近く、少しドンシャリ風味もあるバランス
- 滑らかさとウェットな質感を併せ持つサウンド
- 重心が低く、深く沈む重みのある低域
- 体温を感じる、密度の高いボーカル
- 刺さりを抑えつつ、伸びやかな高域
- 前後の立体感とセンター定位に優れた空間
- リズムに乗りやすく、聴いていて楽しい
重心の低い低域と、丁寧で滑らかながら伸びやかな高域を組み合わせた、リスニング寄りのイヤホン!
前後の立体感がとても優秀で、リズムにも自然と体が乗っていくような、聴いていて楽しいサウンドに仕上がっています。ボーカルを中心に、音楽そのものの心地よさに浸りたい方に向いていると思いますねぇ!
周波数特性
実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB)
※8kHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域で、実際よりもピークが強めに出やすいことを理解の上でご覧ください。
平均

左右

驚異的なマッチング…!ww
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
試聴環境
- Lotoo PAW 6000
- Lotoo PAW GOLD TOUCH
- 付属イヤーピース
全体的な音色や特徴など
重心の低い低域と、丁寧で滑らかながら伸びやかな高域が合わさった、リスニング寄りの音だと思います。前後の立体感に優れていて、リズムにも乗りやすい優しめのパンチもあり、聴き心地と楽しさや躍動感を共存させた面白いイヤホンだと感じました。
温度感はニュートラル基調で、わずかに暖色寄り。帯域バランスはややドンシャリ風味でもありますが、中域もしっかり前に出るのでW型に近いかなと思います。質感は滑らかさが強めながら、乾きすぎずウェットな潤いも残っているような感じでしょうか。
一聴した段階では低域の量感は普通くらいに感じますが、音量を少し上げると、低い位置で重みのある低音が鳴っていることがはっきりわかります。ボリュームを取ったときに本領発揮するタイプかもしれません。
低音域
重心は平面駆動にしては珍しくしっかり低め。エレキベースやキックには、体の芯に届くような深い「ズン」とした重みがそっと乗る感覚があります。再生環境でもこの重みは少し変わりそうな気がしています。中低音にも適度な厚みがあり、ビートに自然と体が乗っていくノリの良いサウンドではないでしょうか…!
中低音は厚みがあり、ウッドベースやエレキベースの胴鳴りがふっくらと響いてリアリティがあります。平面駆動らしい反応の良さは残しつつ、レスポンスが速すぎて薄っぺらくなることもない。スピードと厚みのバランスが良い塩梅の所で安定していますね。
ゆったりした曲では低音に身を預けるような心地よさがあり、BPMの速い曲でも混濁せずに鳴らし、しっかり分離が伴うので鳴り方にかなり余裕があります。
中音域
中域は密度が高く、厚みのある鳴り方です。平面駆動にありがちな、中域が抜けて平坦に聴こえる感じはよく抑えられています。
楽器は薄いベールを一枚かけたような、滑らかさ重視の描き方。ピアノやギターは「超リアル!」という生々しさではなく、ボーカルを引き立てるために少し抑えを効かせているように聴こえました。言い方を変えれば丁寧に伴奏に徹する鳴り方という感じです。伴奏が前に出すぎないぶん、曲全体は滑らかによくまとまっています。
そのため、明るくパキッとした中高域が好きな方には、やや物足りなさがあるかもしれませんが、マイルドだけど分離感は欲しい!みたいな方にはビシッと趣向にハマるかもしれません。
ボーカル
ボーカルは厚みと実在感があり、自然な体温を纏う声質!男性ボーカルは低めの帯域に適度な厚みがあり、落ち着いた声がしっかり胸に響きます。女性ボーカルは優しく温かみのある声色で、甘さの表現が上手なタイプ。透き通るような鋭さはありませんが、透明感そのものは低くなく、張り上げた部分でも尖らずにツヤを保って伸びていきます。
ブレスやビブラートの細かな揺れもきちんと拾ってくれて、長時間聴いていても疲れないタイプです。
高音域
ピーキーさ…びっくりするくらい感じられません(゚∀゚)!!ww
うまく整えられていますねぇ…。シンバルやハイハットは耳を突く鋭さがなくてびっくりします。でもこれが情報が欠損しているわけではなくて、音の粒の単位が小さすぎて滑らかになってるような感じ。サ行も気になるほどではなく、音量を上げても耳が痛くなりにくかったです。なのでめっちゃ音量上げたくなります…!上げやすいです。
とはいえ、人によっては少しお行儀よすぎると感じるかもしれません、イヤーピースとかリケーブルも試してみたい所。
音場・空間表現
特に優れているのが前後の立体感です。音が手前から奥へとレイヤーとして配置され、奥行きがしっかり感じられます。縦方向への広がりも豊かですね。
左右にも広がりはあるものの、特別に広いというわけではありません。ただ、不思議と壁は感じない。センターフォーカスがしっかりしていて、中央に定位すべき音がしっかり真ん中へ集まるので、定位の精度はとても高く感じました。
ボーカルの聴こえ方にコダワリがある方にもオススメ出来るくらいには、センターの音はしっかり前方定位です。良き(^o^)b
長所と短所
長所
- 重心の低い低域
- 体温を感じる、密度の高いボーカル表現
- 刺さりにくく、伸びやかで滑らかな高域
- テンポを選ばず、リズムに乗りやすい
- 所有欲を満たすモカカラーの金属筐体
短所
- 音量が取りにくく、しっかり鳴らすにはボリュームが必要
- 楽器の描写は滑らかさ重視で、生々しさは控えめ
- 明るくパキッとした中高域を求める人には落ち着いて聴こえる

リスニング的な味付けのサウンドだけど、とげ抜きされていて聴きやすいのが特徴ですね…!
総評と感想
『LETSHUOER S12 Ultra』は、S12シリーズが築いてきた「手の届く平面駆動」という立ち位置を守りながら、その方向性を刺激から楽しさと心地よさへと大きく舵を切ったモデルだったのではないでしょうか。
これまでのS12をスッキリしたサウンドだと感じていた方にとっては、待っていた答えのような1本かもしれません。反対に、S12らしいキレや寒色風味な質感こそが好きだったという方には、旧モデルを選ぶ理由も残ると思います。単純な上位互換というよりも、同じシリーズの中で性格の異なる選択肢が生まれたと考えた方が良いのかなと。
音量を挙げないと十分な音量は取れませんが、平面駆動の情報量、質感の高い筐体、交換プラグ付きのケーブル、DACケーブルまでそろったパッケージは、全体の満足度という点でも十分豪華かなと思います。
平面駆動イヤホンを「音楽を楽しむための相棒」として選びたい方には、ぜひ一度聴いてみてほしいイヤホンですね!
こんな人におすすめかも。
- ボーカルを主役に、温かみのある声を楽しみたい人
- リズムに乗れる、重心の低い低音が好きな人
- 前後の立体感や定位の良さを重視する人
- 刺さりの少ない、伸びやかな高域を求める人
- 平面駆動イヤホンの乾いた質感が苦手だった人
- 長時間でも疲れにくいリスニングイヤホンを探している人
『LETSHUOER S12 Ultra』は、平面駆動らしいスピード感を残しながら、低域の重みとボーカルの温かさで音楽の楽しさをしっかり届けてくれるイヤホンです。分析的に聴き込むよりも、好きな曲に浸りたい、リズムに身を任せたいという方にぴったりな1本だと思います。
レビューは以上となります。ここまでお読み頂きありがとうございました。
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