14.5mmという大口径の平面駆動ドライバーで、多くのポタオデファンを驚かせたHIDIZSの「MP145」。
その後継モデルとして登場した「HIDIZS MP145 PRO」をレビューしていきます!見た目はほとんどはそのままに、振動板と磁気回路を刷新したそうな…?

HIDIZS様より、ご紹介のために製品をご提供頂きましたが、内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。
製品について
「HIDIZS MP145 PRO」は、MP145をベースにドライバー、磁気回路、筐体、付属品を再設計した上位モデルです。振動板には14.5mmの超精密ナノグレード平面振動板を採用し、銅含有量と配線密度を従来比で約30%高めています。磁気回路は7+7配列のN54Hマグネットによる1テスラの完全対称構造で、磁束は約40%向上したとされています。
筐体はCNC切削のアルミ合金製で、クジラの胸びれから着想を得たベント構造を備えます。交換式チューニングフィルターは3種類付属します(シルバー:高域寄り/ローズゴールド:バランス/レッド:低域寄り)。4種類のイヤーピースとの組み合わせで、好みに合わせて音の傾向を調整できます。ケーブルは6N銀メッキ単結晶銅の4芯編組で、3.5mmと4.4mmの交換式プラグに対応しています。
| 構成 | 1PD 14.5mm 超精密ナノグレード平面駆動ドライバー |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 20Hz – 40kHz |
| インピーダンス | 30Ω |
| 感度 | 104dB |
| 発売日 | 2026年3月(Kickstarterにて先行販売開始) |
| 価格 | 209ドル |
パッケージ
パッケージは黒を基調にしたシックなデザインです。右上にはWDCのロゴがあり、クジラ保護のコラボモデルであることがひと目で分かりますね。
※WDC…クジラとイルカの保護およびその生息環境の保全に特化した世界的な慈善団体

イヤホン本体
多面体カットと波のようなライン加工が組み合わさっていて、イヤホンというより金属彫刻のような外観をしています。
クジラの尾と顎を想像すると…「あぁ~!」となるのではないでしょうか(笑)


内側には「HIDIZS MP145 PRO」の刻印と左右表記、小さなベントホールがありますね。全体的に質感が高いです。
付属品

- イヤホン本体 ×1ペア
- イヤーピース 4種類 合計12ペア
- 付属ケーブル ×1
- 交換式プラグ(3.5mm/4.4mm) ×1セット
- キャリーケース ×1
- 交換式ノズル ×3ペア(1ペア装着済み)
- 缶バッジ ×1
- その他、説明書など
ケーブル
付属ケーブルは、透明被膜の銀メッキ線を4芯で編んだタイプです。光が当たるとキラキラと輝きます。プラグは交換式で、3.5/4.4mmに対応。
2pinコネクタには赤と青のラインが入っていて、左右の判別も簡単になっています。

太さや金具のしっかりした作りを見ると、付属ケーブルとしてはかなり上等なものだと思います。
イヤーピース
イヤーピースはなんと4種類!
「ボーカル」「低域」「バランス」の3種類に、ミントグリーンの軸が目を引く「Sea Anemone(イソギンチャク)」を加えた4種類です。それぞれS/M/Lの3サイズが付属します。Sea Anemoneは肉厚でしっとりした触り心地で、付属品のレベルを超えているように感じました。モチモチ!

キャリーケース
ケースは落ち着いたティールブルーのレザー調ハードケースです。ロゴの型押しとステッチが上品ですね。隣のクジラの缶バッジは、ちょっと嬉しいおまけでした(笑)

装着イメージ
装着するとこんな感じです。サイズはしっかり大きいものの、ノズルに向かって絞られていて大きなハウジングが直接耳に触れにくい設計です。
とはいえ、カスタムIEMライクな形状のイヤホンに比べると密着度は低めで遮音性は標準的なレベル。

音質について
最初に結論から。
- ほぼニュートラルな、なだらかなU字バランス
- やや明るく澄んだ、抜けの良いトーン
- 微小音まで拾い上げる高い解像度
- 空気感と奥行きのある上品な低域
- 味付けが少なく、整然と並ぶ中域
- 優しく繊細に伸びきる高域
- 頭の外へ壁なく抜けていく空間表現
音そのものより「音が鳴ったあとの響き」の美しさで聴かせるタイプのイヤホンに感じました。
余韻や空気感の描き方が非常に上品で、平面駆動の繊細さと豊かな響きをハイレベルで両立してるのが凄いです…。そして平面駆動らしさが割と控えめですね。
ガツンとくる低音の揺さぶりや、弾けるようなアタックの鋭さを求める方には、物足りなさがあるかもしれませんが、オーケストラやライブ音源のように響きそのものを味わう音楽が好きな方には、たまらんイヤホンだと思います。
周波数特性
実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB)
※8kHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域で、実際よりもピークが強めに出やすいことを理解の上でご覧ください。
平均

左右

私の個体は少々左右差がありましたが、実聴では気になりませんでした。
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
試聴環境
- Lotoo PAW 6000
- Lotoo PAW GOLD TOUCH
- ローズゴールドフィルター
- 付属イヤーピース(イソギンチャク)
全体的な音色や特徴など
おお…凄い…!というのが、聴き始めて最初に出た感想でしたね。空間がかなり広く、細かな音まで次々と耳に飛び込んできます。特に高域や金属音に分かりやすく豊かな響きがあり、低域にもたっぷりとした奥行きを感じました。平面駆動でここまで豊かな響きが出せるものなんですね…(・o・)!オーケストラを聴いていると本当に気持ち良かったです(笑)
音色は、まず全体の抜けの良さがあり、やや明るく澄んだトーンで、温度感はほぼニュートラルです。帯域バランスは低域と高域がほんのり持ち上がった、なだらかなU字カーブに聴こえました。
平面駆動は鳴らしにくく音量が取りにくい、という定説を覆すくらい鳴らしやすいのも驚きポイント。ただ、入力にはかなり敏感で再生環境の違いにもよく反応するので、環境を整えてあげると、さらにポテンシャルを引き出せるかなと思います。
低音域
低音は弾力はあるがタイトかつ、滑らかで質感の良い鳴り方。立ち上がりから減衰までが極めて滑らか。
ヘッドホンで聴いているかのような空気感のある質感の低域が鳴るのが特徴で指向性が低い帯域なのに奥行きや響きを感じられる出音になってるのが特徴だと思います。誇張している感じもありませんので、輪郭も追いやすく解像度高め。
いざとなれば優秀な空気感や響きも活用しながら重低音を響かせてくれるのも素晴らしく、深海を思わせるような包容力のある鳴り方をしてくれます。凄く品が良い響き方なので、ダイナミックドライバーのようなガツンとした揺らし方はしません。
中音域
中域は味付けが少なく、丁寧に輪郭を描く整った鳴り方でした。ひと言で表すなら「整列された音」でしょうか。
弦楽器やピアノ、金管楽器はディテールが豊かで、音の粒がきれいに並んでいます。ひとつひとつのアタックは控えめにまとまっていて、弾けるような鳴り方というより、きちんと整頓された鳴り方という印象ですね(笑)
もちろん繊細さは十分です。弦の擦れる音や指板に指が当たる音、ピアノの打鍵のタッチまで、粒立ち良く再生してくれます。
あえて欠点を挙げるなら、整いすぎていて少し無機質に感じる場面があったくらいでした。
ボーカル
ボーカルは伴奏より一歩ほど前に位置していました。ニュートラルで誇張のない表現なので、透明感やクリアさを強く求める方には落ち着いた聴こえ方に感じられるかもしれません。それでいて抜けは良く、高音の伸びや息づかいの余韻が綺麗に空間へ溶けていくのが不思議。正直、ボーカルに強い個性はありません。良くも悪くも平面駆動らしいクセのない素直な声質で、歌詞がスッと耳に入ってくる聴きやすさが魅力ですね。
高音域
高域は超高域までまっすぐに伸びていき、音が消える直前のギリギリまで響かせきる底力を感じました。質感は「優しく繊細」という言葉がよく似合います。シンバルやハイハットの余韻と空気感は、同価格帯ではまず出会えないレベルでした。なぜここまで気持ちの良い響きが出せるのか、正直ちょっと理解が追いつきませんw(誇張してませんよ?)
入力に敏感なのはこの帯域でも同じです。そのぶん、録音やミックスの粗も見えやすいと思います。それだけポテンシャルが高いということですねえ…。
優しく繊細なタイプなので、スティックで叩いた瞬間の破裂するようなアタックはかなり控えめです。このあたりは平面駆動らしさが出ている部分かなと感じました。
音場・空間表現
空間表現は、響かせ方が極めて上品で上手でした。広さとしては、頭の外へ壁なく抜けていくような感覚です。音が鳴る位置そのものは、一般的な有線イヤホンとそれほど変わりません。ただ、鳴ったあとの響きや余韻が頭の外まで展開していくので、壁の存在を感じさせません。奥行きやホール感もしっかり伝わってきます。
また、音の余韻が空間へふわっと広がっていくので、ライブ音源やオーケストラでは、ホールの中央の席で聴いているような広がりに包まれて、とても心地よかったです…!
音数が増えても各楽器の位置が崩れにくいのも強いポイントですね。
ダイナミクスも強弱の幅そのものはしっかり大きめですが、滑らかなので、やや落ち着いた雰囲気の楽曲の方が強弱表現が活きるのではないかと。
長所と短所
長所
- 微小音まで拾い上げる高い解像度
- 頭の外まで広がる上品な響きと余韻
- 空気感と奥行きのある品の良い低域
- 同価格帯離れした高域の空気感
- 平面駆動としては鳴らしやすい
短所
- ハウジング大きめ
- 入力や録音の粗に敏感
- 中域が整いすぎて無機質に感じる場面がある
- ボーカルに強い個性を求める人には物足りない

振り返ってみると、長所も短所も「繊細で上品な鳴り方」という同じ性格の裏表みたいなものですね。
細かな響きを丁寧に拾ってくれるからこそ、録音の粗まで見える。短所として挙げた点は、欠陥というよりキャラクターそのものと捉えたほうがしっくりくるかと思います。
総評と感想
「HIDIZS MP145 PRO」は、平面駆動の「速さ」や「クリアさ」よりも、響きの豊かさと上品さに価値を置いた、ちょっと珍しいキャラクターのイヤホンでしたね。
200ドル前後という価格で、この空気感とホールのような広がりを体験できるのは異次元のレベルかと思います。実売はもう少し安いみたいですが。
豪華な付属品や美しいシェルまで含めて考えると、満足度は高いのかなぁと。まぁ再生環境は結構要求しそうな気はしますが…(笑)
ただ、刺激的でアグレッシブなアタックの強い鳴り方を好む方には、上品すぎると感じられるかもしれません。ロックやEDMをノリ重視で楽しみたい方は、別の選択肢も検討してみると良いと思います。
音楽を「浴びる」より「浸る」ように楽しみたい方にこそ、是非試してみて欲しいです。響きの美しさという、数字には表れにくい魅力がたっぷりでした。
こんな人におすすめかも。
- 音の響きや余韻をじっくり味わいたい人
- オーケストラやライブ音源をよく聴く人
- 微小音まで拾う高い解像度を求める人
- 量より質の上品な低音が好きな人
- クセのない素直なボーカルが好きな人
- 鳴らしやすい平面駆動イヤホンを探している人
- デザインや付属品の満足度も重視する人
派手さより響きの美しさを大切にしたい方に、ぜひ一度聴いてほしいイヤホン。落ち着いて音楽に浸る時間を、ひとつ上の体験にしてくれる製品だと思います。
レビューは以上となります。ここまでお読み頂きありがとうございました。
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