今回ご紹介するのは、『Angelears × Daruma Audio RyuRan AE(流嵐)』です。
「 RyuRan AE(流嵐)」は、日本のユーザーの声を聞くべく来日を繰り返し、様々な1DD機を作り続けてきたDaruma Audioと、ケーブルや他ブランドとの共同モデルで知られるAngelearsが一緒に開発したモデルです。
中身は10mmのPU+LCP複合振動板を1基だけ積んだシンプルな構成ですが…なかなかの完成度でやってきましたよ!
では早速レビューを進めていきますね。

Angelears様より、ご紹介のために製品をご提供頂きましたが、内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。
製品について
Daruma Audio(ダルマオーディオ)は、中国・深センのShenzhen Daruma Audio Technology Co.,Ltd.が展開するイヤホンブランドです。日本市場を主な対象とし、日本ユーザーと対話して集めた意見をチューニングに反映する開発手法を取っています。2024年には20名のオーディオファンが調整に参加するプロジェクトを行い、その結果を「Daria」の音作りに取り入れるなどもしていました。
主な製品は、「すずらん」「daystar」「Daria」などが代表的ですが、最新作には「TSUBAKI-VC」があります。また、同社はミュージシャンとのコラボモデル(有線ピヤホンシリーズ)の開発・製造にも携わっているようです。
今作の共同開発のパートナーであるAngelearsは、オーディオストアを運営しながら、自社ブランドのケーブルやイヤホンも手がけるメーカーです。TFZ、KEFINE、7Hzなどと組んだ共同モデルを「AE(Angelears Edition)」の名で出しており、RyuRan AEもこの系譜に入ることになります。
RyuRan AEのドライバーは、PU(ポリウレタン)とLCP(液晶ポリマー)を組み合わせた10mm径の複合振動板ダイナミックドライバー1基。Daruma Audioの「VC(Vento Conductor)」構造を採用し、筐体内部の空気の流れを制御して音響特性を整えています。シェルは医療グレードのUV硬化樹脂製。フェイスプレートは流れる雲や霧をモチーフにした手作業による仕上げで、個体ごとに模様が異なります。
| 構成 | 1DD (PU+LCPポリマー 10mm複合振動板) |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 20Hz~20kHz |
| インピーダンス | 32Ω |
| 感度 | 108dB/mW |
| 発売日 | 2026年9月4日 |
| 価格 | AliExpress 89ドル Amazon.co.jpでは12,999円 |
パッケージ
パッケージは黒地に、紫とピンクの光が横切るデザイン。シンプルながら上品な雰囲気です。

外箱を抜くと、上質な凸凹した化粧箱が出てきます。半透明のシート1枚に保護されつつ、本体はスポンジにはめ込まれていて、ユーザーをお迎えします…!

イヤホン本体
フェイスプレートは、紫からピンクへとグラデーションする下地に、青緑のラメや小さなフレークを散らしたデザイン。手作業の仕上げなので、左右を並べると模様の出方が少しずつ違う、個性を持たせた作りです。

2Pinの差し込み口はシェルと面一のフラットタイプ。ノズルが金色でサラサラしていて質感が良いですね。
1DD機にしては厚みがあります。内部構造に何か工夫があるのでしょうか?

付属品

- イヤホン本体 ×1ペア
- イヤーピース 3種類 9ペア
- 付属ケーブル ×1
- Angelearsカード ×1
- その他、説明書など
ケーブル
付属ケーブルは、紫とシルバーの線材を編み込んだもの。プラグは4.4mm仕様でプラグのハウジングには熱収縮チューブが巻かれた仕上げ。Angelearsのプリントを魅せる作りになっています。見た目の高級感はなかなかのものですね!

イヤーピース
イヤーピースはS/M/Lの計9ペア、3種類が用意されています。
素材感、硬さなどがそれぞれ絶妙に違うので、ご自身に合ったものや好みの音を狙って使ってみてくださいね。

装着イメージ
フェイスプレートが耳のくぼみにちょうど収まるサイズで、外へのはみ出しは少なめ、上下方向への圧迫感もなく違和感がありません。とはいえ、カスタムIEMライクなユニバーサルタイプのイヤホンとは異なり簡易的な形状なので、遮音性は並といったところ。

音質について
最初に結論から。
- わずかに暖色寄り
- ハリとパンチのあるW型のドンシャリ
- 中低音を主体にタイトに弾む低域
- 中高域で一気に明るさが増し、ギターが映える
- センターにきちんと立つ、ブレスまで明瞭なボーカル
- 扇形に広がり、奥行きもある音場
1DDに求めていたハリとパンチを、濃さと透明感を両立させたまま鳴らしてくれるイヤホン!
低域から中高域までよく動くのに、よくバランスも取れて完成度が高い仕上がりに。音楽の勢いや立体感を重視して聴く人や音の質感にコダワリがある人に向くイヤホンですね…!
周波数特性
実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB)
※8kHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域で、実際よりもピークが強めに出やすいことを理解の上でご覧ください。
平均

左右

左右のマッチング完璧すぎる…!安心して使えますね。
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
試聴環境
- Lotoo PAW 6000
- Lotoo PAW GOLD TOUCH
- 付属イヤーピース(青・画像の上の段のもの)
全体的な音色や特徴など
全体のバランスは、わずかに暖色のニュアンスを含みつつ、温度感としてはニュートラル。
聴いてすぐに感じたのは、「あ~、1DDに求めてた音ってこういうハリとパンチだったよね…」と思い出させてくれる元気さです。音色はまぁまぁ濃厚で、立体感もしっかりあります。入力された信号に対してドライバーがちゃんと動いている、そんな駆動感が伝わってくる躍動感のある鳴り方なのが良いですね!
傾向としてはW型のドンシャリ。パワフルで押し出しも強めですが、音がしっかり像として成立していて、ドライで薄い音にはなりません。濃厚でレスポンスも良く元気な鳴り方なのに質感はどこか柔らかく滑らかで、ガラスのような透明度と抜けの良さも同時に感じられる仕上がりになっています。
多ドライバー機の鳴り方に慣れていると、1DD…いや本作の弾けるような音圧に少し驚くかもしれません(笑) でも、このハリやアタック、エネルギー感と一体感は、1DDタイプのイヤホンならではの唯一無二な感じがするなぁとも思います。
おっと言い忘れかけましたが、静と動の対比となるダイナミクスも大きめでメリハリたっぷりのサウンドが楽しめます。
低音域
低域は、中低音あたりを主体にタイトに鳴るタイプ。レスポンスが良く、ポンと弾むような弾力感をともなって躍動する感じです。また、とにかく抜けが良く濁らず躍動するのが記憶に強く残っていて、音色は少しウォームで、輪郭もほんの少しだけ柔らかめ。それでもレスポンスが速いので、低音の像が崩れることはありません。
ディテールの拾い方も上々で、ウッドベースでは弦が指板に触れるかすかな音やバイ~ンと弾ける音までしっかり聴き取れました。ベースラインが曲をぐいぐい前へ押し出していくような、結構推進力のある低域に聴こえましたね。
中音域
中域は、強く前に押し出してくることはなく、角の取れた丁寧な鳴り方。明瞭さを保ちながら、ほんのり優しさを感じる音色です。これはピアノソロを聴くと特に分かりやすいと思いますね。
様子が変わるのは中高域に入ってからで、シャープネスと量感がグッと増し、一気に明るくクリアになります。エレキギターやアコースティックギターがキラッと映える、元気な描写でした。耳当たり良くギラつかず、嫌味や刺激っぽさもないので、質感の良さがよく伝わってきます。
もうひとつ良かったのが、中高域の響かせ方。抑揚のつけ方や余韻が豊かで、ホールへ抜けていく反響を消え際ギリギリまで鳴らしてくれるのが素晴らしい所。
ボーカル
ボーカルはしっかり前に出てくるタイプです。ただ、耳元で歌われるような近さではなく、センターにきちんと定位していて、そこから左右へ気持ちよく響きが広がっていきます。
強調してる感じではありませんが、ブレスも明瞭でウィスパーボイスのような囁き声みたいなボーカルでさえ、しっかり弱音を拾って再生してくれますし、透明度高く明るく、ハリのあるボーカル表現をしてくれます。
高音域
高域はシャープな輪郭を持ちながら、抜け感と空気感がしっかりあり、響きは素直に伸びていく。透明度が高く、煌めきも十分に乗っていて、物足りなさは全然ありません。
シンバルでは、繊細に強弱をつけたタッチから、アタックで「パーン!」と弾ける瞬間まで敏感に描き分けてくれます。周波数特性上で減衰させているポイントもほど良く、無理に高域を持ち上げて派手さを出そうとしている印象はありませんね。
音場・空間表現
音場は自然な扇形で前方に広がるタイプで、分離の仕方に無理がありません。広大というほどではないものの、狭さを感じることもありませんでした。分離感や解像感もしっかりあり、それぞれの音がどこで鳴っているかを追いやすかったですね。
音や像のあいだに、大きすぎない余白をきっちり挟んで並べてくれるイメージ。前後方向にも不満のない奥行きがあって、表現が平坦にならないのが素晴らしいです。
長所と短所
長所
- ハンドメイドのフェイスプレート
- 本体と色味をそろえた、質感の高い付属ケーブル
- 残響を消え際まで描き切る、中高域の余韻の表現
- 厚みと透明感が同居した、価格以上の音の質感
短所
- キャリングケースやポーチが付属しない
- やや濃厚な音色
- 1DDゆえのレンジ狭さ

音という面ではそれほど弱点は無いと思います。
付属品は、ケースが無いことを除けば1万円台前半として不足を感じにくいと思います。
ケースとプラグの件は運用でカバーできる範囲なので、選ぶ決め手は音の好みくらいで、空間の広さより密度と勢いで楽しませるタイプなので、そこが好みに合うかどうかがポイントですね。
音は濃い割に質感が結構良いので、1万円前後ではキラー的な存在かも?
総評と感想
競合の多い1万円台前半の1DD市場に、Daruma Audioのチューニングの蓄積と、Angelearsのケーブルが付く豪華な製品が登場したような感じです。
AliExpressでの実売1万~1.3万円ほどで、この駆動感と質感の厚みが手に入るのは…結構敵無し感がありますが…まだ話題になりきっていないのがもったいない…!
Daruma Audioの過去の製品と比べると、帯域ごとの配分を整えることより、質感や立体感、音のまとまりを詰めていく方向へ進んできた印象があります。現在1DDの開発に力を入れているらしく、RyuRan AEはその変化がはっきり形になった製品なのかなと。
ポーチとかケースが無いことを除けば、外装と付属品も価格に対して手厚く、リケーブルを前提にしなくても使い始められる構成なのはとっても有難いですね。1DDらしい鳴りっぷりを手頃な価格で味わいたい人なら、候補に入れておいて損はないと思います。
こんな人におすすめかも。
- 4.4mmバランス出力のDAPやドングルDACをすでに持っている人
- 多ドライバー機がメインで、1万円台前半の1DD機を1本足したい人
- ロックやジャズなど、ドラムやベースのアタックを楽しみたい人
- アコースティックギターの弾き語りや、ウィスパー系ボーカルの曲をよく聴く人
楽器の生っぽい鳴りを味わいたい人ほどハマりやすいかもしれません。
レビューは以上となります。ここまでお読み頂きありがとうございました。
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