SGENE Kaimei レビュー|ボーカルが一歩前に出る1DD+2BA構成の有線イヤホン

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ケーブルブランド「SoundsGood」で名を馳せている伊藤屋国際が、2026年に新しいブランド「SGENE(シーン)」を立ち上げました。その第一弾が、1DD+2BAのハイブリッドIEM「Kaimei」です。

名前の「Kaimei(晦冥)」は、月の無い夜のこと。漆黒のシェルにカーボンファイバーのフェイスプレートという見た目も、その夜のイメージから…? デビュー作ながらVGP 2026 SUMMERでは金賞と企画賞をダブル受賞の実力派。

ということで、「SGENE Kaimei」をレビューしていきます!

SGENE Kaimei
SGENE Kaimei

伊藤屋国際様より、ご紹介のために製品をご提供頂きましたが、内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。

目次

製品について

SGENEは「evokes a scene.」をコンセプトに掲げるオーディオブランドで、ケーブル製品を展開するSoundsGoodを姉妹ブランドに持ちます。Kaimeiは、そのSGENEが送り出す第一作目の有線イヤホンです。

製品名の「晦冥(かいめい)」は、光が途絶えた深い暗闇、つまり月の無い夜を指す言葉です。ブランドの第一弾にあたり、何も描かれていないキャンバスに見立てた暗闇がテーマに選ばれました。シェルは漆黒で、表記は使用上必要な最小限の文字のみ。フェイスプレートにはカーボンファイバーを採用し、自然の中のかすかな光の揺らぎを表しています。

ドライバーは3基のハイブリッド構成です。低域をφ10mmのダイナミック型(振動板はPUとPEEKのコンポジット)が受け持ち、中域と高域にはBAを1基ずつ割り当てています。チューニングは理論上のターゲットカーブを出発点に、測定とエンジニアによる試聴評価を繰り返して仕上げたもので、ボーカルのディテール表現と聴き心地を重視しています。

シェルは装着性と音質の両面から形状を詰め、3Dプリントで成形されています。重量は片側約6gです。

付属ケーブルは銀メッキ単結晶銅(OCC)導体の8芯ケーブルで、SoundsGoodで蓄積されたノウハウが投入されています。コネクタはφ0.78mm 2Pinのため、SGENEやSoundsGoodの交換ケーブルとも組み合わせられます。

VGP 2026 SUMMERでは、企画賞とインナーイヤー型ヘッドホン(1.5万円以上2万円未満)部門の金賞を受賞しました。

構成1DD+2BA
高域用BA×1、中域用BA×1、
低域用φ10mm PU+PEEKコンポジットダイアフラム・ダイナミック型×1
再生周波数帯域20Hz〜20kHz
インピーダンス7Ω(@1kHz)
感度104dB/mW(@1kHz)
発売日2026年7月9日
価格19,800円(税込)
製品仕様

パッケージ

パッケージの正面には、イメージキャラクター「伊藤屋 霧」を描いた水彩画テイストのイラストが描かれています。…芸術的(・o・)!

SGENE Kaimei パッケージ外観
パッケージ外観

フタを開けると、黒いウレタンスポンジにイヤホン本体、ケース、イヤーピースケースが収まっています。開封体験としては満足度十分ですね!

SGENE Kaimei パッケージ開封後
パッケージ開封後

内容物

内容物はイヤホン本体、ケーブル、セミハードケース、イヤーピース(S/M/L)の4点。付属品は必要なものに絞った構成でしょうか。

SGENE Kaimei 付属品
付属品
  • イヤホン本体 1ペア
  • ケーブル
  • セミハードケース
  • イヤーピース 3ペア (ケース付き)

イヤホン本体

フェイスプレートはカーボンファイバー素材。光の当たり方でカーボン繊維の模様がうっすら浮かぶシンプルながら上品さのあるデザインです。

SGENE Kaimei イヤホン本体
イヤホン本体

ノズルは金属製で、ノズル先端には返しがあり、イヤーピースは固定しやすそうです。コネクタは0.78mm 2Pinのフラットタイプで、画像では少々見づらくて申し訳ないのですが、シェル側面にはベント穴があります。

SGENE Kaimei 背面&サイドビュー
背面&サイドビュー

ケーブル

付属ケーブルはグレーカラーの8芯銀メッキOCC。軽く柔らかめでとても取り回しは良好です。

SGENE Kaimei ケーブル
ケーブル

イヤーピース

軸が赤く、傘はグレーの半透明。S/M/Lの3サイズでワイドボアタイプ。傘は浅め&薄めですね。

SGENE Kaimei イヤーピース
イヤーピース

ケース

キャリングケースは、セミハードタイプ。「Sound evokes a scene.」というコンセプトスローガンが刻まれていました。

SGENE Kaimei ケース
ケース

装着イメージ

耳型に装着したところ。シェルは耳のくぼみに収まる標準的なサイズで、外側への出っ張りは小さめです。

SGENE Kaimei 装着イメージ
装着イメージ

音質について

最初に結論から。

  • W字寄りのチューニング
  • 声の輪郭がくっきり
  • クリアながら耳当たりの良い高域
  • タイトな低域
  • ややクール目

中高音にフォーカスが合いやすく、ボーカル帯域の明瞭さを前面に出したチューニングだと思いました。
全体の印象は繊細さを感じさせるボーカル特化型なこともありオーケストラやアコースティック系のシンプルなバラードのような楽曲との相性が良好でした。BAらしい硬質さは多少ありますが、キツさを丁寧に抜いたチューニングで完成度高いなぁと思いました。

周波数特性

実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB)
※8kHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域で、実際よりもピークが強めに出やすいことをご理解の上でご覧ください。

平均

SGENE Kaimei 周波数特性・平均
周波数特性・平均

左右

SGENE Kaimei 周波数特性・左右
周波数特性・左右

評価チャート

音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。

音の傾向
暖色
寒色
ウェット
ドライ
暗い
明るい
狭い
広い
低解像度
高解像度
繊細
迫力
モニター
リスニング
人工的
リアル
ゆったり
速い
ビルドクオリティ
残念
良い
費用対効果
残念
優秀
装着感
微妙
良い
付属品
最低限
充実・豪華

試聴環境

  • Lotoo PAW 6000
  • Lotoo PAW GOLD TOUCH
  • 付属イヤーピース

全体的な音色や特徴など

全体としてはW型の弱ドンシャリという印象で、全体的に明瞭感が高くボーカルに強めにフォーカスされる音色だと思いました。低音と高域の量感を少し抑えつつも今風のチューニングで受け入れやすい良好なバランスだと思います。

1DDと少なめの2BAで構成されているためか、分かりやすく明瞭度が高くBAが担う部分に少々硬質さを感じる出音ではありますが、ピーキーな部分が全くなく、高域においても耳当たりの良さをしっかり確保しているあたりに好感が持てますね~(*^^*)

ハリのある元気なタイプでボーカル同様、中高音付近にフォーカスの合う音色で明るめ、また響きや余韻はどこかふわっとした柔らかさがあり、音がパッと浮かび上がるような感覚が少々あります。

低音域

量感はそこまで多くなく、並程度の量感。少し抑えていると表現した方がしっくりくるかな?どちらかといえば引き締まっていてレスポンスも速めで、ややコンパクトに響かせるリズム重視の低音という感じでしょうか。

ジャンルによっては厚みを中心に少々物足りなさがあるかもしれませんが、どんなジャンルでも…と考えると非常に良い量感に抑えていると思います。

中音域

中音域の中でも中高音付近にとてもフォーカスが合うのと高い分離感が特徴ですね。ボーカルはくっきり!
ギターやアコギの響きも粒立ち良く分離感や解像感の高さを感じさせる出音で、激しい楽曲でも音がゴチャっとしません。
シンセやギターのディストーションなど、エッジが程よく立っているのが明瞭度の高さに繋がっています。ピアノの音も多少低い成分に物足りなさはあるものの軽やかで丁寧に余韻たっぷり鳴らしてくれます。
うーん、ピアノの表現もなかなか良いですね…!明るめで躍動感があり、ピアノの音の粒が踊っているかのようです(笑)
また、リバーブ表現に結構長けているなと思いました。

ボーカル

無理して強調しているのではなく、ボーカルだけを丁寧に切り抜いて音量を上げたようなナチュラルなボーカル。強くシャープにしたりピーキーな成分が増えたりすることがなく、丁寧なチューニング具合だなと感じました。
ボーカルの掠れ、サ行に少しエッジが立っているので、女性ボーカルの方が男性ボーカルよりも美しく儚さや情緒を表現できていると思います。どちらかといえば女性ボーカル特化だと思います。

高音域

BAらしい粒立ちの良い表現で明瞭度も高め。金属音はやや硬質さがありますが、耳障りな成分が少なくほんのりエアリーなふわっとした空気感まで表現する抜けの良い高音域だと思いました。

楽器に含まれる高音域の倍音成分なども素直に再生してくれる実直さがあります。

音場・空間表現

音場はやや広めに展開され、頭の外にほんのり出ていくような抜けの良さと広さがあります。
音がふわっと立ち上がるような背景の暗さもあるので、オーケストラ音源を聴いていても違和感が全然ありません。奥行きは特別優れているほどでもありませんが、奥行き方向のレイヤーもしっかり丁寧に描き分けができているので、意識した音にしっかり耳がフォーカスを合わせられます。

ダイナミクス

低音が少々控えめなので分かりやすい迫力のあるタイプのイヤホンではありませんが、レスポンス速めで音が濁りにくいので、リズムと音の数の多さ、もしくはアタック感で迫力を作るタイプかと思います。例えるならオーケストラヒットの「デン!」みたいな(笑)

背景の暗さ、音のふわっとした立ち上がりのお陰で、ダイナミクスに不満は感じにくいと思います。

長所と短所

長所

  • 楽器表現に優れる
  • 満足度高い解像度
  • 軽量なシェル(ハウジング)
  • ボーカル特化型

短所

  • 低音の量感や重さに少し物足りなさ
  • 3.5mmケーブル仕様
  • キラキラと降り注ぐほど高音成分は控えめ

ボーカルや楽器表現に優れたイヤホン。チューニングの方向性が明確なので微調整はリケーブルなどを試してみるといいかも。

こんな人におすすめかも。

  • 歌詞をしっかり聴きたい、ボーカル曲中心の人
  • バンドサウンドやアニソンをよく聴く人
  • 2万円前後ではじめてハイブリッドIEMを買う人
  • 将来リケーブルで音を詰めていきたい人

曲の中の声や楽器を一つずつ追いかけて聴く人ほど満足度が高いはず。1本目の本格的な有線イヤホンとしても、すでに何本か持っている人のボーカル用としても選びやすい特徴をしています…!

総評と感想

1万円台後半は、中華IEMを中心に選択肢がひしめく激戦区…!
そこに新ブランドのデビュー作として投入された「SGENE Kaimei」は、歌もの中心の聴き方にきっちり照準を合わせ、付属ケーブルやパッケージ…そしてコンセプトまで含めて完成度を詰めてきました。
3Dプリントのシェル、8芯OCCケーブル、ロゴ入りのケースやイヤーピースケースまで、19,800円の製品としては付属品も手抜きがありません。
ケーブルブランドを手がけてきた伊藤屋国際らしくしっかりブランディングまで意識してリリースされた本製品、さすがの完成度でした。

重低音の迫力や音の重さを最優先する人には別の選択肢をすすめますが、ボーカルや楽器の聴き取りやすさを重視するなら、この価格帯で真っ先に試聴してほしい1台です。なかなか完成度高めですよ~(*^^*)

購入先

筆者に質問コーナー

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この記事を書いた人

メディアサイト「Trefle Lab」を運営しています。
積極的にオーディオ製品やガジェットなどもレビューしています。

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