今回ご紹介する「NICEHCK PureAural」は、Cirrus LogicのCS43198とSGM8262を組み合わせたケーブル一体型のドングルDACです。出力端子はあえて3.5mmの1系統だけ。そのかわりPEQやゲイン、駆動モードの切り替えまで、中身をかなり作り込んできた印象です。
ということで、「NICEHCK PureAural」をレビューしていきます!

NICEHCK様より、ご紹介のために製品をご提供頂きましたが、内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。
製品概要
NICEHCK(ナイスエイチシーケー)は、2015年に設立され、イヤホン、イヤーバッド、リケーブルを中心に製品を手がけてきたオーディオブランドです。
代表的な製品には、ハイブリッドイヤホンのNX7・NX8、高価格帯のRockiesやHimalaya、エントリー向けのTearsなどがあります。USB DACでは、ケーブル型のNK1 MAXやNK1 Ultraを展開しています。
「NICEHCK PureAural」は、DACチップにCirrus Logic CS43198、アンプにSGM8262を採用し、電源はLM27762と2基の独立LDOによる3系統で構成されています。基板は6層で、デジタル・アナログ・電源の各回路を分けた設計です。
出力は3.5mmシングルエンドのみで、マイク付きイヤホンのインラインリモコンとマイク入力にも対応。
各種設定は、Android向けのNICEHCKアプリと、PCのブラウザから利用できる「https://app.nicehck.cn/」にて行います。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| DACチップ | CS43198 |
| アンプチップ | SGM8262 |
| 出力端子 | 3.5mm(シングル) |
| 出力 | 210mW@32Ω、235mW@16Ω |
| 最大対応フォーマット | PCM 32bit/384kHz、DSD256 |
| 発売日 | 2026年9月21日 |
| 価格 | 約60ドル(約9,000円前後) |
パッケージ内容について
パッケージは中箱をスリーブで上下から挟むような珍しい作り。中国語ブランド名「原道(YUANDAO)」のロゴも入っています。

スリーブを外すと中箱が出てきます。
今までこんなパッケージ見たことが無かったので面白い開封体験でした(笑)

中箱を開けると、黒いスポンジに本体とUSB変換アダプターが収まっていました。

本体外観
本体と変換アダプターです。
アルミの天面には「PureAural」のロゴと、ヘアライン加工の帯にスペックなどが記載されています。
ケーブルは白系の編み込みで短めで、本体がぶらぶらしにくい長さです。外観や手触りは丈夫さを感じさせるしっかりした作り。

出力端子は3.5mmのみ。変換アダプターはUSB-A(オス)からUSB-C(メス)へのタイプで、本体と同じシルバーのアルミ製のハウジングが採用されています。

側面のボタンはわずかに出っ張っていて、1回押しで再生/一時停止、2秒の長押しでデジタルフィルターの切り替え。すぐ横の小さな穴がステータスLEDで、製品の起動中は白く光ります。

機能・アプリ
PureAuralの一番の個性は、ドングルDACなのに触れる設定項目がとにかく多いことでしょうか。本体側でできるのはボタン操作くらいで、細かい調整はすべてアプリかブラウザから行います。
NICEHCKアプリとWeb Tuning
設定はAndroid向けの「NICEHCK」アプリか、PCのブラウザで「https://app.nicehck.cn/」にアクセスして行います。Web版は専用ソフトのインストールが要らず、ブラウザからデバイスに接続するだけ。
PC環境がある私にとっては、「https://app.nicehck.cn/」にアクセスするのが最も簡単に感じました。

接続が完了すると、接続した機器に対応する設定画面が表示されます。

| 設定 | 内容 |
|---|---|
| 音楽プリセット | Default/Rock/Vocal/Instrumental |
| ゲームプリセット | FPS Footsteps/FPS Gunshots/Vocal Boost/Immersion Mode |
| PEQ | 10バンド(周波数・ゲイン・Q値を個別に設定、カスタムEQを保存可能) |
| デジタルフィルター | FAST-LL/FAST-PC/SLOW-LL/SLOW-PC/NON-OS(初期値はNON-OS) |
| ゲイン | Low/Medium/High |
| 動作モード | Class AB/Class H |
| 音量 | 0〜100の100段階 |
| その他 | チャンネルバランス、マイク入力ゲイン、EQミュート |
プリセットは切り替えたときの変化がはっきりしていて、分かりやすい。ゲーム用途も意識しているのかマイクのゲインも変化させられますし、利便性にも配慮しているようです。
音質について
「NICEHCK PureAural」ってどんなDAC?
- クール寄りで色付けの少ない、すっきりした音
- 低音はタイト、ボーカルと高域の輪郭がくっきり
- 定位がつかみやすい
- ドングル型にしては高出力(3.5mmで210mW)
- PEQやプリセットをアプリ・ブラウザから調整可
DAC自体の音はクセが少なく、見通しのよさを優先したタイプかなと。
そこへ調整の自由度とゲーム向けの機能を上乗せした製品です。DACで音色を濃くしたい方や、4.4mm出力で鳴らしたい方には物足りない部分がありますが、3.5mmのイヤホンで音楽もゲームもこなしたい方にはかなり使い勝手のいい1本だと思います。
やや寒色気味な音色ということ以外は大きな個性はなさそうです。
音質についての感想
全体的な音色
全体的に見ていくと、少々クール寄りの、すっきりした音だと思いました。DAC側で色を付ける感じは少なく、中高音付近にシャープネスが少しかかる印象もあって、つないだイヤホンの持ち味を残したまま、音の輪郭だけをくっきり整えてくれるタイプでしょうか。
低域
余計な響きは足さずにタイトに引き締まっていて、収束も速いのでキックやベースのリズムが追いやすく、レスポンスの速さから中音域に被ってくる印象もありませんでした。
中域
比較的ニュートラルな印象でボーカルが前傾することなく、わずかにシャープネスが乗る程度の味付けかなと思いました。全体としては寒色な傾向を少し感じるので、その影響でボーカルの線が細く感じる場合は少しあるかも?という感じです。
個人的には情緒や温度感が乗る表現が好みではありますが、ゲーム用途も意識した製品なので、これくらいのチューニングが適切なのかもしれません。
高域
高域はシンバルの響きがストレートに伝わってくるような印象があります。少しシャリっとした質感が少し強調されているような気がしますが、これが適度に解像感の演出にも一役買ってるのかもしれません。イヤホンの組み合わせによっては少々ドライなサッパリした音色に感じられる場合があるかもしれません。
空間表現
やや輪郭を立てた音色なので音の方向は精度よく伝わってくる印象があります。安価なドングルDACにありがちな曇った抜けの悪い音という印象は全くありません。
空間の広さそのものは標準的ですが狭くはなく、音同士に分離と余白をきちんと持たせていると思います。ゲーム用途においては空間が広すぎても逆に扱いづらいので、必要十分な標準的な広さだと思います。
気になった点
- 音楽鑑賞においては温かみに物足りなさがある。
- USBケーブルが固定で交換できない。
総評
「NICEHCK PureAural」は、NK1 MAXやNK1 Ultraより一段上の価格帯に置かれたモデルで、約9,000円前後という値段はドングル型DACとしては高め。
ただ、その差額は、ブラウザやアプリからのチューニング機能、ゲーム向けの機能、210mWの高出力にしっかり回っていて、「スマホの音を少し良くするアダプター」より一歩踏み込んだ製品になっていると思います。
手持ちの環境が3.5mmで完結しているなら、通勤中の音楽鑑賞というルーチンから夜のゲームタイムまで、これ1本で回せるオールインワンという考え方も出来るので、用途が噛み合えばとても利便性の高い製品だと思います。
4.4mmプラグの運用を考えていないなら大変オススメです(*^^*)
こんな人にオススメ!
- スマホやPCで、音楽とFPSを1本で済ませたい人
- インラインマイク付きイヤホンでボイスチャットをする人
- EQをいじって自分好みの音に追い込むのが好きな人
- 手持ちのイヤホンが3.5mmプラグ中心の人
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