今回レビューするのは、HIFIMANのワイヤレスイヤホン「HIFIMAN Svanar Wireless 2」です。
初代「Svanar Wireless」は、R2R方式の独自DACを完全ワイヤレスに詰め込んだ、かなり尖ったTWSでした。音は高く評価されつつも、本体の大きさや接続の安定性が低かったとか…普段使いで気になる部分も多かったんです。
さて、その後継となる第2作目のSvanar Wireless 2がどう進化したのか見ていきたいと思います\(^o^)/

AliExpressより、ご紹介のために製品をご提供頂きましたが、内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。
製品について
「HIFIMAN SVANAR WIRELESS2」の中核となるのは新開発の「HYMALAYA Mini DAC」。初代はDACとアンプを収めるために基板を2枚重ねる構造をとっていましたが、本機ではR2R方式のDACを1つの専用チップにまとめました。抵抗の数は前世代の2倍、占有スペースは約5分の1とされ、回路の小型化によって片耳の重量は8gから7.4gに少し軽量化。
DACの後段には独立したClass ABのバランスアンプを配置。デジタルからアナログへの変換と増幅を、それぞれ専用の回路が受け持つ構成です。ドライバーは、振動板にナノ粒子コーティングを施した同社の「トポロジーダイアフラム」を採用したダイナミック型です。
無線はBluetooth 6.0に対応し、コーデックはLDACに加えて、HUAWEIの高音質コーデック「L2HC」もサポート。最大-35dBのアクティブノイズキャンセリングと外音取り込みを備え、音質重視の「HiFiモード(High Fidelityモード)」を含む3つのモードを切り替えて使う仕組み。新たに専用の「HIFIMANアプリ」にも対応し、ファームウェアの更新、タッチ操作の割り当て変更、EQ設定などが行えます。

弱点潰してきたね!
仕様
| ドライバー | ダイナミックドライバー×1 (トポロジーダイヤフラム) |
|---|---|
| 接続技術 | Bluetooth 6.0 |
| コーデック | LDAC/AAC/SBC/LDAC/L2HC対応 |
| 周波数応答 | 10Hz〜35kHz |
| 防水 | IPX5 |
| 再生時間 | High Fidelityモード 約4.5時間 / ANCモード 約7時間 / 外音取り込みモード 約8時間 |
| 価格 | 299ドル |
パッケージ
パッケージは黒を基調としたシンプルなデザインで、前作と雰囲気は大きく変わっていません。
本体ケースがそっと壁から覗くような…もしくはそっと照らされるような高級感のあるイラストが描かれています。


箱を開けると、スポンジのくぼみにイヤホン本体と充電ケースが収まっています。フタの裏までスポンジが貼ってあるようです。真っ黒~。


内容物
付属品は完全ワイヤレスイヤホンとして一般的なレベルですが、イヤーピースがかなり豊富なのは前作と同様ですね。一般的な無線イヤホンとは異なり、充電ケースがかなり大きいのでイヤーピースも社外製のものを積極的に使いたくなります。


イヤホン本体
近未来的な独特なフォルムをしています。これがまたカッコイイんだな…(笑)


前作同様に、耳に入る部分の造形は、カスタムIEMのような有機的なシェルの形状で、高い密着性と装着感を維持しています。。


充電ケースへの出し入れをする際に、HIFIMANロゴがぼやっと光るのがカッコいい。前作はこの場所はロゴではなく正方形のランプだった記憶です。


充電ケース
充電ケースは無線イヤホンとしては大型のもので、大きさそのものは前作と変わらずデザインが変わったという印象です。
前作は高級感のあるデザインでしたが、今作はモダンなデザイン。若々しくなりましたね。




デザイン自体は、宝石をカットしたような多面体デザイン。ツルッとした菱形の面と、シボ加工の面が交互に組み合わさっていて、天面にはカーボン調の上にHIFIMANのロゴが入ります。
イヤーピース
付属品はイヤーピースと充電用のUSBケーブル。どちらも1つのトレイ?小箱?にまとめて収められています。
サイズはMとSのみで、Lサイズは見当たりませんでした。ケーブルはUSB Type-A to Type-Cです。


形の違うイヤーピースを並べてみました。左端の笠が深い円錐型のほかは、傘が2段になったタイプで、穴の径や高さが少し違います。


使用感・装着感について
ケースの取り回し
前作のレビューでも同様でしたが、最近の小型TWSと比べると本体もケースも大きめ。特にケースはかなり存在感があり、ポケットに入れて気軽に持ち歩くというより、バッグに入れて持ち運ぶタイプ。
イヤホン本体もTWSとしては、とんでもなく大型なので仕方ないといえば仕方ないのですが。


装着感
装着感は、大きさに反して耳の穴にすっぽり密着し、かなり装着感は良好。本体のノズルが短めで使用者によって合う・合わないがハッキリ分かれそうではあります。
相変わらず本体のハウジングの密着度の高さによって、物理的な遮音性が高く本体のANC機能を使えばほぼ無音になります。


接続安定性
前作では、通勤時の使用において特定の駅や乗車率によっては簡単に接続が切れたり、再生が止まってしまうケースがありましたが、本作においては完全に改善していました。
L2HCは対応するのがほぼHUAWEIのスマートフォンに限られるので、恩恵を受けられる人はかなり絞られることと、検証環境がありませんでした。
ANCモード
通勤でも違和感なく常用可能なレベルのノイズリダクション性能でした。音楽鑑賞においてはANCモードがONの場合は高音域が丸く、タオルケットを1枚被せたような音色に変化します。しかし強いこだわりが無い限りは通勤環境で聴くオーディオにおいては十分なレベルでそれほど極端に大きな劣化はないように思います。
音質について
「HIFIMAN Svanar Wireless 2」の特徴は…
「音質特化型TWS!モダンなタイトなサウンドに広い空間は健在」という感じです。
前作に比べるとモダンでスピード感が上がり、低域がタイトでクリアになりました。開放型ヘッドホンで聴くようなスカッと抜けの良い音色に仕上がっていて、前作のまったりとナチュラルな音色からモダンでレスポンスの良いサウンドへ変化しましたね!
空間の広さは健在で、ある程度落ち着きはありつつも頭の外まで広がりつつ奥行きや余韻もあるリッチで濃いめのサウンド。HIFIMANのエッセンスをしっかり感じられる仕上がりです。
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
試聴環境
- iPhone 16 Pro MAX
Bluetoothにて接続。
全体的な音色や特徴など
一聴した瞬間に「やっぱりリッチで、質感を大事にしたサウンドだなぁ」としみじみ感じました。空間が広く、繊細なタッチで音の質感や生々しさを描き出す、スケールの大きな鳴り方です。何かを誇張しているわけでもないのに、音がふっと立体的に立ち上がってきて凄みがある。初代に似て有機的な音…でも少しモダンな方向性に振った印象はありますが、ニュートラルやフラットといった言葉で片付けてしまうのはちょっと勿体なくて、「ナチュラル」と呼びたくなる音なのは変わらずでした。
しかも、明らかに高音域方向へレンジを広げてきましたね。情報量が増え、見通しのよさは初代から大きく向上しています。ピアノ主体の楽曲を聴くと、鍵盤に指が触れるときのノイズ、フレームにコツコツと共鳴する母材の響き、高音弦の伸びやかな鳴り、さらにペダルを踏んだときにフェルトと弦が擦れる音まで、細かく描き分けてくれました。ここは初代では聴けなかった表現です。
例えるなら、大型のブックシェルフスピーカーで聴く…もとい、目を瞑って音を浴びるような感覚です。
立体感や空気感、音場の広さは初代から変わらず強く感じられ、相変わらずワイヤレスイヤホンとは思えない仕上がり。初代で物足りなかった余韻や響きをしっかり補って新作として出てきてくれたことに、なんだか嬉しい気持ちになりました。



前作もそうだったけど、現代的な楽曲・デスクトップPCで打ち込むサウンドよりも、クラシック系やサウンドトラックを聴く方が強みを活かせると思います。
低音域
温かみとタイトさ、ゆったりとした緩やかさをバランスよく同居させた、丁寧な鳴り方の低域です。量で押し出すことはせず、楽曲を下からナチュラルに支えながら、曲全体に温度感を乗せていくのが上手いですね。
初代は少し厚みのあるマイルドな低域でしたが、今作はそこにクリアさが加わった印象。温かさは残したまま、輪郭が一段すっきりしました。ただ、前作に比べて中低域の厚みや密度が減ったと感じる場面も多少はあり、ベースラインやバイオリンやチェロなどの胴鳴りを太く聴きたい、アナログっぽく生っぽく聴きたい…と考えていると、少し細身の表現になったと感じるかもしれません。
中音域
楽器の中域は輪郭がはっきりしていて、ピアノやギターの音を細い線でくっきり描くモダンな音色に変わりました。厚みや暖かさを足す方向ではないので、アコースティック楽器はやや線が細め。でも胴鳴りは残っていてドライな印象はありません。
ボーカル
ボーカルは前に張り出さず、少し後ろに定位するタイプに。前作よりシャープで少しドライな印象のボーカル表現です。
高い透明度で息づかいや語尾の揺れといった細部をストレートに表現し、声に厚みを盛らずにそのまま出す方向。前作のような温かく優しい表現を求めると方向性が変わったなぁと感じてしまう印象があります。
気をつけたいのが女性ボーカルのサ行です。高めの女性ボーカルで歯擦音が少々気になるかも?。
自然なボーカル表現は前作か今作か問われれば、個人的には前作の方が良かったかもしれません。
高音域
高域は硬質で明るめ。初代にあった自然な柔らかさは薄れ、キレとハリのあるモダンでシャープな音に変わっています。金属音が少し硬く感じる場面もありました。
とはいえ、初代にはなかった煌めきや、繊細な高域の情報量が増えたのは高く評価したいところ。初代で物足りなかった余韻や響きもしっかり補われていて、音の消え際まで感じ取れるようになりました。
音場・空間表現
無線イヤホンだとは思えないほど広めの空間表現で奥行きもしっかり感じられます。左右だけでなく奥行きや上下方向にも余裕があり、楽器同士の距離感がつかみやすいですね。前作同様に立体的な音場で音の配置や距離感、レイヤー感に優れる分離感の良さがあります。
個人的にはサウンドトラックやクラシック系を中心に聴いた方が、広さを活かしたリスニング体験を得られるのではないでしょうか。
長所と短所
長所
- 広い空間表現
- ダイナミックでモダン
- アプリ・EQ対応
- 接続安定性が大幅向上
短所
- 女性ボーカルのサ行が鋭いかも
- 録音の粗さがそのまま出やすい
- ケースが大きい
- ANCは十分だが、もっと改善出来そう



音の広がりや強弱の描き分けはTWSとして頭ひとつ抜けている反面、調整なしのままだと高域の鋭さが気になる場面がありそうです。EQやイヤーピースで自分好みに追い込む手間を楽しめるかどうかで、評価が大きく変わる製品だと思います。
こんな人におすすめかも。
- ポップスよりも、クラシックやサウンドトラックなど、編成の大きい曲をよく聴く人
- 家でじっくり音楽を聴く時間にもTWSを使いたい人
- EQやイヤーピース交換で音を詰めていくのが好きな人
- 音質最優先な人
音質を第一にTWSを選びたい人、とくに大編成の音楽を腰を据えて聴く人に向いていそうです。ノイキャンや通話まで含めた万能さを求めるなら、ほかの候補と聴き比べてから決めたほうが後悔は少ないかなと思います。
総評と感想
「HIFIMAN Svanar Wireless 2」は、「TWSに独自DACと独立アンプを積む」という路線を引き継ぎつつ、前作に改良を加えた有線イヤホンに仕上がっていましたね。
音は前作同様にTWSとしては異例なほど優秀ですが、モダンな方向性になったことや、高音域の鋭さが気になる方は少なからずいるのではないかと思いました。
とはいえ、EQで自分好みに変えて付き合っていきたい方には大変オススメ出来るほどに基礎性能が高いです。
ノイキャンや通話などの細かな総合力で選ぶなら、大手メーカーのTWSの方が安心感はあるかと思いますが、それでも独自のR2R DACを載せたTWSが299ドルで手に入ると考えれば貴重な選択肢だと思います。
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