今回ご紹介するのは「DUNU PRS 5」です。
DUNUの新シリーズ「PRS(Pro Response Sound)」のモデルで、先日レビューした「DUNU PRS 6」の弟分にあたるイヤホンになります。10mmダイナミックドライバーに3基のBA、そして超高域用のマイクロプラナーを組み合わせた5ドライバー構成。フェイスプレートでは、赤い粒の境目が虹色にきらめきます。

HIFIGO様より、ご紹介のために製品をご提供頂きましたが、内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。
製品について
DUNU(DUNU-Topsound)は、1994年にODM/OEMメーカーとして創業した中国のイヤホン・オーディオ機器メーカーです。現在はコンシューマー向けイヤホンも展開しており、「DK3001 BD」「SA6 MKII」「KIMA2」のほか、FitEarとのコラボモデル「薫 KAORU」なども手がけています。
「DUNU PRS 5」は、PRS 6とともにPRSシリーズを構成する有線イヤホンです。シリーズとしては、音楽鑑賞に加えてゲームや映像視聴での使用も想定しています。ドライバーは計5基で、10mmダイナミックドライバーが低域・超低域、BA2基が中域、BA1基が中高域、マイクロプラナー1基が超高域を受け持ちます。帯域の振り分けには、物理クロスオーバーと電子クロスオーバーを併用した4ウェイ構成を採用しています。
シェルは3Dプリントのレジン製です。フェイスプレートには多層テクスチャーパネルを使っており、見る角度や光の当たり方で色の出方が変わります。
ケーブルは、高純度単結晶銅と銀メッキ単結晶銅を組み合わせた4芯のハイブリッド線(Litz構造)で、イヤホン側は凹型の0.78mm 2Pin、プレーヤー側はQ-Lock Miniの交換式プラグ(3.5mm/4.4mm)です。
| 構成 | 1DD+3BA+1MPD 10mmダイナミック×1(低域・超低域)/BA×2(中域)/ BA×1(中高域)/マイクロプラナー×1(超高域) |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 公式表記なし |
| インピーダンス | 38Ω |
| 感度 | 110dB/mW |
| 発売日 | 2026年10月下旬予定 |
| 価格 | 国内価格26,980円(税込) |
パッケージ
外箱には、赤い背景に銀髪の女性と、椿のような赤い花が描かれています。PRS 6は青からピンクへのグラデーションのような色合いでしたが、こちらは黒いドレスと深い赤でまとめた大人っぽい配色。

開封すると、ケースやアクリルスタンド、ケーブルが収まった箱が登場、PRS 6とまったく同じ開封体験です。

イヤホン本体
フェイスプレートは、なんとも言葉で説明し難い、赤い玉虫色のような蠢くようなデザイン。光の反射具合や見る角度で色合いが常に変わる様子で、少々撮影に難儀したのはここだけの話(笑)

ハウジングは琥珀色の透明のレジンで、これもPRS 6と同じかと思いきや、こちらの方が明らかに濃く、光が透けにくい色合いです。

付属品
イヤホン本体、キャリングケース、ケーブル(4.4mmプラグ装着済み)、3.5mmプラグ、6.35mm変換アダプター、クリーニングブラシ、イヤーピース類、Q-Lock Miniの説明書…。
PRS 6とほぼ同じ構成ですが製品価格としてはこちらの方が値ごろ感があるので、同じ内容とはいえ充実感がさらに上かも。

- イヤホン本体 ×1ペア
- ケーブル(4.4mmプラグ装着済み)×1
- 3.5mmプラグ ×1
- 6.35mm変換アダプター ×1
- イヤーピース 3種類 合計9ペア
- ケース ×1
- アクリルスタンド ×1
- クリーニングツール
- その他、説明書など
ケーブル
銅色の線と銀色の線を編み込んだ4芯ケーブル。素材は高純度単結晶銅と銀メッキ単結晶銅のハイブリッドで、銀メッキ単結晶銅のみだったPRS 6の付属ケーブルとは中身が異なるようですが、取り回しには大差がありません。

イヤーピース
イヤーピースは2つのケースに分かれています。透明のケースには半透明グレーの「バランスイヤーチップ」と赤いノズルの「低域強化イヤーチップ」、グレーのケースには円筒形の「S&S Eartips(Stage & Studio)」。
公式の説明では、バランスタイプは標準のフラットな鳴り方、赤ノズルは低域の量感を足すタイプとのこと。
4種類入っていたPRS 6から1種類少ないみたいです。

ケースとクリーニングブラシ
キャリングケースは、PRS 6と同じ斜めストライプ生地のファスナー式。同様に生地は光の当たり方によって少し違った色で反射してきます。

アクリルスタンド
イラストのアクリルスタンドが付属。台座、名札、イラストプレートの3パーツ構成。絵柄はパッケージと同じです。

装着イメージ
シェルの形はPRS 6と共通…なのかな?見比べても違いが分かりませんでした。
カスタムIEMのように耳のくぼみへ収まる形状で良好なフィット感がありますね。

音質について
最初に結論から。
- 中低域に厚みと粘りがある、ややウォーム寄りの音
- 低音は存在感が強く、芯と弾力のある鳴り方
- 楽器も声も肉厚で、男性ボーカルが太く響く
- 高域はウェットで、残響が奥へ抜けていく
- 空間は縦と奥行きに広い、逆台形タイプ
同じPRSシリーズでも、音色から高域の質感、空間の作りまで、「PRS 5」とPRS 6ではほぼ正反対の方向にまとめられた仕上がり。繊細さを追うPRS 6に対して、厚みと実体感で音楽を楽しませてくれるのが「PRS 5」という感じです。
「PRS 5」は、ロックやポップスのように、リズム隊の厚みと歌の存在感を両方ほしい曲で持ち味が出るタイプ。音場の広さや超高域の見通しを最優先にする人には、少し物足りなく感じるかもしれませんが捨てがたいナチュラル感と立体感があります。というか立体感重視の音作りっぽい気がしますね。
周波数特性
実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB)
※8kHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域で、実際よりもピークが強めに出やすいことをご理解の上でご覧ください。
平均

左右

評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
試聴環境
- Lotoo PAW 6000
- Lotoo PAW GOLD TOUCH
- 付属のバランスイヤーピース
全体的な音色や特徴など
中低域に厚みを持たせた、ややウォーム寄りの傾向があります。PRS 6で感じた少しドライで寒色寄りの質感とはハッキリと方向性が違い、ひとつひとつの音に肉付きや厚みのようなものがあり、少しコッテリしたような粘りのようなものを感じるサウンドです。
一番分かりやすいのは低音と高域付近ですが、PRS 6がサラサラした質感ならば、「 PRS 5」はキラキラとした滑らかさと煌めきがあるサウンドですし、空間の作りもPRS 6が横に広く奥行きが控えめならば、「 PRS 5」は縦方向に広く奥行きを感じやすい仕上がりで、明確に両者に得意分野や特性の違いがあるのが面白い所。
PRS 6でも同様でしたが、誇張自体は少なくナチュラルな鳴り方で、高域の輪郭を強く立てていないので、細かい音は拾えていても耳当たりは柔らかくドライバー間のつながりもなめらか。
低音域
低音はやや空間を支配するように存在感を持って鳴るタイプですが、適度に引き締まってて芯があり、ブリブリ・ゴリゴリっと輪郭に弾力を持たせて響かせるような明瞭な鳴り方をします。結構聴き応えがありますし、重低音まで滑らかに鳴る印象で必要な時にはしっかりと地面を揺らすような胸にまで響く重みを持って再生してくれます。
しかし、中音域と低域は十分な分離があり、ボーカルを喰って潰すような印象は無く、よく出来ているなと思います。
PRS 6のレビューでは「EDMやロックだと少し軽い」と書きましたが、「 PRS 5」ならその不満はかなり解消されそう…!
アタックの鋭さやリズムのノリがしっかり生まれるタイプなので、スピード感はこちらの方が上かも。
中音域
楽器の音像に密度があり、ギターやピアノは輪郭を尖らせないままに音の芯に肉が付いたような質感で、楽器が重なる場面でも、音が平坦なまま濁ることがなく、音の像がしっかり立体感を残しながら鳴ってくれます。繰り返すような表現ですが、ギターも歪ませればズンズンと、ピアノはコツコツした鍵盤の響きも乗り、やはり肉厚感を感じますね。
PRS 6では中高域の明るさが前に出て、バイオリンの響きやトランペットの破裂音がよく聴こえる印象でした。「 PRS 5」は重心がもう少し下にあり、バンド全体を厚めに鳴らすタイプに聴こえます。きらびやかさや繊細さを求める曲ではPRS 6、厚みや実体感を求める曲では「 PRS 5」、と使い分けるのもありかなと思います。
ボーカル
中音域で説明したように肉厚が乗る傾向があるため、歌声に厚みや温度感が乗り、ブレス周りに生っぽいウェットな質感が乗ります。これらの要素のおかげでナチュラルな音色に仕上がっていて、PRS 6で物足りなさを感じていた男性ボーカルの質感が痩せずに太めに響き、リアル感が増していました。
ボーカルは色付けが少なく、声の低い成分までしっかり鳴らすタイプ。歌声に胸の厚みが乗り、ブレスやビブラートの消え際のような細かな部分も拾えていました。
楽器のみならず、ボーカルについても繊細さを求める曲ではPRS 6、厚みや体温のようなものを求める曲では「 PRS 5」と使い分けでも良いですし、好みの傾向の1本としてどちらかを選ぶのも大いにアリだと思います。
高音域
PRS 5では、高域を担当するのはMPD(マイクロプラナードライバー)となっていて、PRS 6のMEMSとは性質が異なっています。
PRS 6のMEMSは、パリッと乾いたサラサラした質感で余韻が短めでしたが、「 PRS 5」は少しウェットな質感がありシンバルの残響が後ろへ抜けていく感覚が強めです。
壁はあるもののホールで響くような奥行きや響きがしっかり感じられ、消え際も自然で実体感があるのがやはり特徴かなと。
ちなみに量感そのものは、PRS 6と同様に控えめ。細かいことを言えば、もっと上の高域の情報がしっかり出ていれば、より魅力を感じたかもしれないです。10kHz以上の空気感があるともっと…(^_^;)
音場・空間表現
若干音の距離感は近いかな?左右への広がりはほどほどで、センター定位の音が特に明瞭。音が真横から飛んでくるような音が無いので非常に聴きやすいナチュラルな空間です。
縦の広がりの方が大きい印象で、さらに奥へ向かって音が層を作って奥行きを形成するような感じの空間で、円形というかは…逆台形という印象ですかね。上の方が広く、下は少しコンパクトな感じ。
対照的にPRS 6は横に広く、奥行きが浅いということで、2機種で空間の作り方も音の作り方もまるで真反対のようで面白いです。音の像同士の分離はもう少し余白があっても良い気がしますが、値段を考慮すると、「まぁ普通かなぁ」というレベルには収まっています。
ダイナミクス
強弱の振れ幅は、PRS 6のときの印象を基準にするとハッキリとこちらの方が大きめ。低域の量感がある分、迫力が出やすく、推進力があります。
また、「 PRS 5」の方が音量を上げやすく耳当たりにも優しさがありました。
長所と短所
長所
- 立体感重視
- 2万円台で多ドラ・付属品多数
- 光の角度で表情が変わるフェイスプレート
- 低音の存在感が強くても、歌声が埋もれない分離のよさ
- 音量を上げやすく、耳当たりがやさしい
- しっかり層・奥行きがある空間
短所
- 全体としては音像同士の分離はもう少し余白が欲しい
- 高域~超高域は控えめ。
- 横方向の空間の広がりが控えめ

大人っぽい落ち着きのある音色…PRS 6と同様に、パッケージがしっかり音のイメージを再現している印象あり(笑)
こんな人におすすめかも。
- ロックやポップスで、ベースやドラムの迫力も楽しみたい人
- 男性ボーカルの曲をよく聴く人
- 3万円以下でマルチドライバー機を探している人
- PRS 6を試聴して、低音が軽いと感じた人
- 有線イヤホンでゲームや動画も楽しみたい人
声だけを際立たせたり、繊細さよりも曲全体の厚みごと浴びるように楽しみたい人に合いそうなイヤホンです。PRS 6と迷っている方は、解像度重視(PRS 6)か、立体感重視(PRS 5)かで選んでも良いかもしれません。
総評と感想
PRS 6のレビューでは「パッケージのイラストと音のキャラクターが重なる」と書きましたが、「 PRS 5」も同じでした(笑) 赤と黒でまとめた大人びたイラストのとおり、コッテリとした厚みのある音で落ち着きが見えるような音です。
同じPRSシリーズでも、2機種は価格で序列が付く関係というより、音の方向性が違う兄弟機に近いと感じています。超高域のドライバーに加えて、中高域BAの数やケーブルの素材まで変えてあり、最初から別の個性として作り分けたんじゃないかなと…?(ところでMEMSのコストってどんなもんなんですかね?)
PRS 6よりも一回りほど安価で、マイクロプラナーを含む5ドライバーと交換プラグ、ケースまで揃う内容は、2万円台のマルチドライバー機の中でも充実度が高く、購入しやすいのではないかと思います。
どちらを選ぶか迷ったら、聴きたいのが繊細さなのか、厚みや実体感なのかで考えると決めやすいかなと思います。
レビューは以上となります。ここまでお読み頂きありがとうございました。
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