コスパが凄い!と、SNSでも話題の『HIFIMAN ANANDA NANO』をレビューする機会を頂きましたのでじっくりレビューしていきます。

製品概要
『HIFIMAN ANANDA NANO』は、HIFIMANが2023年に発売した開放型平面磁界駆動型ヘッドホンです。最大の特徴は、ナノメーターレベルの極薄振動板と、特殊形状のステルスマグネットの組み合わせ。
ステルスマグネットは従来の角張ったマグネット形状が引き起こす音波の回折・干渉を排除するそうで、上位モデルArya・Svaraシリーズにも採用されている技術とされています。
インピーダンスは14Ωと、平面磁界駆動型ヘッドホンでは異例の低さ。感度は94 dB/mWで、スマートフォンやDAP直挿しでもある程度の音量を確保できる設計になっています。
左右に3.5mmジャックを採用し、付属ケーブルはシングルエンド3.5mm(3m)が付属します。
仕様
| 構成 | 1Planar |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 5Hz〜55kHz |
| 発売日 | 2023年 |
| 価格 | AliExpressにて日本円に換算して、 36,000~42,000円ほど |

パッケージ
パッケージはHIFIMANらしいシンプルな箱仕様です。

開封後
開封すると、内容物がすべて封入された収納ケースが現れます。

付属品

- 『HIFIMAN ANANDA NANO』ヘッドホン本体 ×1
- 収納ケース ×1
- ケーブル ×1(3.5mm)
- 3.5mm→6.3mm変換アダプタ ×1
ヘッドホン本体
外観はANANDAシリーズそのもの。無印とは色合いがシルバーになっただけのように見える。

全体的にスッキリしたデザイン。

フレームは金属ベースで一部樹脂という感じ。


接続は両出しタイプの3.5mmミニプラグです。ヘッドホンとしては標準的ですね。

ケーブル
ケーブルは極めて標準的なシンプルなビニール系被覆の黒い太めのものが付属します。
シングルエンド(3.5mm)が同梱し、6.3mmへの変換アダプタも一緒に同封されています。

収納ケース
セミハードケースで、外側からの物理的な衝撃はある程度遮断してくれます。

音質について
『HIFIMAN ANANDA NANO』ってどんなヘッドホン?
「スピードで音楽を精緻に描き出すタイプのキレキレヘッドホン」だと思います。
温かくウェットな鳴り方というよりは、冷静で透明感の高い、解像感を感じやすいタイプの音でしょうか。癖もなくスピード感と収束がキレキレで解像感重視という鳴り!
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
試聴環境
以下の複数環境で試しています。
- Lotoo PAW 6000 (レビュー用リファレンスとして)
- Lotoo PAW GOLD TOUCH
- TOPPING E2x2 OTG
- LUXURY&PRECISION EA4
ショートインプレッション
これは応答速度がかなり「速い」…!
音の立ち上がりが早く、減衰も早い。どんな音でも引き締まって各楽器の輪郭がシャープにクッキリ浮かび上がる感じで、やや固めの質感ですね!石のような硬さと言うより、しなりのある竹のような硬さでしょうか。
そして開放型なだけあって抜け感はなかなかのものですね。
減衰の速さもあってか余韻は少なめで情緒豊かに鳴るタイプとは違うと思いましたが、一般的なダイナミック型ヘッドホンと比べると、音の滲みや残響が少なく、音を分析的に聴くことが出来るようなタイプのヘッドホンですね。音の滲みとかボヤけ感は全く感じられません。
音のバランスで言えば「重心が高いフラット」という印象、中高音以上の高域付近にはわずかに強調を感じるかもしれませんが、空気感や輝きみたいな要素として上手に機能している特徴なのかなとも感じましたね。
それにしても解像感が抜群に高いですね~。
気になったのは、側圧の強さで、人によっては痛みが出るかもしれません(´・ω・`)結構強め。
低音域
低域は質感を重視した雰囲気で、量感や重低音はやや控えめです。
低音の量感やグルーヴ感、身体に染み入るような低音を求める方には明らかに物足りなく感じるかもしれません。ただ、その代わりにコントロール力と解像度は抜群で、ドラムのキックの打撃感やウッドベースの弦の振動がストレートに引き締まった形で鳴ります。
輪郭そのものは凄くシャープに聞こえることと、モニター系のスピーカーやイヤホンのような精度が高いような感覚がある感じでしょうか。
モタつきやブーミーさは皆無と言っていいレベルです。すごくレスポンスが高く濁らないですね。
中音域
全体を通じて一貫して感じることですが、これだけの透明度と分離の良さを実現しているのは素直に驚きますね。ボーカルやピアノ、ギターといった楽器もしっかり癖なく再生してくれます。
確かにSNSでも「5万前後までは一強」と言われるのも頷けます。なによりもハウジングの反響の少なさで、余計な付帯音がほとんど乗ってこない。この素直さは、音に敏感な方ほど評価出来る要素になるのではないでしょうか。
抽象的な表現が続きますが、いわゆる「温かみ」・「肉付き」・「ボディ感」・「立体感」はそこまで強くはなく、線の細さや美しさが強く感じられるタイプ。生々しさや豊潤さは控えめという感じです。女性ボーカルとの相性は良いと思いますが、個人的には男性ボーカルにはやや物足りなさを感じますね。
ボーカル
ボーカルはミックスの中でも前に出てきますね!輪郭がシャープで、音程の揺らぎや息遣いのニュアンスも細かく拾ってくれます。女性ボーカルは特に相性が良く、高音域の伸びやかさと抜けの良さが組み合わさって、華やかな聴こえ方をしてくれます。
よく女性ボーカルが美しく聞こえるオススメのヘッドホンとして名前が出るのも頷けます。私も名前を挙げると思います。
高域が多めの楽曲や強調されがちな曲では、歯擦音(サ行)がやや気になる方もいるかもしれません。個人的には気になりませんが、耳が敏感な方はやや疲れを感じやすいかもしれません。
スネアドラムの高域成分や、チキチキ鳴らすようなタイプのシンセ音はやや強めに感じる方もいると思います。
高音域
質感としては、艶っぽさのなかに刃先のような鋭さと繊細さを感じます。どこかガラスのようにひんやりと冷たい輝き、と言えばわかりやすいでしょうか(汗)
スピード感は驚くレベルに立ち上がりと減衰がスパッ、スパッと切れる異次元の速さ。原音に記録された情報をありのままにキレよく表現する、そんな挙動ですかね。
楽曲によってはアタックがやや強めに感じられる場面もありますが、これはいわば諸刃の剣な部分で、この攻めたチューニングがあってこそ、高域のきらめきと情報密度が実現されているとも言えるかなと。
一概にメリット・デメリットと断言しにくい、少しもどかしいところではありますね。
音場・空間表現
音場は広く包まれ感があります。前後左右だけでなく上下方向にも広がりを感じます。ヘッドホンで音楽を聴いているというよりも、頭の周りに音粒がふわりと浮かんでいるような感覚でしょうか。
定位の精度も高く、前述のキレの良さも相まって楽器の位置関係は把握しやすい印象です。まさに見通しの良さと解像度が高い次元で両立した、そんな空間表現だと思います。
まさに見通しの良さと解像度の塊という印象です。
解像度
解像度は価格帯を超えた水準で、いわゆるコストパフォーマンスに優れたタイプ。小さな音、遠くに定位した音、奥に引っ込んだパートの音が、濁ることなく耳元までしっかり届いてきます。
これまで聴き取れなかった音の距離感や空間配置を感じ取れるのも、この解像度があってこそ。オーディオ歴が浅く耳が新鮮なうちであれば、「こんな音が入っていたの!?」という発見もあるでしょう。
モニタリングや音楽制作のリファレンスとしても十分に使えそうな印象です。

重心高めのフラット基調で良いね~
長所と短所
長所
- 価格帯を超えた解像度と音場の広さ
- 平面駆動特有のキレの速さ
- 伸びやかな高域
- 広い空間表現
短所
- 量が控えめの低音
- リケーブルを検討してほしい
- 高域が強めなので合わない人も?
- 側圧が強い
総評と感想
『HIFIMAN ANANDA NANO』を聴いて率直に感じたのは、音楽を正確に、細部まで余すところなく描き出す能力を感じたことでしょうか。より高額な製品ならもっと上があるのでしょうけど、AliExpressのセールで4万を切るくらいの価格で購入出来る製品として得られる満足度と考えるとかなりの充実感です。
温かみや音楽的なノリよりも、情報量・解像度・スピードを求めている方には、これ以上ないくらい刺さる一台だと思います。
低音の量感やウェットな温かみを求める方には正直向かないかもしれません。でも逆を言えば、音楽の細部まで分析的に聴きたい方・女性ボーカルをきれいに聴きたい方・モニター用途を考えている方には、3〜4万円台でこれが手に入るのかと驚くレベルの一台です。SNSで「5万前後まで一強」と言われているのも、使ってみると素直に頷けます。
気になる点を挙げるとすれば側圧の強さと、付属ケーブルがシンプルすぎる点でしょうか。使っているうちに側圧は慣れる方もいますが、最初はやや気になるかもしれませんね。ケーブルはやや音がピーキーなのでリケーブルを前提に考えてみてもいいかもしれません。
とはいえ、コストパフォーマンスという観点では、現時点でかなり上位に食い込む一台だと思います。平面駆動型ヘッドホンへの入門機としても、解像度重視派の方のメインとしても、十分に選択肢に入ってくるヘッドホンだと思いました。
ちょっとした余談ですが、同時期に『HIFIMAN AUDIVINA』もレビューしています。
価格が2倍くらいになる製品ですが、奥行きや余韻といった本作に物足りない要素を見事に補完しているので、興味があればAUDIVINAも検討してみてください。
こんな人におすすめ
- 解像度・分解能を最重視する方
- モニタリングや音楽制作のサブリファレンスとして使いたい方
- ダイナミック型から平面駆動型の音に乗り換えてみたい方
- 強い低音を苦手とする方



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購入先


本記事の執筆にあたりAliExpress様よりPRの機会を頂戴し、思ったまま感じたままに執筆いたしました。このような素晴らしい機会をいただきありがとうございました。心より感謝申し上げます。
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