今回レビューするのは、LETSHUOERのミドル級の著名なイヤホン「Cadenza 4」です。
本機は、ハイブリッド構成のドライバーを搭載し、外観から音質、装着感まで、実用性と美しさを兼ね備えた本機の魅力を丁寧に解説していきます!
製品について
LETSHUOER「Cadenza 4」は、2024年に登場したミドルレンジのイヤホンで、上位機種であるCadenza 12の技術的エッセンスを受け継ぎつつ、より手の届きやすい価格帯で提供されています。
洗練されたビジュアルと満足度の高い付属品、そしてバランスの良いサウンドチューニングにより、初心者から上級者まで幅広い層に訴求するモデルです。
仕様について
製品仕様については以下をご覧ください。
構成 | 10mmベリリウムコーティングDD ×1 Sonion製BA ×1 Knowles製BA ×2 |
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再生周波数帯域 | 20Hz–40kHz |
感度 | 102dB |
インピーダンス | 15Ω |
ケーブルプラグ | 2.5mm / 3.5mm / 4.4mmプラグ |
ケーブルコネクタ | 0.78mm 2Pin |

パッケージ外観と付属品について
パッケージ
Cadenza 4のパッケージは、製品画像すら掲載しないシンプルなグレーのデザイン。
あえて商品のビジュアルを前面に出さず、パッケージから製品のクオリティを語らせるような佇まいです。まるで「中身で勝負する」というLETSHUOERの美学と自信を象徴しているかのよう。

開封を進めると磁石式のボックスで構成され、開封時に「プレミアム感」をしっかりと演出してくれます。各段にイヤホン本体とマニュアル、下段の引き出し式トレイにはケーブルやケースが美しく収納されており、丁寧な設計が随所に見られます。
唯一惜しまれるのは、マニュアル袋に貼られたステッカーの粘着が強く、破いてしまいそうな所というくらい。

まるで高級なジュエリーボックスを開けるかのような満足感の高い開封体験でした。
付属品
付属品は以下の画像のようなものが同封されています。

- LETSHUOER Cadenza 4 本体
- イヤーピース2種類 (S/M/L) 各1ペア
- ケーブル
- 交換式プラグ(2.5mm / 3.5mm / 4.4mmプラグ)
- キャリングケース
- 説明書
本体
Cadenza 4の筐体は、3Dプリントされた白い樹脂のハウジングとCNC加工されたアルミニウム製フェイスプレートの組み合わせで構成されています。マットシルバーのフェイスプレートは艷やかで高級感を演出し、片側で実測約6gとかなり軽量な設計。

人間工学に基づいた立体的なシェルデザインが特徴で、耳の形状に沿った大きな凹凸がしっかりとフィット感を生み出しています。


ハウジングはサラサラとした樹脂で形成され、皮脂や指紋が付着しても目立ちにくく長時間の使用でも不快なベタつきを感じさせません。ただし、使用を重ねるにつれて、表面にわずかにツヤが出てくる可能性があります。実際、私の個体もやや艶が…(笑)
付属ケーブル
付属のケーブルはややしっかりとした硬さがあり、頑丈さを感じさせますが、取り回しに大きな支障はありません。脱着式のモジュラープラグを採用しており、2.5mm・3.5mm・4.4mmに対応することで、さまざまな再生機器と柔軟に接続できます。


コネクタ周辺は本体デザインとの一体感を持たせた仕上がりで、細部まで統一感があります。ピン部分も非常に精度が高く、接写してもメッキのムラや粗さは一切感じられず、上質な造りを感じられます。
イヤーピース
Cadenza 4には、2種類のシリコン製イヤーピースが付属しています。
グレーのイヤーピースは中高音の抜けが良く、ボーカル帯域が非常に明瞭に感じられます。
一方、白い半透明のイヤーピースは全体的にバランスが良く、音場がやや広く感じられるため、広がりのあるサウンドを好む方におすすめです。

本体の設計そのものの良さも影響してか、どちらも装着感は快適に感じます。ぜひご自身の聴き方や好みに合わせて、最適なイヤーピースを見つけてみてください。
音質について
Cadenza 4の特徴を簡単に表すならば…
「モニター的な正確さとリスニング向けの楽しさを絶妙にブレンドした、優等生的イヤホン」といった感じですね。
音の傾向は概ねニュートラルですが、ノリの良い中低音や積極的に聞かせてくれる距離感の近いボーカルを味わえる優等生的な印象がとても強いです。
早速ですが聴覚上の音のバランスのグラフから見ていきましょう。
※聴覚上のイメージで、計測データを元にしたものではありません。
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
視聴環境
- iBasso DC-Elite+外部給電 (AKLIAM EC02+ddHiFi TC09L)
- iBasso DX340 (参考程度に使用)
- 付属のイヤーピース(細軸・グレー)
- 付属のケーブル
音色
全体的にニュートラル寄りのバランス重視型で、ほんのりとした暖かさとリスニング寄りの楽しさを備えています。モニター用途にも、日常的なリスニングにも適した万能型のサウンドです。
圧が少なく、音の距離感が全体的に近いため、モニター系のエッセンスを感じさせつつも、音の量感のバランスはリスニング寄り。モニターらしさと音楽的な心地よさが両立した、絶妙なチューニングです。
低音域
10mmベリリウムコーティングDDで、低域は明瞭さと余裕のある鳴り方で高解像な音が際立ちます。
中高域とのつながりも自然で違和感がありません。中低音は素直な鳴り方で分離が良く、重低音は量感は控えめですが深さと厚みを伴い輪郭も明瞭です。
中音域
本機の最大の魅力とも言える領域かもしれない。
女性ボーカルはやや近めながらも高い透明度で、息遣いや音の温度感まで伝わるような繊細なニュアンスを再生してくれます。
他にも弦楽器、ピアノの繊細な響きが自然に広がり、ミドルレンジの秀逸さを実感できます。
高音域
伸びやかで自然、かつ耳に刺さらないマイルドなチューニング。
高音域が過度に主張せず、あくまで楽曲全体のバランスを優先。高域の空気感や余韻は控えめですが、長時間リスニングでも聴き疲れしない完成度の高さがあります。
解像度
価格帯を超えたレベルで、各パートの定位や分離も見事。
複雑な楽曲でも混濁せず、明瞭なイメージを保ちます。
ボーカル
息遣いやブレスを感じ取れるような繊細さがあり、音像の芯がしっかりしているため、埋もれることなく明瞭に響きます。
特に女性ボーカルでは中高域の艶やかさが際立ち、透明感と温かみのバランスが絶妙。男性ボーカルでは中低域の豊かさが深みを加え、情感をしっかり伝えてくれます。
音場
横方向の広がりが豊かで、十分なワイド感があります。奥行きや高さ方向の空間表現も十分で、全体として立体感に優れた音場設計です。
一方で、ボーカルと楽器の定位がやや近く、もう少し距離感のレイヤーが感じられるとさらに奥行きのある表現になったかもしれません。とはいえ、十分に没入感はあります。
聞いてみた感想
一聴して感じたのは、全体として整ったバランスの良さ。音の傾向は概ねニュートラルですが、中低域にはしっかりとしたノリと厚みがあり、ボーカルは距離感近めで積極的に響いてきます。
モニターライクなディテール感と、リスニング寄りの量感のバランスが非常に絶妙で、どちらの用途でもストレスなく使えそうな「優等生」的サウンドです。
また、似た音作りだなと感じて見返した過去のレビュー(Mystic8)でCadenza 4に近いグラフを自分が描いていたことに気づき、思わぬ形でチューニングの系譜や一貫性にも納得できました。
解像感の高い低域と、質感豊かな中高域、そしてLETSHUOERによる絶妙なチューニングが生み出す全体のまとまりは、聴いていてとても心地よく、価格帯以上の完成度を感じさせてくれます。
巷で名機と噂される理由も納得です。
装着感について

装着時の安定感も高く、耳へのフィットが自然なため、リスニングに集中しやすいのも魅力ですね。
長所と短所
長所
- バランス重視の音質
- 値段に対し高解像度
- 軽量で快適な装着感と優れた遮音性
- 音場・分離感の高さ
短所
- やや余韻や空間表現に物足りなさ
- キャリングケースが扱いづらいかも
- 本体のサラサラ感は経年変化しそう
- 本体は軽量だが、やや大ぶり

モニターライクさとリスニングの中間ゆえに個性は控えめとも言えるので、素晴らしい名機だと感じつつも没個性的かも。イヤホンって難しい。
あとがき
LETSHUOER Cadenza 4についてここまで、長々と執筆してきましたが、期待値を超えるパフォーマンスを実現したイヤホンだと感じます。
過度な誇張がなく、あらゆるジャンルをナチュラルに描き出すその音は、まさに“ミドルクラスの新基準”と呼んでも良いかもしれませんね。
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