こんにちは。今回レビューするのは『NICEHCK Tears(涙)』です。
製品としてはエントリークラスの製品ですが、6N単結晶銅を内部配線に使うなどエントリークラスながらプレミアム体験を実現するというコンセプトの相応しい製品づくりになっているそうです。

製品概要
NICEHCK Tears(涙)はエントリークラスでプレミアムな体験を実現することを目的とした有線イヤホンです。低音強化リバーブ空間とフラッグシップ級音響スタックデザインを採用し、6N単結晶銅内部配線によって高品位な信号伝送を実現しています。
ドライバーには、10mmデュアル磁気回路を採用した超高感度ダイナミックドライバーを搭載。デュアル磁気回路構造により高い感度と駆動効率を確保し、高感度設計によってインピーダンスの影響を受けにくく、さまざまな再生環境で安定したパフォーマンスを発揮します。
音響構造にはフルモールド・サウンドキャビティ構造を採用。フラッグシップ音響スタックデザインにより、音の純度を高め、よりクリアで安定した再生を可能にしています。また、音響迷路構造を取り入れることで、低音は力強さを保ちながらも自然な広がりを持ち、量感と質感の両立を図っています。
さらに、ラージオープンバック筐体フィルタリング構造を採用することで、音場の広がりと高域のスムーズな抜けを実現。音の閉塞感を抑え、開放的なサウンド空間を形成します。内部にはスーパーフラッグシップ級素材を使用した6N単結晶銅配線を採用し、音の透明感と情報量の向上に寄与しています。
…という感じで公式の情報の単語や文章をお借りしてまとめてみました。
仕様
| 構成 | 1DD |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 20 Hz-20 kHz |
| 発売日 | 2025年12月 |
| 価格 | 約29ドル |
パッケージ内容
エントリークラスらしくシンプルなパッケージ。でも華美にならず分かりやすいデザインで素晴らしいですね。

開封後
蓋を開けると、イヤホンがスポンジに収まっています。イヤホンの下には紙箱が入っていて付属品などが収まっています。

丁寧にイヤホンが収まっているのはちょっと安心感があるというかプレミアム感があって良いですね。

付属品
エントリークラスの製品ながら、持ち歩きに便利なポーチも付属。イヤーピースも細かな段階で分けられたサイズで付属しています。

こういった安価なイヤホンほど、さっとポーチにしまって必要な時にさっと出したいものなので、とても理にかなった付属品の構成だなと感じました。
イヤホン本体
本体はシンプルなデザインで樹脂のハウジングが採用されています。YUANDAOという文字も刻印されていますね。

耳に収まりやすいコンパクトなデザイン、手触りはさらっとした感触です。
ハウジングの裏側にはやや大きめなベントが3つも設けられています。

内部構造には拘っているようなので、何かしらの音響効果があるものだと思われます。
ただし少々音漏れは激しめかもしれません。
イヤーピース
イヤーピースは5ペアで5段階に別れたサイズで展開されています。

ケース
シンプルな柔らかい合皮のポーチです。口をぐっと握ると板バネが動いて口が開くようなタイプです。

音質について
『NICEHCK Tears(涙)』の特徴をいくつか書き出すと…
- 迫力と響きのある低音
- 左右上下よりも前後に広い空間
- 広がるボーカルと楽器たち
周波数特性
計測データは以下の通りです。※素人による計測の為、参考程度にお願いします。
片側を94db@1000Hzに合わせ計測。

個体差か、左右で絶妙に1db以内の音量差がありますが、聴覚上はわかりませんでした。
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
視聴環境
- Lotoo PAW 6000
- 標準ケーブル
- 付属イヤーピース
サウンドインプレッション
結論から言えば、価格を考慮すれば十分に満足度の高い仕上がりと言えるのではないでしょうか。
高音域を除き、全体としては適度にリバーブがかかったような独特の響きがあり、原音を忠実に再生するタイプのイヤホンとは異なる方向性を持っています。どこかアナログライクで、温かみとリアリティ、そしてライブ感を強く感じさせるサウンドに仕上がっている印象です。
どのジャンルの楽曲を再生してもエネルギッシュでライブ感のある音になりますが、特にアコースティック系やクラシック、さらにオーケストラ作品を再生した際には、また印象が大きく変化し、繊細ながらホールのような響きのある音色に変化し、エネルギッシュという感覚が不思議と消えます。
原音忠実性は控えめではあるものの、実際にホールでオーケストラを聴いているかのような、不思議な実像感と豊かな響きを体験できる珍しいイヤホンなのではないでしょうか。
左右方向への広がりよりも、奥行き方向に空間の広さを感じさせる音場表現であることも、この独特な臨場感につながっている要因の一つかもしれません。
良ければ参考までに以下の楽曲を。
低音域
おそらく本製品で最も力が入っている部分というか特徴を持たせた帯域なのではないかと思います。
広がりと弾力、そして圧のある不思議とヌケ感のある低音で、時には心臓までズシンと響きますし、「ボフッ」と空気を揺らすようなバスドラムまでしっかり演出してくれます。低音の輪郭はやや弾力のある柔らかめの輪郭ではありますが、温かみもありますし抜けの良さとノリの良さで気持ち良い鳴り方をしてくれますね。
ウッドベースを鳴らしてみるといい感じのリアリティがあります。
中音域
やや細めに押し出しがありますが元気でパワフル、情熱さがありPOPSを聴いてても楽しい音色になっています。
ギターやボーカル、ストリングスも鮮明でハッキリしている上に分離感も悪くないので音が濁りにくく解像感があります。
ピアノやストリングスの響きは結構気持ちが良く鳴ってくれる印象です。
ボーカル
男性ボーカルは情熱的でエネルギッシュ、女性ボーカルは上方向に伸びがあるような響きで近めに感じられます。
ただちょっと温度感が物足りないというか厚みが少し足りない感じも。
楽器には余韻や良い響きを感じられるもののボーカルはやや無機質な感じで余韻が控えめな印象があります。しかしハスキーボイスやささやき声で歌唱するタイプのボーカリストなら相性は悪くなさそうですし好きな人は居そうですけどね…?
高音域
高音域はEtymoticカーブに近い明瞭さがあり、そこから自然に減衰していく傾向があります。近年のイヤホンに多い派手さや強い輝きはなく、ややクラシカル寄りの高域バランスです。超高音域は強調されておらず控えめにまとまった印象。
一方で抜け感は悪くなく、音場にはしっかりと奥行きがあります。超高音域が控えめであるにもかかわらず、音が詰まった印象や閉塞感はほとんどありませんし倍音はしっかり感じられます。
シンバルの余韻や金属的なきらめきはやや弱く感じる場面もありますが、音の立体感や空間への配置は自然で、不自然さは感じにくいですし音の描写力自体は十分に確保されています。
音場・空間表現
左右は正直狭いというか壁を感じますが、奥行き方向がかなり広い不思議な空間表現があります。
解像度
本製品はあまり解像度で語るタイプじゃないとは思います。響かせて鳴らすタイプなので分析的に聴いたりしませんし、解像度の高さがメリットになる製品ではないかなと思います。
と、濁してみましたが解像度そのものは低いとは思いませんでした。売価に対して要求する解像力は十分持っていると思います。
装着感について
コンパクトで軽いので装着は簡単です。 とはいえ人間工学的なシェイプではないのでピタっとした装着感ではありませんが。

長所と短所
長所
- 豊かな響き
- 明瞭な中音域
- 質感の良い低音
短所
- 横方向の空間の狭さ
- やや安っぽさある筐体
響きを活かした楽曲を聴くと気持ちいいイヤホン。長所を伸ばして使ってあげたくなります。

クラシックキモティィィ!
まとめ
『NICEHCK Tears(涙)』は、音の精度やモニター的な使い方するより、「雰囲気よく音楽を楽しむ」方向に振り切ったイヤホンという印象かなと。低音は量感と響きが強めであり、奥行き方向にスッと広がる音場表現が特徴的。左右に広いタイプではありませんが、その分ホール感やライブ感が強く、音に包まれるような感覚があります。
解像度で勝負するタイプではないものの、価格を考えれば不足を感じることはありません。
また、アコースティック的な楽曲やクラシックではこの独特な響きが不思議とハマります。筐体の質感や横方向の空間表現にはコスト的に仕方のない割り切りもあるのだとは思いますが、それを考慮しても「キャラクターがはっきりしている」点は使い方を間違えなければドハマリする楽曲もあるでしょうし、購入を検討する方としても安心感にもなります。
細かいことを気にせず、気持ちよく音楽に浸りたいときに手に取りたくなる、そんなエントリークラスのイヤホンです。
さっと使ってこれだけエネルギッシュで響きのある音が出れば十分すぎますよね!ここまで見てくれてありがとうございました!
購入先
5ドルオフのクーポン:TEARSMO (2025-12-25 23:59:59まで)
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