LovEdiaQue COMET レビュー|楽器の像が浮かぶ、DLC振動板とスタブで作り込んだ立体的な1DDイヤホン

大学院生3人が立ち上げたブランド「LovEdiaQue」から、第2弾となる1DDイヤホン「COMET」が登場。
前作のGRANITEは限定39台の受付が開始当日に埋まるほどの反響で、私自身もかなり好みの音だったこともあり、今作は発表の時点からずっと楽しみにしていました。

今回掲げられているテーマは「実像感」。センターに立つボーカルと、その周りで鳴る一つひとつの楽器を、実体のある像として描き出すことを目指したモデルとのことですが…

実は今回、「先入観なしで聴いてほしい」とのお話をいただいていまして。告知すら見ないまま音質レビューを先に書き上げ、そのあとで製品概要や開発背景を伺って記事を仕上げるという、いつもとは逆の手順で執筆しています(笑)

では早速、「LovEdiaQue COMET」をレビューしていきます!

LovEdiaQue COMET
LovEdiaQue COMET

LovEdiaQue 様より、ご紹介のために製品をご提供頂きましたが、内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。

目次

製品について

LovEdiaQueは、ポータブルオーディオに惹かれて自作イヤホンを手がけてきた内許 博翔氏を代表に、大学院生3人で立ち上げたブランドです。在学中に培ったモデリング技術を設計に生かしており、2026年4月の第1弾「GRANITE」(1DD)は限定39台・先着順の受付が当日中に定員へ到達。COMETはそれに続く2作目の1DD機です。

ドライバーは前作と同じデュアル磁気回路・デュアルチャンバー構造で、背後の空間を「第3の空間」として容積を詰める手法も踏襲。変更点は振動板のコーティングで前作のCNT(カーボンナノチューブ)からDLC(ダイヤモンドライクカーボン)に切り替え、剛性を高めて解像度の向上を図っています。

「COMET」では、DLC振動板が特定の帯域で耳障りな響きを生みやすい点への対策として、「封止端スタブ」を設け、その帯域だけをピンポイントで抑えています。ダンパーのように音道を狭めたり塞いだりする必要がない点が、この方式の利点とのこと。限られた筐体内で必要な管の長さを確保するため、チューブは180°折り返して収められています。

開発段階ではサスペンション張力の調整やメッシュの物理抵抗による制御も試されましたが、いずれも音圧全体が下がり、ダイナミクスと両立できなかったとのこと。勢いと立体感を残したまま耳障りな成分だけを抜く手段として、「封止端スタブ」が選ばれたようです。

もう一つのポイントが、ノズル内部に配置された特殊形状のインサートで、今作のテーマである「実像感」は、主にこのパーツで作り込まれています。

本製品の生産は月45台程度の予定と案内されています。

構成1DD
(DLC・デュアル磁気回路・デュアルチャンバー)
再生周波数帯域非公表
インピーダンス非公表
感度非公表
発売日2026年10月下旬〜11月上旬予定
LovEdiaQue公式アカウント要チェック
価格17,300円
特記事項ケーブルは付属しません。
製品仕様

パッケージ

パッケージは黒のペーパーボックス。右下に小さくロゴが入っているだけの、かなりシンプルな外箱です。前作GRANITEは白い簡易的なパッケージだったので、今回はガラッと印象が変わりましたね。

LovEdiaQue COMET パッケージ外観
パッケージ外観

蓋を開けると、ロゴ入りのキャリングケースがそのまま収まっています。

開封後

ケースの中ではスポンジに本体が固定されていて、イヤーピースも同梱されていました。
※ケーブルは付属しません。

LovEdiaQue COMET ケース開封
ケース開封

イヤホン本体

フェイスプレートはグリーンのラメに、細い光の筋のようなものが弧を描きながら幾重にも重なるデザイン。COMETという名前の通り、尾を引いて流れる彗星の光のようにも見えるような…

前面・フェイスプレート

シェルは少しグレーが掛かったクリアレジンで、内部のドライバーや配線が透けて見えます。ノズルは金属製で、先端にはパンチングメッシュ。コネクターは2Pinで、シェル側面にはブランドロゴが印字されています。

背面・サイドビュー

シェルの中でぐるっと折り返している管が、冒頭で触れた「封止端スタブ」で、耳障りな響きを抑制しているのだとか。

LovEdiaQue COMET スタブ部分
スタブ部分
LovEdiaQue COMET スタブ部分
スタブ部分

付属品

付属品
  • イヤホン本体 ×1ペア
  • イヤーピース 1種類 ×3ペア
  • キャリングケース ×1
  • その他、説明書など

イヤーピース

イヤーピースは1種類ですが、軸の色でサイズ分けされた3ペアが用意されています。見かけるタイプのものですが、品質は良いですね。

イヤーピース

付属ケース

ケースはグレーの織り目調の生地を使ったジッパー式。手のひらに収まるくらいのサイズで、イヤホン1本を持ち歩くにはちょうど良さそうです。

LovEdiaQue COMET 付属ケース
付属ケース

装着イメージ

小さめの筐体でカスタムIEMのように耳の形状に合わせた窪みがある形状のため、耳によく密着します。装着感は結構良いのではないでしょうか。

装着イメージ

音質について

最初に結論から。

  • 緩やかなU字特性でフラットさが混ざったバランス
  • 暖色寄りで、丸みのある音色
  • 低域は重心が低め
  • 中域は厚め
  • アナログ的な温かさがある
  • 空間は広め
  • 高域に頼らず抜け良し

本作の旨味は「アナログ感・立体感・実像感・レイヤー形成」これがほとんどを占めます。音のバランスや音色という部分は、その旨味を成立させるためのパズルのピースのようなものです。
1DDをしっかりコントロールしつつ、温かさを残したまま楽器一つひとつの像を立て、中域に厚みを持たせ、全体の角も少し丸く、アナログな音色に。
ガラスのような透明感や鋭利さを最優先する方には物足りなく感じるかもしれませんが、生楽器の響きや、音がどこで鳴っているかまで含めて、生っぽさや実像感を楽しみたい方に向いたイヤホンだと思います。

周波数特性

実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB)
※8kHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域で、実際よりもピークが強めに出やすいことをご理解の上でご覧ください。

平均

LovEdiaQue COMET 周波数特性・平均
周波数特性・平均

左右

LovEdiaQue COMET 周波数特性・左右
周波数特性・左右

評価チャート

音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。

音の傾向
暖色
寒色
ウェット
ドライ
暗い
明るい
狭い
広い
低解像度
高解像度
繊細
迫力
モニター
リスニング
人工的
リアル
ゆったり
速い
ビルドクオリティ
残念
良い
費用対効果
残念
優秀
装着感
微妙
良い
付属品
最低限
充実・豪華

試聴環境

  • Lotoo PAW 6000
  • Lotoo PAW GOLD TOUCH
  • 付属イヤーピース
  • NICEHCK MixDNA

本作はケーブルが付属しません。
そのためレビューするにあたりケーブルにはNICEHCK MixDNAを使用しました。入手しやすく価格も手頃なモデルで、やや元気でわずかに明るい、銀メッキ線らしい音色を持っています。所有者が多く、音の傾向をイメージしやすいことから選定しました。

全体的な音色や特徴など

聴いた瞬間の第一印象は、「よく統制の取れた音だな!」でした。アナログ感強めで、明確に温かめの音。それに優れた立体感と音の像のリアリティのあるイヤホンだなと思いました。聴き応えバッチリ~。
少し重心低めのかなり緩やかなUカーブくらいのフラットっぽいニュアンスのある音で、全体として見た時の重心の偏りは特に感じませんね。全体的に、1DDをとても上手に制御した音だなと。
制御の良さだけでなく音のレスポンスも速めだけど全くドライではないですね。像同士の余白や帯域ごとの層も形成されているので、音同士が分離しつつ調和して鳴るのが素晴らしい所。

音像にはリアリティがあり、楽器の生っぽい響きや立体感、ダイナミクスも豊かで伝わる鳴り方です。バランスも非常に優れています。分離感も良く、解像度の高さもハッキリ感じられるのに、無理に作った感じはありません。

低音は押し出さずにレイヤー上では一歩下がった位置でグルーヴィーに弾力を持って鳴り、ボーカルは楽器よりも自然に一歩前に出て、伴奏はボーカルと分離して左右にも振られつつ、その中で楽器同士の像に余白がある。
あくまで私の感覚でしかありませんが、イヤホンの音作りのお手本のような鳴り方をしているのが、本作の素晴らしいポイントです。

低音域

低域は質感がとても良く、立体感があり、タイトかつ弾力と温かみを持ち粒立ちも良好です。中低音のブリブリっとした像は非常に丁寧で軽快なのに、重心は低めという良いとこ取りができています。

中低音は存在感がありながら、本作はコンパクトにまとまっていて、低音の像がちゃんと低い位置で鳴っています。
低音は少し近めに聞こえることがありますが、レイヤー上では下がった位置に落ち着いています。前述の通り支配的にはならず、ちゃんと足元に近い位置にで鳴ってるのは凄く良いチューニングだなと。ボーカルに被る様子も無いのでやはり制御の良さが…(笑)

輪郭は像も線もクッキリしていますが、シャープさは控えめで弾むような、やや固めの弾力を持った輪郭です。
低音の層がちゃんと見え、像として捉えられるほどの解像度の高さがあります。
キックとベースラインの分離も非常に良く、グルーヴ感があって、曲に適度な推進力を与えてくれる鳴り方です。

中音域

どの楽器もニュートラルで丁寧な鳴り方ですが、引っ込むことは無く適切なダイナミクスを持って生っぽく鳴る。これが中音域もほとんどを占める印象です。ピアノも鍵盤のタッチや響板の反射や筐体に響く胴鳴りもアナログ的にしっかり聴かせてくれます。ギターやバイオリンなども適度にハリがあって、ニュートラルすぎることもなく少し中高音に差し掛かるあたりで、少しシャープに明瞭に鳴ってくれるのが良いアクセントになっていますね。

ボーカル

ボーカルはしっかり像がセンターに定位していて余計な横への広がりもなく安定した定位で鳴ってくれるのが特徴だと思いました。男女ボーカル共に程よい温度感とリアリティ、ブレス表現や力強さ、繊細さを平均的に高い水準で丁寧に描く印象。男女での表現力や特徴の違いはそれほど感じませんでした。
モニターイヤホンでよく見られる傾向のような癖のない表現をしてくれますね。…まぁモニターイヤホンの鳴り方の定義とは?みたいな所はあるかもしれませんがニュアンスでご理解頂けたらなぁと思っています(笑)

高音域

高音域は落ち着きがあり、自然な減衰が伴います。マルチドライバー機に比べると明らかに減衰していますが、高域は精度の高さを感じる音です。線が細くなりすぎて薄っぺらく聴こえることがなく、余計な響きもありません。音の消え際にも違和感がなくリアル寄りの量感です。DLC振動板で出やすいという耳障りな帯域も、「封止端スタブ」の効果か試聴中に気になる場面はありませんでした。

癖のない素直な高域なので、明るさや伸びの好みはお手持ちのイヤーピースで微調整してみてほしいです。

音場・空間表現

空間も自然に広さを感じさせる鳴り方。基礎性能的な部分で十分な広さもありつつも、レイヤーがしっかりしているので、より自然な誇張のない広さとして感じられます。
暖色系でやや丸みがありますが、高域のエアー感に頼らずに抜けが良く、空間に壁を感じないのがポイントですね。結構新感覚かも。

ダイナミクス

ダイナミクスは大きめで、静かな場面と盛り上がる場面の落差は大きめですがオーバーシュートする感じがありません。開発時に音圧全体を下げてしまう調整を避けたという話を聞くと、この振れ幅にも納得。

また大きめのダイナミクスと優秀な立体感、実像感や低域に解像度を感じやすい部分も合わさり、パーカッション系の楽器の音が非常にリアルかつリズミカルで心地が良いです。

その他

映画ウィッシュの楽曲「無礼者たち」や台湾のグループCicadaの楽曲、高木正勝さんの「Marginalia」、久石譲さんのアルバム「Melodyphony」あたりを聞いてみると立体感や帯域ごとの層、音作りや設計の上手さが大変参考になるのではと思います。奥行きの作り方や帯域ごとの距離感や楽器同士の配置などに丁寧さを感じられることでしょう。

また、弱点というか好みの問題かもしれませんが、アナログ感を強く感じさせるような中音域が厚めの鳴り方をしますし、全体的に少し丸みのある音です。そのため、ガラスのような透明度や繊細さ、刃物のような鋭利さをを追求する方には正直向かないと思います。そこはハッキリ申し上げておきたいと思います。

長所と短所

長所

  • 音像に実在感があり、立体的に浮かび上がる
  • キックとベースの分離が良く、グルーヴ感良し
  • 分離良好、楽器同士の像に余白があり。
  • パーカッションの描写がミドルクラス以上かも

短所

  • ケーブルが付属しない
  • 付属品が最低限
  • 透明度や鋭さを求める方には不向き

キャラクターが立ってるのであまり短所が思いつかない件について。

短所の2点目は好みの問題でもありますが、透明度の高さや切れ味の鋭さを第一に求めるなら、明確に合わないと思います。あくまで本作の旨味は「アナログ感・立体感・実像感・レイヤー形成」にあると思います。

総評と感想

前作GRANITEは今作と異なりダイナミクスは比較的抑えめで温かさと聴き心地や滑らかさに振った製品でしたが、COMETはその温かさを受け継いだうえで、音の配置や像の立体感・実像感に踏み込んだ音作りのモデルだと感じました。

振動板をDLCに変更し解像度を引き上げ、そこで生まれる耳障りな成分を「封止端スタブ」で処理し、ノズルで像を作り込む。
そんな開発の話を聞いてから改めて聴き直すと、その一つひとつがちゃんと音に表れているのが分かって、なかなか面白い体験でしたね(゚∀゚) 

付属品が最低限でケーブルすら付属しない、割り切ったパッケージですが、17,300円という価格を考えると、個人的には十分以上の内容なのかなと。
ブランドとしてはまだ2作目。それでこの完成度なので、次にどんなモデルが出てくるのか気になりますね。

こんな人におすすめかも。

  • 映画のサウンドトラックや、生楽器が中心の音楽をよく聴く方
  • 楽器の配置や奥行きまで味わいたい方
  • 派手な味付けより、全体の整い方を重視する方
  • 2万円以下で、完成度の高い1DDを探している方

ジャンルを強く選ぶタイプではありませんが、楽器の音をじっくり聴ける楽曲ほど旨味を味わえるイヤホンだと思いました。

レビューは以上となります。ここまでお読み頂きありがとうございました。

購入先

COMETの販売方法と具体的な発売日は、記事執筆時点ではまだ発表されていません。現在公表されているのは、発売時期が2026年10月下旬〜11月上旬の予定であること、価格が17,300円であることの2点です。

生産数は月45台程度を予定しているとのことで、一度に多くの数が出回る製品ではありません。
前作GRANITEは、公式Xでの告知を経て限定数を先着順で受け付ける形で販売され、受付開始当日に定員に達しました。

COMETの販売方法や受付開始のタイミングも、公式Xで案内される見込みです。購入を検討している方は、LovEdiaQue公式X(@LovEdiaQue)をフォローして続報を待つのが確実です。

なお、本製品にケーブルは付属しませんので、2Pin対応のケーブルを別途ご用意ください。

LovEdiaQue 公式X:https://x.com/LovEdiaQue

筆者に質問コーナー

mondにて匿名の質問を受け付けております、興味があれば是非質問してみてください!

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この記事を書いた人

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積極的にオーディオ製品やガジェットなどもレビューしています。

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