こんにちは、今回はKiwi Earsブランドの最新DAC、「Kiwi Ears Allegro Pro」レビューとなります。
Kiwi Earsといえば遊び心とコストパフォーマンスに優れたイヤホン/ヘッドホンで知られている印象があるブランドですが、「Kiwi Ears Allegro Pro」は同社のAllegroシリーズの最新モデルとして新登場した製品です。
デュアルES9603オペアンプを搭載し、以前に発売されたAllegroシリーズの中でも最も高価なモデル。
はたして、その実力はどうなのか詳しく見ていきましょう。

製品概要

Kiwi Ears Allegro Proは、従来のAllegro Miniを大きく進化させたアップグレードモデルで、性能、駆動力、オーディオ効果、互換性が格段に向上しています。
先進的なコンポーネントと最適化された設計を取り入れることで、力強い駆動力、豊かなサウンドエフェクト、そして幅広いデバイスとの高い互換性を実現しました。
デュアルES9603オペアンプを搭載した完全バランス出力対応のDACを採用しており、高インピーダンスのヘッドホンでも歪みのないクリアなサウンドと十分な駆動力を提供します。また、スマートフォンやゲーム機などさまざまなデバイスに接続するだけで、すぐに高品質なサウンドを楽しめます。
本体下部のボタンでモードを切り替えれば、デフォルトに加えてゲーム、映画、音楽の3つのサウンドモードが選べ、それぞれに連動するRGBライティングが視覚的な楽しさをプラスしてくれます。コンパクトで軽量なデザインは持ち運びに最適で、どこにいても手軽に優れたオーディオ体験を楽しめるでしょう。
製品コンセプト
- 優れたオーディオ性能
- デュアルオペアンプ搭載
- 4.4mmバランス出力による圧倒的な音質
- カスタマイズ可能なサウンドモードとRGBライティングエフェクト
- ワンクリックでNintendo Switchに対応
- 洗練されたコンパクトな設計
2つの独立したオペアンプ
Allegro Proは、2つの独立したES9603オペアンプを搭載しており、より強力な駆動力を発揮します。これにより、高インピーダンスのヘッドフォンやその他のオーディオデバイスを容易に駆動し、クリアで歪みのない音質を実現します。日常使用から高負荷環境まで、向上したオーディオパフォーマンスを提供します

3つのプリセットサウンドモードとライティングエフェクト
Allegro Proには、ゲームモード、ムービーモード、ミュージックモードという3つのプリセットサウンドモードが搭載されており、それぞれの場面に合わせた音響特性に調節されています。
それぞれのモードには独自のライティングエフェクトが備わっており、さまざまな使用シーンにおいて没入感と体験を高めてくれます。RGBライティングエフェクトは各サウンドモードに対応しており、視覚的な楽しさを加えたデザインで、オーディオパフォーマンスを一層引き立てます。
無点灯:デフォルト
⻘:ゲームモード
⾚:ミュージックモード
緑:ムービーモード

各モード、”微妙な違い“程度で、明らかに変わる!と言えるほどの差はありませんでした。 ミュージックモードは僅かに音に深みと広さが増したような…
仕様について
オペアンプ | ES9603×2 基 |
---|---|
入力インターフェイス | USB タイプ C |
出力インターフェイス | 3.5mm シングルエンド出力 4.4mm バランス出力 |
対応フォーマット | PCM (最大 32bit/384kHz) DSD (最大 DSD128) |
最大出力 | 68mW @ 32 Ohms (3.5mm シングルエンド) 170mW @ 32 Ohms (4.4mm バランス) |
THD+N | < 0.006% (@32Ω) |
周波数特性 | 20Hz – 40kHz |
SN 比 | ≥113dB (@32 Ohms, A ウェイト) |
インジケーターLED | 無点灯:デフォルトモード ⻘:ゲームモード ⾚:ミュージックモード 緑:ムービーモード |
外観など
パッケージ
爽やかな青いパッケージ。Allegro Miniの簡素なパッケージに比べると、しっかりした箱でスポンジが詰まっていて、本体と同じ形状の窪みにスッポリ収まることで、本体が衝撃から守られている様相です。




本体
前作のAllegro Miniを踏襲したデザイン。しかし僅かにサイズがアップした程度に留まっており、使用感の変化はほとんどありません。色合いがシルバーからガンメタな少し暗いカラーリングに変更され、上位機種らしい重厚感のある佇まいに仕上がっています。








大きさの比較
前作のAllegro Miniと比較しても大きさは僅かな違いで、数ミリ程度に厚みと幅が大きくなった程度です。




Allegro Proは本体が金属製で出来ていますが、前作は下部が樹脂製とそれぞれ異なり、コストのかけ方に違いがあるようです。
前作のAllegro Miniも質感そのものは悪くありませんでしたが、Allegro Proという名になるだけの正当な進化・格の違いを感じます(笑)
音質の評価
箇条書きで、本製品から得られた印象を書き上げると以下のような印象です。
- 明瞭感やアタック感の強いサウンド
- 立体感と余韻の良さが一級品
- 中高音に適度な力強さを!
- ややウォーム感と弾む中低音
- コンパクト!
- 値段を考慮すると音質の満足度はかなり高い
聞いてみた感想
正直、想像よりも遙かに良かったです(^_^;) ただ気になる所はいくつかありましたので長所と短所をご紹介するセクションで後述したいと思います。
前作のAllegro Miniに比べると、一回りではなく三周りくらい上級的な音質の良さを感じます。これは正直本当に驚きました。
音の出方としては、全体的に少し弾むようにエネルギッシュ感を感じる出音で、明瞭感高い音色です。解像度は結構高い方だと感じます。
解像度お化けと呼ばれるような6~7万円超のドングルDACには全く及びませんが、必要十分な解像度があります。少なくとも1万円クラスのDACとしては十分以上な解像度です。
エネルギッシュで明瞭感高いサウンドが相まって、Allegro Proは解像度よりも音像の立体感や分離感に優れている印象が強く、音の一つ一つが弾むような様子でアタック感がやや強めに耳に届くような所に魅力を強く感じます。
そして、生き生きした立体感や奥行きを感じるような音色の裏に僅かなウォーム感が感じられ、男性&女性共にボーカル表現に吐息感・生感、湿度感というエッセンスを添えてくれるような感じで視聴していると、どこかアナログチックなニュアンスを感じます。さらに儚く消えていくような余韻のある表現が一級品です。
各音域としては、低音と中高音がやや強め…?でもその絶妙に質量感の多い所がエネルギッシュ感、立体感に繋がっているのかもしれませんね。
端的に言えば、アナログチックな味わいと分離の良い明瞭感溢れるサウンドを味わえるリスニング系のチューニングが成されたドングルDACだと思います。
低音域
少し量感が豊かな印象があり、その豊かさや僅かな膨らみを弾力を持って制するような引き締まり方です。低音という特性上、本来は立体感を感じにくい音域なのですが、Allegro Proで視聴するとまるでゴムボールのような強い輪郭と弾力があるような立体感を感じます。
…ゴムボールも以外に上手い例えが見つかりませんでした(笑)
中音域
中音域に関しては全体的にやや強めに主張してきますが、透明感や見通しに優れる音でギターやバイオリンなどの主旋律を担当するような楽器が一歩前に出て聞こえます。音像の輪郭を強く感じられるので、好きな人は一瞬で「好き!」と感じられるはずですし、ニュートラル/フラットな音色を好む人にとってはやや誇張が気になると感じるかもしれません。
ボーカル帯域
男性・女性ボーカルのどちらもやや距離感近めで明瞭感高い音色で耳に届きますが、どちらかといえば女性ボーカルの方がより美しく艶っぽく聞こえるのではないか?と思います。
透き通るような天に抜ける透明感とブレスや息遣いを感じるのは女性ボーカルの方でした。個人的にはボーカル用DACなのでは?と思ったほどです。
高音域
高音域は自然で低音と中音域の明瞭感に自然に追従しているような音で、レンジは十分の広さでしょう。刺さりや誇張もなく良いチューニングだと思います。
良い意味で特徴が無いと言った方が適切なのかなと思いました。価格を考慮すると言及出来ることば無いというのは素晴らしいことだと思います。
とはいえ、5000円未満の安いDACやノーブランド品からの交換だとすれば、驚くほど明瞭感高いレンジの広いリスニングサウンドで飛び上がるくらい驚くと思います。
Amazonでざっくり言うと1万円ぴったりくらいですが、この明瞭感と分離感の高いサウンドは1万円の音とは思えないですね…(;´∀`)
解像度と分離感
1万円という価格帯ですが、同価格帯と比較すると非常に高く明瞭感高いです。複雑な楽曲でも楽器の分離が良く、混濁感が全く有りません。ハイレゾ音源との相性も良好で、微細な音のテクスチャーを味わうことが出来ます。
解像度だけでは語れない明瞭感・立体感・余韻が優秀な製品で、単純に音の特徴だけで比較出来ない魅力がありますよ~!
音場
端的に言えば並といった所でしょう。
価格的には仕方ないのかなと思える程度ではあります。
魅力に感じた点について
単純に解像度や各帯域の良さがアレコレというものではなく、Allegro Proを通して聞いた出音の特有の表現が魅力だなと。
何回か記述していますが、明瞭感・立体感・余韻・アナログチックな表現がとても優秀です。
もちろんコンパクトで使い勝手が良いのも利点ですね。
コストパフォーマンスについて
とても優れていると思います。
この価格でデュアルオペアンプ、完全バランス出力、3つのサウンドモードとかなり機能的にも詰め込んでいると思いますし、初めてDAC/AMPを購入する人も、ある程度再生環境が整った人でも値段を考慮すれば十分に満足出来ると思います。
機能面としてもNintendo Switchにも対応しているのも評価出来るポイントだと思います。
本体下部のサウンドモードボタンを押したままに挿入するだけでほんの数秒で認識され、使用可能な状態になります。Switch本体のボリュームに連動しますし、超手軽。ゲーム体験も内蔵の3.5mmジャックから出力されるものとは一線を画すような高音質でゲームを体験することが出来ます。


使用感について
Allegro Proは、前作のAllegro Miniとほぼ変わらない大きさで、携帯性は抜群で使い勝手も良いし、究極の利便性を求めたドングルDACだと思います。Allegro Miniと異なり、4.4mmジャックから出力されるものは疑似バランスではなく、完全バランス出力ですし、低価格品で完全バランス出力を体験出来る製品の一つにもなりましたね。


使用感のマイナス要素を申し上げれば、Allegro Miniと同様に音量調節の部分で課題があり、全体的に音量が大きく、能率の高いイヤホン(特にSHURE製品)などと組み合わせると、無音状態から1クリック上げた最小音量でも音楽鑑賞に十分な出力になってしまいます。静かに小音量で聞き流したい時にはかなり不便かもしれませんし、ホワイトノイズに敏感な方だと気になってしまうかもしれません。
逆を言えば、能率の低いイヤホン・ヘッドホンならストレス無く駆動出来る可能性を秘めています。
DAC本体側で音量変更することが出来ず、スマホ側に依存するのも一部のユーザーにとっては敬遠する要素かもしれません。
…ところで、楽曲の切り替えや無音と再生中の切り替え時に、一瞬ピキン!と高い高音が聞こえるのですが、これは私の個体だけなのでしょうか?小音量で楽曲の再生に影響は無いので問題はありませんが…?(^_^;)



そういえば、4.4mmプラグを初めて刺す時、やたらと固かった…!
でも、初回以降は普通にスムーズに挿入出来てます。
長所と短所
長所
- 明瞭感・立体感・余韻が優秀すぎる。
- 分離感がとても高い
- コンパクト
- タッチノイズが少ない
短所
- 音量が大きすぎる
- ホワイトノイズが能率高い製品との組み合わせで気になるかも。
- 楽曲再生時に、一瞬ピキンと謎の音が少し聞こえる。
音質や使い勝手という意味ではコストパフォーマンスに優れたものだと思いますし、解像度よりも分離感が良さが特に優秀音を混濁させないチューニングで、聞き心地の良い製品だなと思う反面、音量が大きすぎたり再生時やホワイトノイズが能率の高い製品との組み合わせで気になるかもしれないと思ったあたりが、長所と短所なのかなと思いました。
あとがき
Allegro Proのレビュー、いかがだったでしょうか。
価格以上の強い分離感と軽快でエネルギッシュなサウンド、超コンパクトなDACとは思えないサウンドでとても楽しい音楽体験でしたよ!
気になった方は是非各種リンクをチェックしてみてください。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
製品購入先リンク




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