今回ご紹介するのは、「ERAND RESONANCE 5」です。
2DD + 2BA + 1MPという片側5ドライバー構成のイヤホンなので、ちょっとリスニング志向強めの盛った音を期待したのですが…想像していた方向とはかなり違いました(笑)
淡々とした丁寧な鳴り方が妙に頭に残るイヤホンでしたが、早速執筆していきますね。

製品について
「ERAND RESONANCE 5」低域を担当する液体シリコーン振動板のダイナミックドライバーに加え、もう一基のダイナミックドライバー、中域用BA、高域用BA、そして超高域を受け持つマイクロ平面ドライバーを組み合わせた5ドライバー構成のイヤホンです。
音響面では5本の独立したチューブによる位相干渉抑制設計を採用しており、ドライバー間の位相ズレを抑えることを狙った構造になっているそうです。

仕様
| 構成 | 2DD + 2BA + 1MP (液体シリコーンDD + DD + ミッドBA + ハイBA + マイクロ平面) |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 10Hz – 35kHz |
| コネクター | 0.78mm 2Pin |
| 発売日 | 2026年6月 |
| 価格 | 約199ドル |

パッケージ
外箱は黒地に模様をあしらったデザイン。RESONANCE5のロゴは銀の箔押しというのが格好良いです。落ち着いた見た目ですが、上質で安っぽさはありません。

蓋を開けると、黒いスポンジの台座にケース・イヤホン本体・プラグが並んでいます。このレイアウトはハイエンドイヤホンの開封体験にも似ていてちょっとワクワクします。

付属品

- イヤホン本体 ×1ペア
- イヤーピース 4種類×3ペア
- ケーブル×1
- 交換式プラグ(3.5mm/4.4mm) ×1ペア
- ケース×1
- その他、説明書など
イヤホン本体
フェイスプレートは黒地に赤いラメを波紋または年輪状のラインが走るデザイン。写真だと赤が強く出ますが、実物は光の角度によって沈んだ暗赤色に見えたり、粒がぱっと立ったりして表情が変わります。

一般的なカスタムIEMライクな形状のイヤホンですが、有機的なフォルムで、耳へのフィット感に配慮した形状だとわかります。

ケーブル
ケーブルは青いの編み込みで所謂布系ケーブル。プラグはネジ式のモジュール式で3.5mmと4.4mmの両方が付属します。プラグ交換時には、ネジ部分のローレット加工のおかげで滑りづらく着脱もしやすかったです。

ケース
本革の裏地みたいなさらっとした質感の上品なネイビーカラーのケースが付属します。

装着イメージ
サイズは標準的な所で、耳に収まる部分の形状が優秀でサイズの割には負担無く耳にすっぽり収まります。結構装着感良くて装着していることを忘れそう(笑)

音質について
「ERAND RESONANCE 5」の特徴をいくつか書き出すと…
- モニター風味が少し乗る
- リスニングバランス
- 抑えの効いた丁寧な描写
- 誇張しない音場
- 音粒を俯瞰的に追える見通しの良さ
- 広いレンジ
誇張せず自然なバランスで俯瞰的に音粒を追えるような丁寧な描写のイヤホンですね!ちょっとモニター的な風味も。
周波数特性
実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB )
※8KHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域実際よりもピークが強めに出やすいことを理解の上でご覧ください。
平均値

左右差

評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
試聴環境
- Lotoo PAW 6000 (レビュー用リファレンスとして)
- Lotoo PAW GOLD TOUCH
- 付属イヤーピース
ショートインプレッション
「ERAND RESONANCE 5」をざっくり表現すると…
『メリハリ抑えめで丁寧な描写とバランスのちょっとだけモニター風味のリスニングイヤホン』だと思いました。
まず感じたのは、ダイナミクスを抑えた、モニター風味な鳴り方。全体的にレスポンスは早めでキレがあり、サブベース帯から空気感を描く超高音域まで、レンジそのものは相当広く取られているように思います。シャープに振り切ることはせず、抑えの効いた丁寧な描写でまとめてくるタイプで、モニターイヤホンだと物足りない、でも俯瞰的に輪郭を追える描写でかつリスニングバランスでもあってほしい。
そんなワガママな注文に答えてくれるような質感でした。
ガツンと来てほしい場面でわずかにエネルギー不足やパンチ物足りなさを感じることもありましたが、これは逆にモニター風味という意味では丁寧で正直な出音だと言えると思います。

モニター風味って連呼してるけど、ほんの少しそんな風味があるってだけだよ!!言い切るほどモニターモニターしてないよ!なんとなく風味だけね!
低音域
量感はバランスが取れていて、過不足の無い量感で制御されていて、空間を支配してくることがない。タイトすぎることもなければ、弾力感が強すぎることもない。ちょうど良い質感の鳴り方でとても好感が持てます。
サブベース帯は穏やかで、中低音をそっと下支えするような上手い制御をしています。そこまで存在感を感じさせないのに、確かにそこに居る。この加減が上手で、楽曲によって必要な分の重みを出し入れするような匠の技を感じます。
キレは良いのですが、パンチがあるようで微妙に抑えめ。ここで一発ほしい!という場面では少し物足りなさが出ます。ただこれを「弱い」と切り捨てるのは違うと思っていて、意図的に暴れさせていないタイプだと思いますね。
(´ェ`)ン-…丁度良い所をついてきたなぁ(褒め言葉)
中音域
質実剛健で、癖のない鳴り方をします。突出もしないし引っ込みもしない。コメントがしづらいくらい、良い意味で無味無臭でした。
楽器類はきちんと定位に収まり、それぞれの音がぶつかり合わないし、整頓された鳴り方と言えば良いのでしょうか。中高音付近もBAらしい安定性があり、変な色付けをしてこない。派手さを求めると肩透かしかもしれませんが、長時間聴いていて疲れないのはこの中域のおかげだと思います。なんだろうなぁ…ワガママ言えば言えるのでしょうけど、かといって必要十分すぎるというか。
いや、このコメントの出なさは優秀さの現れだと思います。
ボーカル
男性ボーカルは、低音域に支えられた力強さと丁寧さが共存したような安定感がありました。太らせすぎず、かといって痩せもしない。女性ボーカルも癖無く自然にブレスの表現まで丁寧に、淡々とストレートに鳴らしてくれます。
前傾はしないのですが、フォーカスは自然にボーカルへ向きます。楽器類や中低音の下支えに調和したレイヤー感があって、無理に持ち上げていないのに声がちゃんと聞こえる定位です。ああ、こんな自然な聴き心地も良いなと感じさせてくれました。
高音域
自然な減衰ではあるのですが、ギリギリまで伸ばすような緩やかな減衰の仕方をします。超高音域までよく再生してくれるので、空気感や余韻の描写も良いです。
マイクロ平面らしい繊細で細い鳴り方で、細かな音粒や降り注ぐような煌めきを強く感じられました。トゲや刺さりはありません。ただ、マイクロプラナーが少し頑張りすぎている場面があって、ややシャリ感が残ることがあります。
リアリティの高さを求めると、金属音の生々しい響きが砂のような粒子感のある音になりがちで、ここは好みが分かれるところかと思います。ポップスを効いていてもシンバルの響きがサラサラしていて少々不自然…?
シンバルの「パァ~ン!」が砂っぽく「スァ~ン」に聞こえる感じです。もし高域の質感にこだわりが強い方なら、イヤーピースや上流で高域を少し制御する方向で調整していく余地はあるはずです。
音場・空間表現
誇張しない自然な広さです。きれいな円を少し前方にシフトした、極めて一般的なイヤホンらしい形状と広さだと思いました。(一般の定義が難しいですが。)
モニター風味のイヤホンなので、奥行き方向の分かりやすい分離感はそこまで高くはありません。音を横に丁寧に整列させたような、粒一つ一つを追える表現です。包み込まれるような没入感とは方向が違いますが、何がどこで鳴っているかを把握したい聴き方には向いています。
解像度
素の情報量は、値段以上のものを感じましたが、ただその情報量を誇張せず、整然と淡々と鳴らしてくる。ここがこのイヤホンの性格をよく表していると思います。
音粒を俯瞰的に追えるので、細かいところまで拾えている実感はあります。ただ、背景がスッと真っ暗になるようなコントラストの高さは感じられませんでした。ここは素直に弱点だと思います。全体の完成度が高いだけに、あと一歩の暗さがあれば化けたのではないかなぁ…という気持ちは残りました。
でもこれは上流の問題なのかなと思いまして。
Lotoo PAW 6000で聴いていたときは、元々のニュートラルな音作りとモニター風味が良くも悪くも噛み合って、やや特徴の少ない音になりがちで少々背景が暗くなり切らない。
そこでリケーブルしたり上流を変えたりしてみると、素直に表情が変わります。ポテンシャルは結構高いと思いますので、組み合わせを探す楽しみがあるイヤホンではないでしょうか!?
長所と短所
長所
- 見通しの良さ
- 自然で整ったバランス
- レンジの広さ
- 価格以上の素の情報量
短所
- 奥行き方向の表現がやや浅い
- メリハリ・ダイナミクスが抑えめ
- マイクロ平面由来のシャリ感



いろいろ微調節しやすい良作。
総評と感想
「ERAND RESONANCE 5」は、5ドライバーという構成から想像される派手さとは正反対のところに着地したイヤホンでした。モニター的な鳴り方に似ていて、そこからほんの少しリスニング側へ寄せた、モニター風味の強い一台という位置づけになると思います。
聴いていて気持ちが良かったのは、情報量をきちんと持っているのにそれを誇示してこない所で、低域は支配せず、中域は無味無臭と言いたくなるほど癖がなく、高域は自然に減衰しながら超高音域まで伸びていく。それぞれが自分の担当を淡々とこなして、全体として音が整然と並ぶ。
一聴した後の派手な感動よりも、聴き終わったあとに「あ、良いイヤホンだったな」とじわじわ来るタイプです。
弱点もはっきりしています。奥行きの浅さとメリハリの抑えめな性格、そして背景が真っ暗にならないコントラストの物足りなさ。ここが埋まっていれば評価はもう一段上がったと思いますし、逆に言えばそれ以外に大きな穴が見当たらない完成度でもあります。
そして何より、上流の音作りをありのまま出してくる素直さが面白い!。素性が良いので組み合わせる機材やケーブルの色がそのまま乗ってきます。もし手元に何本かDAPやケーブルをお持ちなら、このイヤホンは色々試して遊べる素材として、かなり良い買い物になるのではないでしょうか。
買って終わりではなく、そこから調節したり育てていける製品だと思います。
こんな人におすすめ
- モニター的な見通しの良さは欲しいけれど、味気なさすぎるのは避けたい方
- 音の粒を一つずつ俯瞰的に追いながら聴きたい方
- 派手さより完成度の高さを重視する方



めっちゃじわじわ系イヤホンかもしれない。私はかなり出来が良いと思った。
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