こんにちは、Trefle Labのとれふるです。
今回レビューするのは、オーディオブランドKEFINEの新製品である有線イヤホン「KEFINE Quatio」です。
KEFINEとしては珍しいハイブリッド構成のイヤホンで、力強い低域とクリアな中高域を持ち味としたサウンドが特徴だとか…
さぁ!レビューを通して確認していきますよ(^o^)ノ

製品について
KEFINE Quatioは、同社がこれまで手掛けてきたシングルドライバー機(例:KleanやDelciシリーズ)とは異なるハイブリット構成の製品です。
10mm径と8mm径の2つのダイナミックドライバー(DLC振動板およびPU+LCP振動板)に加え、高音域用に2基のBAドライバーを搭載しています。
暖かみがありつつ音の分離に優れたサウンドを狙ったとのこと。クアッドドライバー=“Quatio”の名が示す通り、4基のドライバーで信頼性の高いサウンドを手頃な価格で提供しているようですね。
仕様について
構成 | 2DD+8BA |
---|---|
再生周波数帯域 | 20Hz〜20kHz |
感度 | 107 dB/Vrms |
インピーダンス | 32Ω |
ケーブルプラグ | 3.5mm / 4.4mmプラグ 交換式 |
ケーブルコネクタ | 0.78mm 2Pin |

パッケージ外観と付属品について
パッケージ
KEFINE Quatioのパッケージは価格帯相応のコンパクトでシンプルなデザインです。外箱には製品名とブランドロゴが控えめにあしらわれ、派手さはありませんがわかりやすいですね。

箱を開けても無難で実用的な開封体験で、特に特筆点もなく『THE・普通』といった印象があります。
付属品
付属品は以下の画像のようなものが同封されています。

- KEFINE Quatio本体
- イヤーピース4種類 (S/M/L)
- ケーブル
- 交換式プラグ(3.5mm / 4.4mmプラグ)
- キャリングポーチ
- 説明書など
- 交換用ノズル(本体に装着中のもの合わせて3種類1ペアずつ)
本体
イヤホン本体はマットブラック仕上げのアルミニウム合金製の筐体です。筐体は非常に堅牢かつ軽量で、手に取るとひんやりとした金属の質感と軽さが伝わってきます。
フェイスプレート部分には控えめに「KEFINE」のブランドロゴが刻印、無駄の無いシンプルデザインにまとめられています。4ドライバーの搭載とのことですが、構成の割にはやや大きめの筺体です。
ただし装着感は悪くありませんね。派手さは無い外観でシンプルにまとまった分ビルドクオリティと仕上げの丁寧さがは良さそうな印象。

ノズル先端はねじ込み式で、簡単に付け替え可能です。ノズル径は一般的なイヤーピースが装着できるサイズで、付属チップ以外の市販イヤーピースとも互換性があります。シェルには小さな空気孔(ベンチレーションホール)も設けられており、気圧調整による耳への圧迫感低減や低域制御にも配慮した設計となっています。

背面は以下のような感じ。筐体は大きめではありますが、ノズルが突き出ているデザインなので、さほど装着感に難がありません。

付属ケーブル
4芯編組の高純度銀メッキOFC(無酸素銅)ケーブルです。落ち着いたブロンズ~グレー調のカラーの被覆で柔軟性もほどほどにあり、手触りもしなやか。取り回してもクセが付きにくく、タッチノイズも気になりません。


着脱式のモジュラー端子を採用しているため、同梱の3.5mmシングルエンドプラグと4.4mmバランスプラグを使い分け可能です。
イヤーピース
イヤーピースは白と黒でそれぞれ2種類ずつ、形状や素材感が異なるものが付属します。

4種類を並べると以下の画像のような感じ。

左から2番目の白いイヤーピースだけ液体シリコンに近いようなペタペタとした素材感を感じます。
交換用ノズル
KEFINE Quatioには、ユーザーの好みに応じて音の変化を楽しめる交換式ノズルが3種類付属しています。

- シルバーノズルは、本機の標準とされるノズル。
- ブラックノズルは、やや高音や柔らかく抑えられたような音色で相対的に低音が強化されたような印象があります。
- ゴールドノズルは、ゴールドはよりストレートに高音が耳に届くようになる印象があり音色が少し明るくなる印象があります。高音の量感が増えるのだと思います。
それぞれのノズルはわずかな違いではありますが確かな音の変化をもたらしてくれます。好みや聴くジャンルに応じて音色を細やかに調整できるので是非活用頂きたいです。
音質について
KEFINE Quatioの特徴を簡単に表すならば…
「明瞭で粒立ちの良い中高域と、落ち着いたナチュラルUカーブなイヤホン」といった感じですね。
弱ドンシャリ系かと思いきや、ナチュラルなUカーブといった印象で耳に刺さったり騒がしい印象がなく、全体的に落ち着いたトーンの音で、ボーカルがかなり明瞭でバックミュージックがボーカルからハッキリ1歩くらい下がってボーカルを中心に楽器が取り囲むように鳴るのが特徴ですね。分離感がとても良いです。
聴覚上の音のバランスのグラフは以下の通りです。
※聴覚上のイメージで、計測データを元にしたものではありません。

音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
視聴環境
- Fiio M17(DC給電:スーパーハイゲイン)
- 付属のイヤーピース
- 付属のケーブル
- チューニングスイッチ
音色
音作り的には楽しいタイプの音作りでしょうかね。KEFINE Quatioのチューニングは全体的にウォームでリッチな傾向で、量感のある低音を軸に中音域の濃さがあり、そして高音は刺さりを抑えて滑らかにまとめられています。いわゆる寒色系だったりドンシャリ型というよりは、聴覚上は低音域を厚めに強調したニュートラル寄りのサウンドだと思いましたね。
KEFINE自身も「暖かく豊かで音楽的なサウンド」を目指している旨を述べているのですが、私が聞いた印象と音が一致しています。
ゴールドノズルに交換すると高域に輝きが加わり全体がややV字型の軽快でノリの良いサウンドになります。一方ブラックノズルでは低音の厚みがさらに増し、まろやかで聴き疲れしない音になります。

私の好みは標準のノズルかな~
低音域
KEFINE Quatioの低音域は、全体のサウンドをウォームにまとめ上げる要となっています。量感はたっぷりとありながらも、全体のバランスに配慮されたチューニングが施されており、過度に主張することなく、土台としてしっかり機能している印象です。
重厚感のあるキックや、厚みのあるベースは、ただ響くだけでなく体の内側に広がっていくような立体感を伴って鳴ってくれます。面白いのはその鳴り方で、ウォームで膨らみのある音ながらも、アタックにはしっかりとしたキレがあり、音がぼやけないという点です。一見相反する要素が同居しているのが不思議です。
中音域
KEFINE Quatioの音作りにおいて特に印象的だったのは、豊かで安定感のある低域が中音域をしっかりと下支えしていることです。そのおかげで、男性ボーカルには厚みとコクが感じられ、実体感のある声として明瞭に浮かび上がります。耳あたりも滑らかで、心地よい聴き応えがあります。
また、ギターやピアノ、ボーカルなど中音域を担う要素は全体的に解像度が高く、背景の楽器としっかり分離して聴こえるのが特徴です。音像が前後に深く展開していく印象があり、左右の広がりに加えて奥行き方向への分離感も秀逸です。音の定位も明確で、まるでステージ上の配置をそのまま再現しているかのような、臨場感あるリスニング体験が得られます。
高音域
高音域は、全体として穏やかで耳に優しいチューニングがなされています。中高音付近にかけてはやや持ち上げたようなバランスで、ボーカルの明瞭さや、弦・打楽器のアタック感、音の粒立ちが丁寧に描かれます。一方で、エッジが立ちすぎることはなく、まるで音にシルクのヴェールを一枚かけたかのような柔らかさがあり、いわゆる「刺さり」はほとんど感じません。
「シルクを被せた」と聞くと、こもったような印象を抱かれるかもしれませんが、実際には細部の情報量を損なうことなく、耳に自然になじむ形で高域を緩やかに減衰させているような感触です。音の繊細さや透明感はしっかりと保たれていますが、減衰ポイントがやや早めに設計されているため、近年のシャープな高域を好む方にとっては、やや大人しく感じられるかもしれません。
それでも、長時間リスニングにおける疲れにくさや、柔らかく包み込むような高域表現は、本機の持ち味として高く評価できるポイントだと思います。
解像度
本製品は、いわゆる解像度の高さを前面に打ち出すタイプではないかもしれません。しかしながら、解像感よりも定位や音の分離感の良さが際立って感じられるモデルです。
解像度そのものは価格相応といった印象を受けましたが、音のスケール感は豊かで、音場の奥行き方向への展開や楽器ごとの位置関係の描写には優れたものがあります。特に、左右だけでなく前後方向への広がりを伴った音の配置が自然で、耳の周囲に音像が浮かぶような立体的なリスニング体験が得られます。
派手さや鋭さで魅せるタイプではなく、丁寧に音を描き分けていくようなタイプと言えるでしょう。定位と分離の表現力に重きを置く方にとっては良いかもしれません。
ボーカル
KEFINE Quatioのボーカル表現は、全体の中でしっかりと前に出てくる印象があり、声の輪郭が明確に描かれています。楽器の音がやや背景に引いた位置に配置されているため、ボーカルが浮き立つように感じられ、耳に自然と入ってくる聞き取りやすさがあります。
男性ボーカルは、中低域の豊かさによって厚みとコクが加わり、芯の通った深みのある声質が魅力的に表現されます。一方で女性ボーカルは、芯のある透明感に加えて、繊細な空気感をまとったような表現が印象的で、優しさと強さを両立させたニュアンスが感じられます。
全体として、ボーカルにフォーカスしたいリスナーにとって非常に聴きやすく、かつ楽曲の感情を豊かに伝えてくれる、バランスの取れた仕上がりだと思います。
音場
KEFINE Quatioの音場は、前後方向の描写に優れた立体感を持っています。特に楽器系の音が全体的にやや一歩引いた位置に定位しており、そのぶんボーカルがしっかりと前に出る構造になっています。この配置バランスにより、楽曲ごとの音の距離感が前後にダイナミックに描き分けられ、まるでステージを正面から眺めているような自然な空間表現が楽しめます。
左右方向の広がりも十分で、各パートが適切な距離感を保ちながら配置されており、混雑感のない整理された音場が印象的です。ただ、強いて挙げるとすれば、低音域の定位がやや甘く感じられる場面もあり、ベースやキックが甘めに広がるような鳴り方をする傾向が見られました。
とはいえ、全体の空間構築力は価格帯以上の仕上がりで、没入感のある音場演出が楽しめます。
聞いてみた感想
この製品は、スケール感やダイナミックさの表現がとても巧みで、ただ音を鳴らすのではなく、空間ごと音楽を描き出してくれるような楽しさがあります。それでいて聴き心地も柔らかく、長時間のリスニングでも心地よく付き合えるのが大きな魅力です。
音の表現の仕方にはどこか独特な個性があり、既存のイヤホンとは少し違ったアプローチを感じさせる部分もあります。そのため、イヤホンの表現力に新鮮さを求めている方にも一聴の価値がある製品だと思います。
さらに、ノズル交換による音の調整も可能で、自分の好みに寄せて楽しめる自由度の高さもポイントです。気になっている方は、ぜひ一度試してみていただきたいですね。(^o^)ノ
装着感について
KEFINE Quatioはやや大きめの筐体を採用していますが、ノズル部分が前方にしっかりと突き出している設計になっているため、耳道への挿入自体に違和感は少なく、装着は比較的スムーズに行えます。
ただし、厳密に言えば人間工学的に耳に沿うような立体形状ではないため、すべての耳に対してフィット感が高いとは言い切れません。個人差はありますが、装着後の安定性にやや不安を感じる方もいるかもしれません。


とはいえ、大きな圧迫感や痛みを伴うような違和感は少なく、概ね快適な使用感が得られるかと思います。
長所と短所
長所
- 明瞭な中高域と自然なボーカル表現
- 前後左右の定位が明確な音場表現
- 厚みのある低音
- ノズル交換によるカスタマイズ
短所
- 筐体サイズがやや大きめ
- 高音域がやや控えめ
- 低域の定位がわずかに甘め



低域の甘さは意図的なものなような気がしてきた。
まとめ
KEFINE Quatioは、明瞭な中高域と立体的な音場表現、そしてノズル交換による柔軟なチューニング性を備えた、バランスに優れた有線イヤホンです。
解像度をひたすら追求した製品とは少し違いますが、定位や分離の巧みさ、そして楽曲のスケール感を豊かに再現する表現力は、この価格帯でも十分に魅力的です。
万人向けではないかもしれませんが、「少し違う音の世界に触れてみたい」「自分好みに音を調整しながら楽しみたい」と思っている方には、ぜひ一度試してみてほしい一本でした。


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