今回ご紹介するのは、「GEEKWOLD GK12 Ultra」です。
いつもは音を軸に淡々と書いていくのですが、今回は少し切り口を変えてみます。というのもこのイヤホン、真面目な言葉で説明しようとすればするほど、本質から離れていく気がしたからですwwww
最初にもう例えてしまいましょう。カップラーメンみたいなイヤホンです。ジャンキーで分かりやすい味付けがされていて、そこに遊び心がある。褒めているのか一瞬迷う表現ですが、これは褒めていますwww

2DD + 2PZT + 1BA + 1Planarという、数えるのが面倒になってくる構成を8千円台に詰め込んできた製品。普段なら「パッケージや付属品より音を優先するのがイヤホンだよね」と書きたいところですが、こいつはちょっと違う方向に振り切っています(笑)w
製品について
「GEEKWOLD GK12 Ultra」は、片側6基のドライバーを搭載したハイブリッド型のイヤホンです。
構成はダイナミックドライバー2基、PZT(圧電)ドライバー2基、バランスド・アーマチュアドライバー1基、そして平面駆動ドライバー1基という1万円未満ではなかなかお見かけ出来ない構成の製品です。
仕様
| 構成 | 2DD + 2PZT + 1BA + 1Planar(片側6基) (ダイナミックドライバー2基、PZT(圧電)ドライバー2基、バランスド・アーマチュアドライバー1基、平面駆動ドライバー1基) |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 20Hz – 40kHz |
| コネクター | 0.78mm 2Pin |
| 発売日 | 2026年7月 |
| 価格 | 約55ドル |

パッケージ
はい。これパッケージ外観です。透明の保護シートだけ撮影の為に外しましたがこれがパッケージです。
外箱とか外筒みたいなものはありません!(笑)

パッケージはかなり簡素で、装飾らしい装飾はありません。3000円くらいのイヤホンでもパッケージらしいパッケージが用意されるのが普通ですが…w
付属品

- イヤホン本体 ×1ペア
- イヤーピース 4種類×3ペア
- ケーブル×1
- 交換式プラグ(3.5mm/4.4mm) ×1ペア
- ケース×1
- その他、説明書など
イヤホン本体
フェイスプレートはスタビライズドウッドを貼り付けたようなデザイン。
ハート型の筐体ですがどこかで見覚えが…前作のGK80と同じ? そしてとても軽くて樹脂がチープな感じ。
でもこれがGEEKWORLDらしさでもありますね(笑)
おもちゃかと思うくらいチープで軽いです。正直に言っておきますw

装着面はボウル型、ノズルがにょんと飛び出る形状。

ケーブル
付属ケーブルは4芯の銀メッキ。取り回しは柔らかめですが値段なりという所の質感。金具はアルミ系のシンプルなもので、価格を考えれば十分かなと。

イヤーピース
付属するイヤーピースは色付きのものが結構良い質感で装着感も良かったので個人的にはオススメですね。

装着イメージ
装着感はイヤーピースだけで支えるようなタイプ。ハウジングは耳に乗ってるような感覚で、耳甲介腔にすっぽり入るタイプではありません。その為…装着感は並か微妙という所です。

音質について
「GEEKWOLD GK12 Ultra」の特徴をいくつか書き出すと…
- 深い低域まで出るW型バランス
- ジャンキーで分かりやすい味付け
- 響きで聴かせる太い低音
- 誇張しない音場
- 意外にも滑らかな高域
- 狭いが濃い空間表現
マジでインスタントラーメンとかカップ麺のように分かりやすく低音ボオオン!ボーカル距離感近ッ!あっ…でもなんか良いなボーカル…そして高域シャラシャラ~!な分かりやすい味付けが魅力ですw
周波数特性
実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB )
※8KHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域実際よりもピークが強めに出やすいことを理解の上でご覧ください。
平均値

左右差

評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
試聴環境
- Lotoo PAW 6000 (レビュー用リファレンスとして)
- Lotoo PAW GOLD TOUCH
- 付属イヤーピース
ショートインプレッション
「GEEKWOLD GK12 Ultra」の結論をざっくり先に申し上げれば…
『雰囲気とか勢いとか厚みを楽しませるタイプでジャンキー!』食べ物で例えるならカップ麺ですね!
もしくは…開発者が酒に酔った勢いで作ったイヤホンって感じ。
全体としては重低音がやや主張気味なたっぷりのウォームな低音が前に出てくるタイプのW型で、正直少し籠もってると感じる場面も無くはないのですが、意外と破綻がなくよくまとまっています。
ドライバーを詰め込んだ製品にありがちな、帯域ごとに音がバラバラになったり、ギラギラとかモコモコ、ジャキジャキ…みたいな荒い感じはあまりなく、全体的に暖色傾向にカドを取った質感にまとまってるのがポイント。コントラバスやチェロの響き、中低音から中高音あたりの温かみ、そして中高音の明瞭度の高さが噛み合って、意外と…意外と?生っぽい音がします。
想像していたドライで平面的でサッパリした音色とは正反対でした。パンチもあるし滑らかさもあるし、コクのある低音も出る。ベースがウォームに鳴るので、意外と聴き心地が良いし立体感もある。分かりやすい解像”感”があるタイプですが、温かみが残る方向に着地していて高音域も暴れてない。これが最初に言った通りのジャンキー!なサウンドだと思います(笑)

チープな筐体にあえて響かせているような低音のウネリがだんだん癖になってくると思う。たぶん(笑)
低音域
正直に言うと、籠るというか、なんか響いてる感じです。タイトに締まった低音とは真逆で、ボオンと丸く広がります(笑)
これを聴いていて思い出したのが、15年ちょっと前の国産ブランドの低音特化型イヤホンでした。あのころの製品ってこういう響いた太い低音を出していましたよね…!?懐かしさすら感じます。
量感はかなりのもので、低音が頭を支配して揺さぶられるような感覚がありました。骨伝導ドライバーでも入っているのかと思ったくらいです(入っていません)。この振動感が好きな方には刺さると思いますし、多すぎると感じる方もいるでしょう。
特に日本のポップスのコンプレッサーが効いたミックスの楽曲だとボコボコなりがち。どちらかと言えば音の数が少ないかスローテンポの楽曲、ジャズ等の方が自然に聞こえるかもしれません。
中音域
中域には温かい響きがあって、嫌味がありません。コントラバスやチェロといった低めの弦楽器の質感は結構高くて、聴いていて楽しいですね。まぁ質感は良いけど原音忠実かと言われるとちょっとコメントに困りますが。
収録された生楽器の音を収録通り、忠実に再現するような方向性ではなく、実際に楽器を目の前にして聴いたような、筐体そのものの響きを再現するリアリティの方が近いです。アナログ的な『リアル』さで描いてくれるような雰囲気があります。
そういうこともあって、楽器の胴鳴りを活かすタイプの生楽器との相性が良いです。このあたりは筐体の軽さと響きが結果的にプラスへ働いているんじゃないでしょうか。狙ったのか偶然なのかは分かりませんが、鳴り方としては妙な説得力がありました(笑)
…でも、生楽器の定位そのものはハチャメチャですし、音の質感も妙に貫通性があって脳に直接響いてくるような鳴り方で、ここにもまた一癖あります。でも憎めないんですよね(・o・)
ボーカル
ウォーム系の描写に、適度なエッジが立っています。普通に聴き心地が良いです。
女性ボーカルは甘さやにじみを含んだ描写で、耳当たりが柔らかい。男性ボーカルは芯の強さというより、男らしさや粗さのある元気な描き方でした。どちらも正確さを追う方向ではありませんが、これが不思議とネガティブに転ばないアナログっぽい鳴り方なのが好印象。
ボーカルの描写にも一癖ある。でもそれが個性として成立している。この感じ、どんどんGEEKWORLDの一癖ある製品づくりに引き込まれていく感じでちょっと悔しいです(笑)
質感が分かりやすそうな曲は以下に。
高音域
正直どのドライバーが担当なのかよく分かりませんが、以外にも滑らかで細やかな高域が出ていました。シャリシャリ感がそこまで強くないのがGoodなポイントで、8千円台としては満足度がかなり高めです。
ちゃーんと星がきらめくような美しい煌めき、キラキラっとした明るく気持ち良い音を再生してくれます。(例:Dill – 豊崎愛生)
とはいえ質感そのものはサラサラっとした質感で、シンバルの響きがよく聞こえてきます。でも穏やか。
ただギラギラ・ジャリジャリするほどではなく、滑らかさがないわけではありません。最近の分かりやすさを狙った製品の方がよっぽど荒く感じるくらいで、ちゃんと抑えが効いています。ウォームな鳴り方に合わせてチューニングしているのかもしれませんね!
音場・空間表現
空間は正直、広くないです。特に低音の距離感がかなり近いですし、ボーカルも近め。高音域は自然な遠さがあって良いのですが、低音がぐっと前に出てくる分だけ全体としては密度の高い狭めの空間になります。
広がりで聴かせるタイプではなく、濃さで聴かせるタイプかと思います。でも左右のセパレーションや音の分離は高くて、空間は広くないもののステレオ感が強い。そのぶん聴いた時の楽しさや満足度は高めになっていると思いますよ!
解像度
分かりやすい解像”感”があるタイプです。細部が見えるというより、輪郭が分かりやすく提示されるような方向性だと思います。
スローテンポな曲は割と破綻がありませんが、スピード感のある楽曲や最近のポップスになると結構ゴチャっと濁ります。(例:Driver – Official髭男dism)
筐体の軽さや素材的な部分に原因がありそうな響きが、ここではマイナスに働いている気がしました。ジャンルは明確に選ぶと思います。たぶん。
なんというか、箱鳴りっぽい響きというか、昔のドンドンシャリシャリみたいな音なんですよねw好きな人は好き、苦手な人は苦手。1DD機の方が良い音だと感じる方もいると思いますし、逆にハイコスパ機だと評価する方もいると思います。
長所と短所
長所
- 8千円台で片側6基という構成の面白さ
- 温かみのある中低域〜中高域の質感
- 生楽器、特に低音弦楽器の謎の説得力
- 癖になる出音
短所
- 樹脂ハウジングがかなり軽くチープ
- 低音が籠り気味で響きが強い
- 音場がやや狭め



癖を楽しめ!後は耳エージングでどうにかなるぞ! って凄く言いたいイヤホンww
総評と感想
「GEEKWOLD GK12 Ultra」は、コスパで殴る系のイヤホンの中でも5千円〜1万円台クラスに位置する製品で、入手性の良さも含めて手を出しやすいところにいます。
音については、たぶん皆さんが思っているほどドライな音ではないです。プラナーとかPZTが入っていると聞くと硬質でカリカリした音を想像しがちですが、低音はボーンwwと丸いし、高域もジャキジャキしすぎていない。ちゃんとハイブリッドらしい音がしますし、楽しい音でした。うん、素直に面白いです。 立体感もちゃんとあるし。コクのある音がしています。なぜか妙にまとまってるように聞こえてくる不思議なイヤホン。
多少の癖は耳エージングで慣れますし、耳が慣れるくらいには嫌味のある癖は無いんですよコレがw
ただ筐体の作りについては、もう少し頑張れなかったんかと思ってしまうくらい軽くてチープ感があります。8千円なのに、と。今の為替で作って最終価格8千円というのと、1〜2年前に作った8千円の製品とでは、その分の仕上がりの差はあるような気がしています。そういう意味では、8千円だからその程度のチープ感でも相応じゃないかな、といえばたしかにそうなんですけどね…?
ドライバーを詰め込んでそこにコストを掛けて音質全振り!かと思いきや、『個性に全振り』という風変わりすぎる方向へ振り切っています(笑) 所謂変態的なイヤホン、つまり初心者の方に勧めて買わせるようなものではありませんが…
まぁ、GEEKWOLDというブランド自体が、こういう個性や音そのものを楽しませる方向のブランドらしいので、ああ、こういうのもありなんだなぁ…と思ったりしました。
8千円ならまぁ遊べるし、楽しい音だと思います。筐体のチープさや、癖の強い音も含めてGEEKWOLDの世界観を楽しんでほしい、そんなイヤホンでしたね(笑)
こんな人におすすめ
- 8千円前後で個性の強い音を試してみたい方
- 太くて響く低音が好きな方
- 生楽器の質感や胴鳴りを楽しみたい方



音質特化型じゃなくて音楽体験特化型。
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