今回ご紹介するのは、Kiwi Earsとイヤホンレビュアーのふぐみかんさんが共同で作った『Kiwi Ears × ふぐみかん Ember 』です。透明なオレンジのシェルに少しマーブル模様が入っています。コラボ先の名の通り、みかんっぽい色合いになっているのも特徴ですね。
片側に2基のダイナミックドライバーと4基のBAを積んだハイブリッド構成で、ふぐみかんさん自身が「サブベースとキレ」を狙った音作りだと発信しています。さて、どんな鳴り方をするのか気になっていた方も多いと思います。
ということで、『Kiwi Ears × ふぐみかん Ember 』をレビューしていきます!

Linsoul様より、ご紹介のために製品をご提供頂きましたが、内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。
製品について
『Kiwi Ears × ふぐみかん Ember 』は、日本のイヤホンレビュアーであるふぐみかん氏とKiwi Earsが共同で開発した、コラボレーションモデルです。
ドライバーは片側6基のハイブリッド構成です。低域は、10mmの複合PU振動板と6mmのチタンメッキ振動板を同軸に配置したデュアルダイナミックドライバーが担当。中域にKnowles RABシリーズのカスタムBAを2基、高域にRLHシリーズのカスタムBAを2基割り当て、3ウェイのクロスオーバーで制御されています。中域は3kHz付近のピークを意識して調整しているとのこと。
シェルは医療グレードのレジン製で、炎をイメージしたオレンジのカラーリングです。
| 構成 | 2DD+4BA (同軸デュアルDD:10mm複合PU振動板+6mmチタンメッキ振動板/Knowles RABシリーズ カスタムBA×2/RLHシリーズ カスタムBA×2) |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 10Hz~20kHz |
| インピーダンス | 19Ω |
| 感度 | 110dB(1kHz/mW) |
| 発売日 | 2026年10月9日 |
| 価格 | 国内発売価格:23,100円(税込) AliExpress 135ドル |
パッケージ
パッケージはオレンジのグラデーションに大きく「EMBER」の文字。イヤホン本体のイラストと「イヤホンコラボ」の文字も入っていて、店頭に並んでいたら「お?これはなんだ?」と思わず手が伸びそうなデザインに仕上がっています。

箱を開けると、黒い内箱にイヤホン本体が収まっていて、ふぐみかんさんのメッセージカードが添えられていました。カードには、ふぐみかんさんにとって初めてのコラボモデルであること、Kiwi Earsの標準的なサウンドをベースにサブベース帯と中高域を強めたことが書かれています。

内容物
付属品の一覧です。本体、ケーブル、イヤーピース3種類、キャリングケース、保証規定の冊子、メッセージカードが入っていました。保証規定によると、保証期間は本体が1年、ケーブルとアダプターが3か月です。

イヤホン本体
フェイスプレートは透明なオレンジのレジンにがベースになっていて、揺らめく炎のようにマーブル模様がうっすらと入っています。

シェル越しに内部の基板や配線も透けて見えます。
横から見ると、BAドライバーや音導管がシェル越しにはっきり見えます。ノズルの先端には金属メッシュが付いています。

ケーブル
付属ケーブルは細めの4芯ケーブル。プラグはL字の3.5mm。プラグや分岐、2pin端子のカバーもゴールド系の金属パーツでそろえられていて、本体のオレンジとも色味が合っていますね。

ケーブルはほどよくしなやかで細め。使い勝手は良いと思いますね。
イヤーピース
イヤーピースは黒、白、グレー(赤い軸)の3種類で、それぞれS/M/Lが付属します。今回の試聴では中央の白を使っています。

ケース
キャリングケースはネイビーのファスナー式。ないよりはあった方が絶対良いので、ケースだけでも満足度が結構上がりますね…(笑)

装着イメージ
小ぶりながら窪みもあるカスタムIEMライクな形状のおかげで、かなり装着感が良いです。小ぶりでスッポり耳に収まります。

音質について
『Kiwi Ears × ふぐみかん Ember 』ってどんなイヤホン?
- 少し重心低めの低域
- 明るく明瞭
- 中低域は意外とスッキリ
- ボーカルはクリアで、重心はやや高め
- 高域はシャープで主張強め
- 音場は広くスカッと!
- 立ち上がりが速く、キレのある鳴り方
一昔前を彷彿とさせる、全帯域がしっかり主張する「良い意味でのドンシャリ」なキャラクターだと思いました。
でも!どこか上品にまとまった質の良さがあるのは、さすがKiwi Earsがブランドとしてまとめ上げたところなのかなと。かなりタイトでレスポンスが速く、アタックも強めで明瞭感をはっきり強調した鳴り方なので、再生環境にあまり左右されず、パワフルに明瞭に鳴らしてくれるのがこのイヤホンの良いところだと思います。音の厚みや温かさ、静かなパートの繊細さを求める人には物足りない場面があるかもしれませんが、明るくパワフルな音で気持ちよく聴きたい人にはハマりやすいイヤホンです。
周波数特性
実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB)
※8kHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域で、実際よりもピークが強めに出やすいことをご理解の上でご覧ください。
平均

左右

左右で概ね1db以内と優秀なマッチングです。ピークも揃っています。
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
試聴環境
- Lotoo PAW 6000
- Lotoo PAW GOLD TOUCH
- 付属イヤーピース(ホワイト)
全体的な音色や特徴
とにかくタイトでストレートでドンシャリ系のニュアンス!
音の輪郭がクッキリハッキリしていて、明瞭感がかなり強いです。音同士を濁らせないことを意識したチューニングだと感じました。中低域を絞ってあるので、低音がほかの帯域に被らず、見通しもよくクリア感抜群!
寒色寄りのニュアンスはあるものの、寒色一辺倒にはなってる印象はなく、意外と温度感的にはニュートラルがベースではあるのかも。アタックは弾けるように強めで、特に中高域あたりはかなり前に出てきますね。
低音域
やや重心低めで、とにかくタイトに鳴るタイプ。20〜60Hzあたりの量感が多く、EDMのドロップでは床下から振動が上がってくるような重さが少し出ます。膨らみすぎず、鳴ったあとはすっと止まるので、次の拍との境目がはっきりしています。やっぱレスポンス早いなぁ。
中低域は意外とスッキリしていて、響きや余韻は短め。キックの打点がボヤっとせず、アタックの強さがそのまま前にリズミカルに出てきます。低音の「量」で押すより、レスポンスやリズムで気持ちよさを出すタイプかも。低域が分厚く膨らむ温かい低音が好きな人には、あれ?軽い?と感じてしまうかもしれません。
中音域
楽器の輪郭をキレキレに描くタイプで、アコースティックギターは、弦の音が弾けるようにビシッと響きます。ギターのカッティング、ピアノの打鍵、スネアの輪郭もくっきり。
アコギの胴鳴りやピアノの低音弦の響き、チェロの響きといった、楽器の太さや温かさは強調されません。
楽器同士が重なる場面でも分離に優れてるのは優秀かなと。分離の仕方は音同士が左右に離れて並ぶイメージ。奥行き方向の分離はそこまで強くありません。
ボーカル
クリアで男女ともにボーカルが、やや前に出てくる位置で鳴ります。
重心はやや高めで、低音に埋もれずに歌声を聴けますね。伴奏との分離も良く、声がくっきり。ただし、声の温度感は少し低めで、ボディ感も薄め。しっとりしたバラードで、声の濃さや温かさを味わいたい人には少し軽く聴こえるかもしれません。
高音域
クリアでシャープに伸びるタイプかなと思いました。伸びた先の余韻は短めというのが弱点かも。
主張が強いので、解像感はかなり高く感じました。シンバル系は、距離が近いと感じるくらい強めに鳴ります。細かい音もよく拾ってくれて、音数の多いアニソンでも、後ろでさり気なく鳴っている音まで聴き取りやすかったです。
高域のシャープさが強く印象に残るのも納得の周波数特性で、10kHzより上は急に下がっていて余韻が短めに聴こえるのはこのあたりも関係していそうです。
音場・空間表現
左右の広がりは十分で、抜けの良い空間に音が広く展開されるのが素晴らしいです!
ただ、余韻が豊かに響く印象はなく、音が抜けきったあたりで、細かな響きや余韻が突然壁にぶつかって止まるような感覚がありました。また、低音が強く入る曲では、低域がやや支配的になります。低音に引っ張られて、空間がやや狭くなる傾向もありました。これがちょっと弱点なのかもしれませんね。
ダイナミクス
アタックの速さとキレの良さが特徴で、特にキックが強調されるイメージです。
全体的にアタックが強く、パワフルな鳴り方。スネアやハイハットの立ち上がりも鋭く、音数が多く賑やかな曲でも、濁らせないという強い意志を感じます。
その反面、弱音の表現は少し苦手な印象です。音量の大小を0〜100で表すなら、鳴らせるのは30〜100の範囲で、0〜30の「そぉ~っと弱く鳴らす」ようなニュアンスが抜け落ちているような感じでした。
長所と短所
長所
- 再生環境に左右されず、パワフルに明瞭に鳴ってくれる
- 鳴らしやすく、音量が取りやすい
- 音同士が濁らず、各パートを聴き分けやすい
- デザイン性高い、透明オレンジのシェル。
短所
- 音の厚みは意外と控えめでスッキリ
- ボーカルが少し冷たく、ボディ感が薄い
- 弱音の表現は少し苦手
- シンバル系が近く、高域に敏感な人には強く感じる場面がある
方向性がはっきりしている分、短所はそのまま好みの分かれ目になるタイプかなと。中低域の厚みよりも沈み込みと明瞭さを取った設計なので、ここに共感できるかどうかで評価がかなり変わるイヤホンかもしれません。
総評と感想
『Kiwi Ears × ふぐみかん Ember 』は、ふぐみかん氏が「自分が欲しい音」をはっきり形にしたコラボモデルです。好みが合う人には深く刺さり、合わない人にははっきり合わない。そこまで割り切った音作りだからこそ、聴いていて面白いイヤホンだと感じました。
23,100円で2DD+4BAという構成、目を引くシェルの仕上がり、価格に対する内容は十分充実しています。付属ケーブルのままでも傾向はつかめますし、ケーブル交換でキャラクター性を変えられるのも良い所。
高域の感じ方は人によってかなり差が出るので、気になっている方はぜひ店頭に置かれていたら一度試聴してみてください。ふぐみかんさんの動画を見て音を想像していた方は、実際に聴いて答え合わせをしてみるのも楽しいと思います(笑)
こんな人におすすめかも。
- EDMやボカロなど、打ち込み系の曲をよく聴く人
- アニソンやJ-POPで、伴奏に埋もれない歌声を聴きたい人
- リケーブルやイヤーピース選びで音作りを楽しみたい人
- ふぐみかんさんのレビューを普段から参考にしている人
普段から明るめのチューニングを好んでいて、低音にも沈み込みがほしい人にはハマりやすいと思います。逆に、ゆったりした温かい音で長時間流し聴きしたい人は、一度試聴してから判断するのがおすすめです。
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