MUSEHIFI MUSE300 レビュー|遊び心と本気が同居する据え置きDAC、UI着せ替え、3スタイルのサウンドモード

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据え置きのDAC/ヘッドホンアンプというと、無骨な金属の箱に小さな表示窓がついているか、あるいは表示すらないストイックな筐体。
そんな姿を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。少なくとも私の中の「据え置き」のイメージは、長らくそういうものでした。

MUSEHIFI MUSE300
MUSEHIFI MUSE300

ところが今回ご紹介するMUSEHIFI MUSE300 は、その固定観念を真正面から殴って吹き飛ばしてきた、新たな風を吹かせる製品でした。

正面には5インチの大きなスクリーン。電源を入れると、どこかレトロなウィンドウとアニメ調のキャラクターが画面いっぱいに広がります。第一印象は、正直「これはオーディオ機器なのだろうか……」という小さな戸惑いでした。

けれど中身を辿っていくと、ESSのフラッグシップDACチップやアナログ回路そのものを物理的に切り替える3つのサウンドスタイル、そして4.4mmバランスで最大2,200mWという据え置きらしい駆動力と強い構成が見えてきます。

目次

製品概要

MUSEHIFI MUSE300 は、MUSEHIFIが 「世界初の独自OSを搭載した据え置きDAC/ヘッドホンアンプ」 として打ち出したモデル。多くのDAC/アンプが採用するAndroidベースではなく、マイコン上に自社開発の「Muse OS」を3年かけて構築した、というのが最大のトピックとされています。

心臓部にはESSの 「ES9039 Pro」 を搭載。第4世代のHyperStream® IVアーキテクチャを採用したフラッグシップ系のDACで、I/V変換にESS ES9603Qを2基、ローパスフィルターにOPA1612を2基、出力段にTP6120Aを2基という、据え置きらしく物量を投じた構成になっているとのことです。

ヘッドホン出力は6.35mm(アンバランス)と4.4mm(バランス)の2系統。ライン出力はRCAに加えてXLRバランスまで備えており、ヘッドホンリスニングだけでなくアクティブスピーカーやパワーアンプへの送り出しまで一台でこなせる設計です。Bluetoothも、QualcommのQCC3095(BT5.4)によりLDACやaptX Adaptive/Losslessまでカバーしているとのこと。

項目内容
製品名MUSEHIFI MUSE300
DACチップESS ES9039「Ultra」(HyperStream® IV)※MUSEHIFI呼称
チップは「ES9039 Pro」だと思われます。
アナログ段I/V変換:ESS ES9603Q ×2 / LPF:TI OPA1612 ×2 / 出力段:TP6120A ×2
ディスプレイ5インチ IPS
システム独自開発「Muse OS」
サウンドスタイルバランス/真空管(チューブ)/ACG
ヘッドホン出力6.35mm(アンバランス)+ 4.4mm(バランス)
最大出力約2,200mW(4.4mmバランス)
約1100mW(6.35mmポート)
ライン出力RCA + XLR(バランス)
入力USB(Type-B)/ 光(OPTICAL)/ 同軸(COAXIAL)/ Bluetooth
BluetoothBluetooth 5.4 / aptX Lossless / LDAC など
対応フォーマットPCM/DSD(Hi-Res・ネイティブDSD対応)
電源外部DC12V ACアダプター
価格スーパーアーリーバード:$349.99
アーリーバード:$379.99
Kickstarter価格:$399.99
正規価格:$439.99
※限定数量

外観・ビルドクオリティ

まずは外観から見ていきます。

化粧箱の時点ですでにMUSE300らしさが全開。箱の天面には、本体に内蔵されたサイバーパンク調UIのスクリーンショットがそのままプリントされていて、「これは普通の据え置きではない」感が溢れています。

MUSEHIFI MUSE300
MUSEHIFI MUSE300

正面に回ると、左にワイドな黒いスクリーン、右に大ぶりのボリュームノブ、という潔いレイアウトです。
正面のプレートはサラッとしたフラットなプレートで「派手なのは画面だけで、筐体そのものはむしろ硬派」 というギャップ。

MUSEHIFI MUSE300 本体
本体

ノブの側面にはローレット加工が入り、指がかりは良好。基本的にはこのノブを「押す・二度推し・長押し・回す」の動作で全ての操作が完結するシンプルな設計になっています。(後述します)
回し心地も軽やか。

MUSEHIFI MUSE300 ノブ
ノブ

側面から見ると、フェイスプレートが使用者に自然に向くような角度になっています。デスクトップでの使い勝手を意識した造形で、ヘッドホン端子(6.35mm/4.4mm)は側面に配置されていて、前面のすっきりした見た目を崩さない工夫がなされているようですね。

MUSEHIFI MUSE300 サイドビュー
サイドビュー

付属品

MUSEHIFI MUSE300 付属品
MUSEHIFI MUSE300 付属品

付属品は、DC12VのACアダプター(PSE対応)と電源ケーブル、しっかりした編組スリーブのUSBケーブル、Bluetooth用アンテナとそして6.35mm→3.5mm変換と、予備のゴム足が2本、という構成でした。

上部な編組USBケーブルが標準で付くのは地味に嬉しいポイント。安っぽい黒いビニールケーブルより良いですよね!

接続性 ─ 入出力はフルサイズHiFi級

背面は、この小さな筐体によくこれだけ詰め込んだな~…と感心する密度で用意されています。入力はUSB(Type-B)・光・同軸・Bluetoothの4系統。出力はRCAのライン出力に加えて XLRのバランス出力 まで備えており、ヘッドホンアンプとしてだけでなく「卓上のハブ」として腰を据えて使える構成になっています。
DSD、ESS、Qualcomm aptX、LDAC、MQAといったロゴが並ぶあたりも、様々なフォーマットへの対応の広さを物語っていますね。

MUSEHIFI MUSE300 背面

そして日本のユーザーとして見逃せないのが、技適マーク(220-J11700)がきちんと取得されている点です。Bluetoothを内蔵する以上ここは重要で、安心して国内で電波を使える一台だと確認できました。

MUSEHIFI MUSE300 技適マークあり
MUSEHIFI MUSE300 技適マークあり

BluetoothはQCC3095によりLDACやaptX Adaptive/Losslessに対応しているとのことなので、ワイヤレスでもかなり高音質なリスニングが期待できるはずです。

当方が主催しているオフ会で、参加者数名に試していただきましたが、Bluetooth接続は即座につながり、レスポンスも良いという評価でした。

Muse OSと、3つのUIテーマ ─ ここが一番の“事件”でした

さて、MUSEHIFI MUSE300を語るうえで避けて通れないのが、この 着せ替えできる5インチUI 。正直、ここまでくると「DACのレビュー」というより「ガジェットのレビュー」に近いww。

設定からは、UIテーマを サイバーパンク/ミニマリスト/ACG の3種類から選べるようになっています。それぞれ世界観がまったく異なり、同じ機械とは思えないほど見た目が変わります。

MUSEHIFI MUSE300 インターフェイスデザイン
インターフェースデザイン

以下の画像はサイバーパンクテーマのメイン画面です。

MUSEHIFI MUSE300
MUSEHIFI MUSE300

再生中のフォーマット(ここではPCM 44.1kHz)、ゲイン、出力、選択中のサウンドスタイル、入力、音量といった必要な情報が、90年代のデスクトップを思わせるウィンドウで表示されます。情報量は多いのに、不思議と「どこに何があるか」が直感的に分かる作りで、見ているだけで少し楽しくなってきます。まぁちょっとザワザワしてますけど。

設定メニューも同じテイストで統一されています。フィルター、ゲイン、出力、入力、サウンドスタイルといったオーディオ設定から、言語・明るさ・スクリーンセーバー・時刻まで、一通りここで完結します。

MUSEHIFI MUSE300
MUSEHIFI MUSE300

そして同じ設定メニューを別テーマで表示すると、この通り。淡いブルーを基調にした明るいトーンに、リボンやキャンディ、ベルといった可愛らしいモチーフが添えられ、先ほどのサイバーパンクとはまるで別のデバイスのよう。
「気分でここまで雰囲気を変えられる据え置き」は、私の知る限りちょっと記憶にありません。あったらごめんw。

MUSEHIFI MUSE300 デザイン変更例
デザイン変更例

気づいた方はもう気づいているかと思いますが、1つ正直にお伝えしておくと、日本語ローカライズには少し惜しい部分もあります。一部のメニュー名で表記が崩れていたり(「インターフェイススタイル」が崩れて表示される等)、不自然な箇所が見受けられました。意味は十分に分かるので実用上の支障はありませんが、几帳面な方は少し気になるかもしれません。今後のファームウェア更新などで改善に期待したいところです。

ちなみに操作せず放置すると時計モードに。うん。可愛い。

MUSEHIFI MUSE300 放置で時計が表示
時計が表示

操作感 ─ ノブ1つで完結する

操作系は、基本的に 多機能ボリュームノブ1つでの操作 に集約されています。ノブを回せば音量、ダブルクリックすると設定の編集モードに入り、もう一度クリックすると各項目(サウンドスタイル・フィルター・入力・出力など)を切り替えられる、というシンプルな流れです。分厚いマニュアルを読み込まなくても、触っているうちに自然と操作が手に馴染んでいきました。

MUSEHIFI MUSE300 ノブ
ノブ

結構関心したのは、動作がもたつかない点です。フリーズやモード切替時のもたつき、引っかかりが感じられません。
自社製OSを名乗るだけのことはある仕上がりだと思います。

音質 ─ 3つのサウンドスタイルが“回路ごと”変わる

ここからが本題です。MUSEHIFI MUSE300には バランス/真空管(チューブ)/ACG という3つのサウンドスタイルが用意されています。

MUSEHIFI MUSE300 サウンドスタイル
サウンドスタイル

ここで強調しておきたいのは、これらが単なるデジタルEQのプリセットではない、という点です。調べてみるとなんと各モードは アナログ回路を物理的に切り替えることで音を作っているとのこと。

また「真空管」モードといっても、本機に実際の真空管が入っているわけではありません。あくまでハードウェアのチューニングによって真空管的な質感を“再現”するモード、という位置づけになります(実球を積んだ同社のM3 Ultraとはアプローチが異なります)。このあたりは誤解のないようお伝えしておきたいところです。

ショートインプレッション

まず全体像から申し上げます。
3つのモードを行き来して感じたのは、MUSE300の“素”の実力はバランスモードに最もよく表れているということでした。ESS系にありがちな高域のキツさはうまく抑えられていて、それでいて情報量はしっかり確保された、滑らかで聴き疲れしにくいサウンドです。良くも悪くも無味無臭ではありますが、やはりバランスはバランス。説得力のある味付けの無さと据え置きらしい余裕のある音がします。

真空管モードとACGモードは、そこから明確にキャラクターを足していく“スパイス”のような存在で、常用というよりは音源や気分に合わせて使い分ける性格だと感じ取れました。出力にも余裕があり、感度の高いIEMから鳴らしにくいフルサイズ機まで、3段階ゲインで幅広く対応できるのも頼もしい点です。

…まぁ私なら真空管モードを常用しちゃいますけど

バランスモード ─ 本機の“基準点”

3つの中で、私が最も癖のない基準だと思ったのは、“バランスモード”です。低域は出すぎず痩せすぎず、芯のあるパンチを伴って気持ちよく沈みます。中域は素直で、楽器の質感がきちんと描き分けられる印象。ボーカルは過度に前にも引っ込みすぎず、自然な距離感で耳に届きました。高域は伸びやかでありながら刺さりは巧みに抑えられていて、長時間聴いていても角が立ちません。

ESS系の音を想像するともっと繊細で細く解像感が強調されたような音色を想像しがちなのですが、本作はそれらしい癖がなく、滑らかな無味無臭なニュートラルな音という印象。そこに出力をあげても出音に破綻が無い余裕がありましたね。

真空管(チューブ)モード ─ 温かみが加わりボーカルが一歩前に出る

真空管モードに切り替えると、音の重心がぐっと下がり、中低域から中域にかけてが豊かに肉付けされます。いちばん分かりやすいのはボーカルで、まるで歌い手が一歩前に踏み出してきたかのような厚みと存在感が加わります。その代わり高域はなだらかにロールオフし、左右の音場はやや内側にまとまる傾向、でも空間が狭くなる感覚はなく、奥行きや立体感が加わるような感じ。質感としては、まさに真空管サウンド。どこか音色にとろりとした質感が加わります。

実際の真空管にありがちなノイズ(ヒスノイズやマイクロフォニック)を伴わずに、あの真空管らしい“温度感”だけを足せるというのは、率直に面白いと感じました。
真空管らしさの再現性もなかなか高く、バランスモードが無味無臭で少しつまらない音に感じられた方には、こちらの方が聞き心地が良かったり、立体感が増したように感じられたりするかもしれません。実際、私自身もこちらの設定の音の方が好みでした。正直、かなり好きです。

ACGモード ─ アニソン・ゲーム特化のV字

ACGモードは、その名の通りアニメ・コミック・ゲーム(ACG)のための味付けです。傾向としては明確な V字(ドンシャリ)で、サブベースを持ち上げて打ち込みのキックに勢いを与えつつ、プレゼンス〜上部中域を前に出すことで、密度の濃い電子的なアレンジの中でも 高めの女性ボーカルがすっと抜けて聴こえるように調整されています。高域のクリスプ感も最大限に強調されるため、勢いとシャープネスが加わったような音になりますね。

ただ、微妙に音量が下がることや、Vシェイプでドンシャリな音になる傾向はあるのに中低音がスカッと抜け落ちる感覚があり、どこかやりすぎな、違和感があるサウンドなような…

ゲームをあまりやらない人間なので少々私では正確な評価が出来ないかもしれません。申し訳ない。
もしかしたらドンピシャでハマるジャンルがあるのかもしれませんね。

駆動力とノイズ

出力面では、4.4mmバランスで最大2,200mWという公称値が示す通り、据え置きとして十分な駆動力を備えていると思いました。実使用での体感としても「かなりパワフルで、それでいて静か」という感覚でノイズも気になりません。

こんな人におすすめ

  • デスクの主役になる、見て楽しいオーディオが欲しい方
    着せ替えできる5インチUIは唯一無二。気分や部屋の雰囲気に合わせて表情を変えられます。
  • 一台で入力も出力も完結させたい方
    USB・光・同軸・Bluetoothの入力に、ヘッドホン(6.35/4.4mm)+RCA/XLRライン出力。卓上のハブとして頼れます。
  • 音の“味変”を手軽に楽しみたい方
    回路ごと切り替わる3モードで、同じ曲の表情を物理的に変えて遊べます。
  • ワイヤレスでも音質に妥協したくない方
    LDAC対応かつ技適取得済みで、Bluetoothでも安心して高音質を狙えます。
  • PCデスクにアクセントが欲しいゲーマー・クリエイター
    セカンドスクリーン機能やサイバーパンクUIは、ゲーミング環境とも相性が良さそうです。

長所と短所

長所

  • アナログ回路を物理切替する3サウンドスタイル
  • 据え置きらしい駆動力(最大2,200mW)
  • 価格以上に贅沢な入出力
  • LDAC対応&技適取得済み

短所

  • 日本語ローカライズに一部表記の崩れ
  • やや大きめの筐体
  • バランスモードが無味無臭すぎる

まぁバランスモードの無味無臭は長所でも短所でもあるよね。

総評

MUSEHIFI MUSE300は、ひとことで言えば 「真面目な据え置きDAC/アンプに、思いきり遊び心のあるOSを搭載した一台」 です。アニメ調・サイバーパンク調の派手な5インチUIだけを見ると、やや“ネタ”的な製品に見えてしまうかもしれません。けれど蓋を開けてみれば、ESS旗艦級のDACに物量を投じたアナログ段、回路を物理的に切り替えるサウンドスタイル、そしてRCA/XLRまで揃えた入出力と、中身は驚くほど実直に作り込まれています。

音の核となるバランスモードは、ESSらしい解像感を保ちながらキツさをうまく抑えた、滑らかで聴き疲れしにくいサウンド。ここを基準点としつつ、真空管らしい温度感や質感を足したい時は真空管モード、アニソンやゲームで勢いが欲しい時はACGモード、と気分や音源に応じて“引き出し”を開けられるのがこの機種ならではの楽しさです。さらに4.4mmバランスの伸びと駆動力、外部アンプへ送った時の素性の良さまで含めると、価格に対する満足度はかなり高いと感じました。

もちろん、真空管・ACGモードが用途特化であることや、日本語表示の粗さなど、惜しい点がないわけではありません。けれどそれらを差し引いても、「音も操作も、所有する時間そのものが楽しい」という体験を据え置きの価格帯で実現してくれるレアな一台だと思います。机の上に置いて毎日眺めたくなる、そんな“相棒”を探している方には、ぜひ一度この画面に触れてみてほしいです。

Kickstarterでは早割の$349.99から、正規価格は$439.99とのこと(2026年6月25日〜7月9日のキャンペーン予定)。この内容と遊び心を考えると、据え置きデビューにも、2台目の“楽しい一台”としても、十分に検討の価値がある製品だと感じました。

こんな人におすすめ

  • デスクの“主役”になる、見て楽しい一台が欲しい方
  • 一台で入力も出力も完結させたい方
  • PCデスクにアクセントが欲しいゲーマー・クリエイター

一風変わった卓上アイテムが欲しい人に是非!

購入先


mondにて匿名の質問を受け付けております、興味があれば是非質問してみてください!

本記事はPRの機会をいただき執筆しました。このような機会を頂き心より感謝申し上げます。
執筆にあたり、金銭等の対価は一切発生しておらず、内容は当サイトのレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。

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この記事を書いた人

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