香港発の新興オーディオブランド、COZOY。
今回取り上げるのは、そのCOZOYから2026年8月28日に国内発売された有線イヤホン「D2」です。10mmと6mm、2基のダイナミックドライバーを積んだデュアルダイナミック構成。前作D1がシングルダイナミックだったことを考えると、命名規則も含めて素直な進化の形ですね。
ということで、「COZOY D2」をレビューしていきます。

そうそう、本作の面白い所は2基のドライバーの役割分担がちょっと変わっているところ。普通に考えれば大きいドライバーが低域を担当しそうなものですが、D2はその逆で、小さい6mmのほうが低域専任で大きい10mmが全帯域を受け持つようです。
COZOY様より、ご紹介のために製品をご提供頂きましたが、内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。
製品について
「COZOY D2」は、φ10mmとφ6mmのダイナミックドライバーを配置し、物理クロスオーバーで帯域を分けた構成。10mm側はグラフェン複合ダイアフラムに、デュアル磁気回路・デュアルキャビティを組み合わせたもので、全音域のチューニングを担当。6mm側はベリリウムダイアフラムで、低音域の専任という設計です。
ハウジングは医療グレード樹脂を自社の3Dプリント技術で成形したもので、フェイスプレートには大理石から着想を得たデザインが施されています。
接続はコネクタが0.78mm 2pin、ケーブルは銀メッキ単結晶銅(OCC)の編み込みで長さ約1.2m。3.5mmと4.4mmの交換式プラグが付属します。
価格は11,800円(税込)、発売日は2026年8月28日です。
| 構成 | 2DD (φ10mmとφ6mmのダイナミックドライバー) |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 20Hz〜20kHz |
| 発売日 | 2025年8月22日 |
| 価格 | 国内価格11,800円(税込) |
パッケージ
外箱はマットな黒地に製品写真をあしらったデザイン。フェイスプレートの大理石模様が背景のテクスチャとつながっていて、パッケージ単体で製品のコンセプトが伝わる作りになっていますね。

蓋を開けると、フォームトレイに本体が収まっています。トレイの左下にはリボンが付いていて、引き上げるとフォームトレイがが取り出せる構造でした。個人的にはフォームをつまみ出すパッケージよりもリボンがあった方が良いですね…笑
開封の段取りが丁寧に設計されているのは好印象。

付属品
付属品を並べるとこうなります。イヤホン本体、銀メッキ単結晶銅ケーブル、3.5mmと4.4mmの交換プラグ、イヤーピース3種、キャリングポーチ。この価格帯としては十分な内容でしょう。

- イヤホン本体 ×1
- イヤーピース 3種類 合計7ペア
- 付属ケーブル ×1
- 交換式プラグ×2 (3.5mm/4.4mm)
- キャリングポーチ×1
- その他、説明書など
イヤホン本体
フェイスプレートは、黒地にブルーグレーと白の層が流れ込む大理石調。これは…個体差があるタイプなのでしょうか。
左右で表情が違うのも面白いところです。光の当たり具合で表情を変えるのも面白いポイント。

表面はグロス仕上げなので指紋は付きやすいのですが、この価格でこの質感が出せているのは素直にすごいなぁと。

ケーブル
ケーブルは銀メッキ単結晶銅の4芯編み込み。耳掛けは熱収縮チューブで丁寧に作られています。

プラグは黒いハウジングで、プラグは金メッキ仕様。写真では3.5mmが装着済み、4.4mmが外れた状態です。グッと押し込むだけで固定されます。ねじタイプではありませんが、十分な固定力があります。
イヤーピース
イヤーピースは3種類。上段が低反発フォーム(1ペア)、中段が黒軸にホワイトの傘のシリコン、下段が黒のシリコンで、シリコン2種はS/M/Lが揃う構成。

付属ケース
収納は巾着タイプのポーチのみでグレーの生地にCOZOYロゴというシンプルなものですが、素材に安っぽさがなく作りが良いですね。薄くて柔らかいのでポケットにも入ります。保護性能を求めるなら別途用意することになりますが、持ち歩きやすさという点では良いポイント。

装着イメージ
シェル形状は素直で、耳の耳甲介によく座る形状でした。特別に小さいわけではありませんが、耳甲介に沿って自然に収まってくれます。ノズルの角度にも無理がありません。

音質について
最初に結論から。
- 低域は量感控えめ。でも重みが後ろに
- 下支えに徹しつつ、弾力のある質感
- ボーカルはやや前傾。ただし主張は強すぎない
- 伴奏が左右に広く、レイヤー感がしっかり
- 混雑した曲でもゴチャつかない
- 高域は抜けが良く、スカッと開ける軽やかさ
- 空間が広く、音と音のあいだに余白がある
- 躍動感とノリがあり、ドライにも寒色にも寄らない
軽やかで躍動感があってスカッと明るい音色!
メーカーは「低音域にフォーカス」と説明していますが、実際に聴いて印象に残るのは空間の使い方と分離の良さでした。低域は量で押すのではなく、後ろから支えに回るタイプ。中域から上が開けていて、伴奏の広がりの中にボーカルが自然に立つ印象があります。
重低音の押し出しや迫力を最優先する方には物足りないと思います。逆に、情報量が多い曲を余裕を持って鳴らしてほしい方、軽やかで弾む鳴り方が好きな方には、かなり刺さるのでは!
周波数特性
実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB )
※8kHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域で、実際よりもピークが強めに出やすいことを理解の上でご覧ください。
平均

左右差

評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
試聴環境
- Lotoo PAW 6000
- lotoo PAW GOLD TOUCH
- 付属イヤーピース(ナローボア)
全体的な音色や特徴など
「COZOY D2」の音色をざっくり言うなら、広くて軽やかで、よく弾み明るく元気な音という印象です。
低域は量感を抑えてさり気なく包み込むように支え、その分だけ中域から上が開けたような明るさがあります。ボーカルはやや前傾するものの、押し出してくるような主張の強さはなく、伴奏が左右に大きく展開して、その中央かやや前あたりにボーカルが自然に配置されているような自然で気持ち良い配置で爽快です。
質感としては、ドライな方向でも寒色でもありません。かといって温度感を盛った濃厚系でもなく、軽さと躍動感が前に出るタイプ。
販売ページや公式の説明は「全体のバランスを保ちつつ低音域にフォーカス」という表現ですが、ただ実際に聴いた印象としては、低域は主役ではなく土台という感覚のほうが近いですね。でも軽めではあるけど確実に深い所でサブベースが見え隠れする滑らかな低音の音作りなのが、”ただ軽い”という結果にならないようにしているのが良いポイント。
低音域
低域は、量感控えめながら丁寧に設計しているように思います。前に出てくる量そのものは多くありません。ただ、後ろのほうに重みの存在は感じるけれど前景には出てこない、という距離の取り方が上手いです。
面白いのは、下支えに徹しているのにタイトすぎて淡白にならないところ。締まっているのに硬くなくて、程よい弾力がある。6mmドライバーを低域専任に置いたのがどのように作用しているのかは音からでは判断出来ませんが、結果的にはキックやベースの音程がはっきり取れて、潰れずに低域が追えるのは好印象でした。低域が控えめであることが中域から上のクリアさに直結していて、全体の見通しの良さを支えています。
中音域
弦楽器のディテールが軽やかで、弾むように鳴ってくれます。ベース弦の振動、エレキギターのアタック、アコースティックギターの胴鳴り、バイオリンやチェロの擦弦。どれも重たくならず、それでいて痩せもしません。楽器の描き方はこのイヤホンでいちばん楽しい部分かも?
分離とレイヤー感も価格帯を超えていると感じました。伴奏が左右に広く展開して、そのなかで各パートの位置がきちんと保たれます。エレクトロやポップスのように音数が多くて混雑しやすい曲でも、ゴチャっとまとまらずに解像して鳴っている感覚がありました。基礎性能の高さが出ている部分だと思います。
ボーカル
ボーカルはやや前傾しますが、誇張や主張感は控えめ。近めなのに疲れない。この距離感の取り方は素直にうまい。
そして何より、左右に広く展開した伴奏のなかで、ボーカルがきちんとセンターに立って描かれますし、楽器とボーカルのあいだに余白があって、埋もれることも張り付くこともない。この配置の良さが、聴いていていちばん心地よく感じたところでした。
高音域
量感そのものはわずかに控えめですが、高域は抜けが良く、スカッと開けたような音色で良いですね。全体的な密度も高くは無いですが、あくまで軽やか。中高音の倍音成分で乗るような高音域も豊か。
ただ、情報量は豊かで分離感も高いので、スカスカした薄さにはならず、情報が多い。イメージ的に言うと軽いのに中身が詰まってるような音でしょうか。
シンバルやハイハットに音にギラつきもなく、音量を上げても刺さりません。開放感を出しつつ刺激を出さない、というバランスがしっかり取れていますね。
音場・空間表現
空間は左右に広めで、上方向にも少し広がりがあります。何より、音と音のあいだに余白があります。詰め込まれた感じがなく、余裕を持って鳴っている印象。音の数が増えても空間が整理されたままの出音で安定しているのが価格を超える強みだと思います。
定位も安定していて、音がどこにあるのか迷いませんし、音と音の間に余白があるおかげで、音数の多い曲でも窮屈になりません。
解像度
解像度は、価格を考えるとかなり健闘していると思います。エレクトロやポップスのように音が混雑しやすい楽曲、テンポの速い楽曲でも余裕をもって鳴らしています。とにかく、分離感の高さと空間の余白が効いていて、情報量が増えてもスッキリと見通しが良く、解像力のあるイヤホンだなと思いました。11,800円という価格でこの安定感が出てくるのは、素直に驚きです。
ダイナミクス
音の立ち上がりが速く、弾むような表現が得意。そのぶん重厚に沈み込むような表現とは相性が違いますが、テンポの速い曲やリズムが主役の曲では強みがはっきり出ます。静と動の落差も結構あり、弱い音も敏感に拾いますがそっと鳴らせるし強くも鳴らせる。そんな素直なダイナミクスが良かったです、
長所と短所
長所
- 低域が量感控えめながら、重みと弾力を両立している
- 下支えに徹する低域のおかげで、中域から上の見通しが良い
- ボーカルがやや前傾しつつ、押し出しすぎない絶妙な距離感
- 伴奏が左右に広く、レイヤー感がしっかり出る
- 混雑した曲や速い曲でも破綻せず、ゴチャつかない
- 弦楽器のディテールが軽やかで弾むように鳴る
短所
- 低音の量感がやや軽め。(重みはあるけど)
- 重厚さや音の濃さを求める方には、軽やかさが物足りなく感じられるかもしれない
- 高域の密度は詰まったタイプではないので、濃密な質感が好みなら好み次第
- メーカーの「低音域にフォーカス」という説明はちょっと謎。
(深さはあるけどフォーカスするほどではないと思う)

解像度高めの軽やかな空間広いイヤホン。結構強い。
総評と感想
「COZOY D2」は、デュアルダイナミック、ベリリウム、低音重視。公式や販売情報に並んだキーワードから想像するのは、たいてい迫力で押してくるイヤホンだと思います。ところが実際に鳴らしてみると、ちょっと違う。
この製品の見どころは空間の広さと分離の良さでしょう。低域は前に出るのではなく後ろでさり気ない重みで支える役に回り、そのぶんスカッと上が開ける。
伴奏が左右に大きく展開して、そのなかでボーカルがセンターに立って、伴奏とボーカルの間に余白が残る。この余裕のある配置が11,800円で成立していることに、結構びっくりしましたね。
エレクトロ系やポップスのように音数が多い曲、テンポの速い曲を入れても崩れず、ゴチャつかずに解像して、しかも軽やかに弾んでくれる。基礎性能の高さがそのまま楽しさに変換されている感じがあって、聴いていて素直にノれるイヤホンです。
どこか不思議な…鳴らし始めて数曲で「あ、これ楽しいな」と思わせる力があります。軽やかで広い音を探しているなら、選択肢に入れる価値は十分にあるでしょう…!
こんな人におすすめかも。
- 音数の多い曲やテンポの速い曲を、破綻させずに聴きたい方
- 低域は量より質、下支えに徹してくれるほうが好きな方
- 軽やかで弾むような音、ノリの良さを求めている方
- 高域の抜けと開放感を重視している方
- 3.5mmと4.4mmを一本で使い分けたい
広さと軽やかさがありつつ、重低音がそっと下支えするようなうまい具合のイヤホン。もっと高く評価されてほしい(笑)
レビューは以上となります。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
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