JUZEARから、片側7ドライバー構成のトライブリッドイヤホン「JUZEAR Light Shuttle(時光機)」が登場。
今回取り上げるのは、時空を行き来するタイムマシン。そんなイメージから名付けられたモデルで、フェイスプレートには光の筋が流れるような加工が施されています。中身も1DD+4BA+2MPDという、この価格帯では贅沢な構成なのではないでしょうか。
早速レビューを進めていきます。

HIFIGO様より、ご紹介のために製品をご提供頂きましたが、内容は当サイトの下記のレビューポリシーに基づく筆者自身の体験と個人的な見解のみで構成しています。
製品について
JUZEARは、中国・深センを拠点とするイヤホンブランドです。近年は個性あるモデルを短いスパンで投入していて、価格帯を問わず聴きやすいチューニングを得意としています。
「JUZEAR Light Shuttle(時光機)」は、そのJUZEARが新たに展開する「UNVEIL」シリーズの一機種で、ボーカルを中心に据えた自然な音づくりを掲げたモデルです。片側に10mm MACCDダイナミックドライバー1基、カスタムBAドライバー4基、マイクロ平面駆動ドライバー2基の計7基を搭載しています。
本作は、物理4ウェイクロスオーバーと4本の独立音響管を採用し、低域・中域・高域・超高域をそれぞれ専用の音響経路で伝えることで、筐体内部での帯域の重なりを抑える設計です。加えて「ATI-SWスパイラル音響ウェーブガイド」と呼ばれる技術を中域に適用し、螺旋状の音道と音響ダンピングで内部反射や共振を抑えています。
発売は2026年8月17日、価格は189.99USDです。国内ではAmazon.co.jpのセール価格で26,980円前後(2026年9月時点)、AliExpressではセール込みでこれより安く購入できる場合があります。
| 構成 | 1DD+4BA+2MPD (10mm MACCDダイナミック×1/BA×4/マイクロ平面駆動×2(片側)) |
|---|---|
| 再生周波数帯域 | 20Hz〜20kHz |
| 発売日 | 2025年8月17日 |
| 価格 | 189.99USD |
パッケージ
黒地に光の軌跡を描いた化粧箱で、本製品のコンセプトを表現したデザインが施されています。

開封してみると、スポンジフォームの上段に本体、下段に収納ケースが配置されています。
写真には写っていませんが、イヤホン本体を保護するフィルムが装着されていましたので輸送時の擦れや傷を防止する工夫も施されていました。

付属品

- イヤホン本体 ×1
- イヤーピース 3種類 合計7ペア
- 付属ケーブル ×1
- 交換式プラグ ×2 (3.5mm/4.4mm)
- キャリングケース ×1
- クリーニングクロス ×1
- その他、説明書など
イヤホン本体
フェイスプレートを正面から。JUZEARロゴとブランドエンブレムが左右でそれぞれ施されているアシンメトリーなデザインです。光の軌跡のような部分は、光の当たり具合によっても見え方が変わります。そして黒い石が装着されているのがエモさを感じさせます。

シェル側はブラックのレジンで、ノズルは金属製でメッシュフィルター付き。7ドライバーを収めている都合上、筐体には相応の厚みがあります。
2pinコネクタは…結構固めかなと。ケーブルの抜き差しの際は、無理に力をかけないよう注意した方が良さそうです。

ケーブル
ケーブルは標準的な硬さで苦労しない程度の取り回しです。

プラグは交換式のため、環境に合わせて付け替えが可能です。
2Pinプラグに色が付着している場合がありますが、製造時のマーカーのため、通常使用で自然に剥がれ落ちるようになっています。
イヤーピース
シリコンイヤーピースは2種類×3サイズ、加えてフォームタイプが1ペアという構成。ワイドボアタイプとナローボアタイプとフォームタイプの3種類という解釈で良いと思います。

付属ケース
ネイビーの合皮ケースです。割と無難なデザインと大きさで、イヤホンを収める最低限の大きさがあります。

装着イメージ
装着した状態です。ノズルの角度と筐体形状はよく作り込まれていて、角度を合わせると違和感が無くなるジャストポジションがあり、その上で高い遮音性があります。標準的なものより僅かに大きめの筐体ですが、それなりにスッポリ張り付くように入りますね。同社のHarrierよりわずかに小さいです。

音質について
最初に結論から。
- やわらかいのに、輪郭がぼやけない音
- 沈み込む低域と、近い位置のボーカル
- 刺激を抑えつつ伸びる。
- 多ドラをうまく制御した完成度
- 疲れにくく、長時間聴いていられる
聴いていてとても音楽的で楽しい。でも音色そのものは刺激を抑えた鳴り方で、聴き疲れしにくい方向にまとめながら、情報量と分離感を落とさず伸びやかさもある不思議なイヤホン。低域は結構深い所からの量感がありますが中域を邪魔せず、そこまで重たさも感じさせないのも特徴。
ボーカルは近い位置で明るく鮮やかに…でも柔らかめに描かれます。高域は角を丸めた質感でありながら、音の粒は小さく必要な繊細さがあってナチュラルな伸びもある。
2026年後半の投稿時点でのチューニング技術を全部取り入れると、この値段でここまでやれるのか!?
周波数特性
実測データは以下の通りです。
(IEC711/IEC 60318-4 clone / 1/12oct (1kHz) @ 94dB )
※8kHz付近は計測器の特性上共振しやすい帯域で、実際よりもピークが強めに出やすいことを理解の上でご覧ください。
平均

重心低めな設計。でもボーカルはしっかり存在感を作っていきそうな制御のされた周波数特性。
左右差

左右差はほぼ無し。多ドラなのに左右がここまで揃うのも珍しいですね。
評価チャート
音の傾向や特徴は、以下の評価チャートをご覧ください。
※製品の価格を考慮した評価となります。
試聴環境
- Lotoo PAW 6000
- lotoo PAW GOLD TOUCH
- 付属イヤーピース(ワイドボア)
全体的な音色や特徴など
聴き始めてすぐに感じられるのは、鳴り方の落ち着きでしょうか。かと言ってアグレッシブな音が出ない訳ではなく、よく制御されていて音が全体的に優しいというニュアンスが近いのかもしれませんが…
優しく包まれるような包容力のある低域がまずベースにあって(ベースだけにw)、男女どちらのボーカルも自然にフォーカスが合いやすい出音です。高域は角の尖った部分を少し丸め、繊細さやエッジ感を適度に残しつつ柔らかさと落ち着きを共存させているJUZEARブランドのチューニングの匠がよく効いている音ですね。
音色そのものはニュートラルバランスで、思ったよりも特定の帯域が強く色付けがあるわけでもなく、ナチュラルに量感と質感のみを上手に調節したことで得られた音という感じでしょうか。
値段に対して満足度の高い、余白や分離感のある高解像度な鳴り方なのも素晴らしいですね。質感は柔らかめに仕上がっているのに大したものです。柔らかい空気感のある低域の上に繊細な音粒が優しく乗っているような余裕があります。
強いて言えば、低音は柔らかさ故のもたつきが限定された場面のみで多少あり、音の数が多い場面でやや輪郭が曖昧になりますが、それを除けば頑張っていると思います。
低音域
量感は多めです。ただ、その多さが重さやパワフルさとして出してこない特徴があるように思います。
重低音から地続きに、滑らかに繋がってくるような深さがあり、下まで伸び、そこに空気感のある柔らかさと弾力が乗る。輪郭を立てて存在を主張するのではなく、ふっくらと下から支えるような鳴り方です。優しく包まれるような質感でありながら、混濁感が感じられないのもポイント。
個人的に高く評価したいポイントは、低域が一歩下がった位置にいることでしょうか。深さはあるけれど主張は少なく、支配的にならない上に、重さそのものはそこまで出ていない。ミッドベースが抑えられているため、音の密度や圧迫感、厚みで押し切るような場面も全然ありません。他の帯域に悪く被ってこないので、ボーカルや中域も透明度を維持出来ていますし、ボーカルにはそっと温かみが絶妙に加わっています。
強いていえば…この質感は維持したままで反応の速さがもう少し上がると、テンポの速い曲への順応がさらに良くなるはずです。アンプをかませてビシッと駆動力をあげたくなるのは、このあたりの手応えからですかねぇ…?
中音域
基本的にはニュートラルバランスな質感ですが、少しハリとパンチがあり、楽曲を程よく明るくしてくれる塩梅です。
シンセ、ギター、ピアノは適度な張り出しのある音色で描かれ、聴いていてスカッとした気持ちよさがあります。強調というほどではなく、程よいアクセントと表現したほうが近いかなぁと思います。音色そのものはあくまでニュートラルなので、その上に軽いアクセントが乗っているという構図。中高域は少し軽やかで、軽快なレスポンスを見せてくれます。
ボーカル
ボーカルは、男性・女性を問わず空間のセンターに明瞭に定位してくれます。僅かに温かみが乗り、程よい甘さがありつつも、やや明るく艶があり、ブレスのニュアンスも適度に伝わってくる表現ですね。ボーカルフォーカス型のイヤホンではあると思うのですが、鮮烈すぎるということもない。透明度はあるのに柔らかさもある、という質感に収まっているのは好印象でしたね。
高音域
聴いた瞬間に、マイクロ平面駆動らしい繊細でサラッとした質感だと分かる鳴り方です。そのうえで、ここ最近出たMPD搭載機と比べても制御が上手で、ギラつきを感じませんでした。
1DD機のような地続きの一体感にまで達しているかというと、そこは全然違います。ただ、マルチドライバー機としては、この記事を書いている時点の感覚では十分に制御できていると思います。そっと煌めきを乗せて、空気感を演出できています。
音の粒は小さく繊細で、鋭利なキレに近いものを持っています。そのうえで先端を少しだけ削ぎ落とし、エッジは尖っていないけれど必要十分な切れ味は残す。全体の柔らかい雰囲気に合わせて仕立てられた高域で印象は良いです。
音場・空間表現
空間は結構広めに感じる鳴り方です。上下左右前後の全ての方向でバランスよく広さを感じます。ただし、頭の外に出ていくほどの抜け感はなく、全方向に限界値のような壁がありますが、壁を感じるまでの距離感がめっちゃくちゃ遠いので、気にならないと思います。音と音同士に自然な余白があり、非常に安定した鳴り方で、どっしりと空間をいっぱい使った描写が気持ち良いですね。
長所と短所
長所
- よく制御された低域
- 男女問わず自然にフォーカスされるボーカル
- ギラつきが抑えられた高域
- 柔らかめの音色だが繊細さも共存
- 生楽器のディテールも良い
短所
- 低域のレスポンスはポタアンで改善したい
- 2Pinは固め
- 刺激的な音ではない

非常に音楽的で優しいサウンド。芸術的な個性がある。ハッキリ言ってオススメ。マジで良い。というか私の愛機に少しだけニュアンスが似ている。
総評と感想
「JUZEAR Light Shuttle(時光機)」は、刺激やわかりやすさで引き込むタイプではなく、どちらかというと購入してから、気づいたら毎日同じイヤホンを長時間使い続けることが出来るか、という基準において強い魅力があるタイプだと思います。
ぱっと効いて凄い!というよりは、落ち着いた鳴りかつ、チューニングに個性があるので一つの芸術作品のような音にジワジワと引き込まれ、気づいたら使用率が上がっていた。みたいな所が魅力になるのではないかなと。それくらい聴きやすさや完成度の高さがあります。
2~3万円前後という価格帯には、より分かりやすい魅力を持つモデルもありますが、実際のイヤホンの運用を冷静に考えると、とっかえひっかえにするのではなく、愛着をもって長く使えるか、長時間聴いていられるか、という部分の方が大切だと私は思います。そういう意味では、メインとして長く付き合える一本を探しているのであれば、この価格で選べる選択肢として十分に検討に値すると感じましたね。
こんな人におすすめかも。
- 落ち着いた鳴り方のイヤホンを探している方
- 男女どちらのボーカルも気持ちよく聴きたい方
- 低域の量感は欲しいが、支配的になるものを好まない方
- マイクロプラナーの繊細さが欲しい方
- コスパに優れたものを欲しい方
完成度の高い多ドラを探している方に強くオススメしたい。あと、本作の低域の鳴り方は圧が少なく耳当たりが優しく調整されているので、低音好きだけど押し出し感があるのは嫌!という方にオススメです。
レビューは以上となります。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
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